高血圧対策に『ノリエキス』
高血圧の解消には血管の収縮を抑えるのも重要で、 血管を広げる働きが大きい『ノリエキス』が注目の的になっています。
■ノリエキス
ノリには降圧の助けになる成分が豊富
今や日本国民の4分の1(約3300万人)が抱えると言われる高血圧は、健康を損ねる深刻な症状です。 例えば、中高年には不整脈や狭心症が増加していますが、これは高血圧による動脈硬化も原因の一つ。 放置すれば、動脈硬化が進んで心臓の血管が完全に詰まり、心筋梗塞などによる突然死も招きかねません。 ふだん血圧が高めの人は、日頃から自分の血圧を測定するように、医師から指導されていることでしょう。 こうして血圧を管理しながら、塩分や脂肪の摂り過ぎを避けたり、適度な運動を行ったりして、 血圧を低く保つように努めることが大切です。
実は今、血圧が高めの人たちの間で、降圧の心強い助けになると話題になっている食品があります。 古来より珍重されてきたノリは、あまり知られていませんが栄養豊富な食品。 カリウムやマグネシウム、カルシウムといったミネラルや、タウリンという成分がバランスよく含まれます。 これらの成分は、相乗的に働いて、高血圧の予防・改善に役立つと考えられます。 これらに加えて、高い血圧を下げる働きが極めて強いと注目を集めている成分があるのをご存知でしょうか。 ノリのペプチド(以下、ノリエキスと呼ぶ)です。 ノリに含まれるタンパク質は、私たちの体内に入ると、ペプシンなどの消化酵素によってバラバラに分解されます。 そして、タンパク質を構成するアミノ酸という成分になって、体内に吸収されていくのです。 このアミノ酸が、分解される途中で2~100個つながっている状態のものを、ペプチドといいます。 ノリのタンパク質から生まれたペプチドこそが、降圧に役立つノリエキスというわけです。 では、ノリエキスはどのようにして、高い血圧を下げるのでしょうか。
■体内で血圧を下げる成分の働きを抑える
私たちの体には、血圧を一定に保つための「レニン・アンジオテンシン系」という仕組みが備わっています。 レニンは腎臓で作られる酵素で、血液中にアンジオテンシンⅠという物質を作り出す働きがあります。 ところが、アンジオテンシンⅠ変換酵素(以下、ACEと略す)が働くと、アンジオテンシンⅠの分解が進み、 アンジオテンシンⅡという物質に変化します。アンジオテンシンⅡには、血管を収縮させる働きがあるため、 増えると血圧を上げる原因となります。つまり、ACEの働きを抑えれば血管の収縮が起こらず、 血圧の上昇を防ぐことができるわけです。
病院で使われる降圧剤の一つとして、ACEの働きを抑えることにより、 血管を広げて血圧を安定させる「ACE阻害薬」があります。 実を言うと、ノリエキスにもACE阻害薬と同じように、血管を広げる働きのあることがわかったのです。 日本人の多くが摂っている食品なので、副作用の心配がないということも明らかです。 ノリエキスの降圧作用は、人間を対象とした試験でも確認されています。
ある研究では、高血圧を抱えている人たち64人と、正常血圧の人たち29人に、ノリエキスの食品を摂ってもらいました。 すると、高血圧のグループでは、ノリエキスを摂り始めてから5日後の最大血圧が平均10ミリ、最小血圧は平均6ミリ下がりました。 その後も血圧は穏やかに下がり、35日後には最大血圧が平均14.7ミリ減、最小血圧が平均7.8ミリ減とさらに下がったのです。 一方、正常値血圧のグループでは、最大血圧が下がることなく、基準値で安定していました。
■降圧剤が無効の人も血圧が正常化した
さらに、高血圧のグループの中で、降圧剤を服用しても血圧が基準値まで下がりきらない9人には、興味深い変化がありました。 医師の指導もとで降圧剤とノリエキスの食品を摂ってもらったところ、9人中7人の血圧が基準値まで下がったのです。 また、最大血圧が高い人は最大血圧が、最小血圧が高い人は最小血圧が下がっていきました。 つまりノリエキスは、正常の血圧はそのままの状態に保ちながら、高い血圧にのみ作用することがわかったのです。
高血圧の予防・改善のためには、1日にノリエキスを約1.6g摂る必要があります。 これは、朝食ノリ48枚分に当たるため、普通に摂るのはなかなか難しいでしょう。 効率よくノリエキスを摂りたい人は、ノリのタンパク質をあらかじめ分解し、 吸収率をよくした市販のノリエキスの食品をお勧めします。
■体験談