パニック症

パニック症は、突然、発作的に動悸や息苦しさ、死の恐怖などの症状に繰り返し襲われ、不安が募る病気です。 この病気では、不安や恐怖感が高じることで、身体に「動悸」「めまい」「発汗」「息苦しさ」などの症状が突然起こります。 これが「パニック発作」です。 さらに、このような経験をすることで、”また発作が起きるのではないか”という不安を常に感じるようになることがあります。 これを「予期不安」といいます。 また、発作が起きた時に逃げられないような狭い空間や、人混み、または一人でいるときなど、特定の場所や状況で不安や恐怖感が高まるのが特徴です。


■パニック症とは?

体に異常はないのに突然苦しくなる

パニック症は、ある日突然起こるパニック発作から始まります。 動悸、息苦しさ、めまい、冷や汗、震えなどの13の症状のうち、4つ以上の症状が突然、発作的に始まるものをパニック発作と呼びます。 症状は数分以内にピークに達し、本人は強い恐怖や不安を感じます。”このまま死んでしまうのではないか”と思うほどの恐怖や不安です。 しかし、そのような症状は10分間ほどで治まります。もちろん、命に関わることはありません。 発作が起こった本人は、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気があるのではと誤解してしまうこともあります。 しかし、パニック症は心の病気です。そのため、精密検査を受けても体の異常は見つかりません。 一生の間にパニック症を発症する人が、100人に1~2人の割合でいるといわれています。 発症しやすい年代は20~30歳代で、女性は男性の2倍ほど発症しやすいことがわかっています。

【パニック発作の症状】

①胸がドキドキする②冷や汗をかく③体や手足の震え④呼吸が速くなる・息苦しい⑤息が詰まる⑥胸の痛みや不安感 ⑦吐き気・腹部の嫌な感じ⑧めまい感・気が遠くなる・頭が軽くなる感じ・ふらつき⑨非現実感・自分が自分でない感じ ⑩気が変になってしまうかもしれないという恐怖⑪死の恐怖⑫痺れやうずき感⑬寒気またはほてり


●発作への恐怖や不安で、行動範囲が狭まっていく

パニック発作を経験すると、発作への恐怖や不安と、発作が起こった状況や場所を心の中で結び付け、悪循環が出来上がってしまうことがあります。 パニック発作は繰り返し起こる特徴があり、発作を繰り返していると、”また発作が起きてしまったら”と不安に駆られるようになります。 これを「予期不安」といいます。パニック発作があっても予期不安や次に挙げるような行動の変化がなければパニック症とは診断されません。 予期不安が強くなると、発作を予感させる状況や場所そのものが恐怖となり、それを避けるようになります。 このような行動を「回避行動」といいます。例えば、電車に乗っているときにパニック発作を何度か経験すると”電車に乗ったら、また発作が起こるかもしれない” と考え、電車に乗ろうとしなくなるなど、日常生活や仕事に回避行動が進むと、パニック症のおよそ1/3に「広場恐怖症」が起こるという調査結果もあります。 パニック症かもしれないと思ったら、精神科、心療内科、メンタルクリニックなどを受診することをお勧めします。

【広場恐怖症とは?】

パニック発作が起こっても逃げられない、助けを求められない場所に身を置くことに恐怖を感じる。 そのため、そのような状況や場所に対して回避行動をとったり、誰かに付き添ってもらったりするようになる。 広場恐怖症は、飛行機、新幹線、特急列車、高速バスなどの交通機関の中や、エレベーターの中など、 見知らぬ人に囲まれる場所が対象になりやすい。


■パニック症の治療

認知行動療法薬物療法があります。認知行動療法は薬物療法に比べて効果が高く、再発も起こりにくいといわれています。 認知行動療法は、考え方や行動パターンを変え、恐怖や不安を乗り越えられるように練習していく治療法です。 パニック症の治療では、避けていた恐怖や不安の対象に、少しずつ慣れていく練習を行います。

◆薬物療法が行われることもある

パニック症の薬物療法でよく使われるのは、抗鬱薬のSSRIです。 抗不安薬が使われることもあります。


自分でできる認知行動療法の例 自分でできる認知行動療法の例