ビール酵母

ビール酵母は、ビールの製造過程で、アルコール発酵を行う酵母(微生物)の一種です。 アミノ酸やビタミンB群、各種のミネラル類、食物繊維などをバランスよく含み、胃腸障害や栄養補給、滋養強壮に利用されてきました。 また、抗酸化作用や免疫賦活作用を持つ成分も存在します。 最近では、ダイエット効果についても話題になったことがあります。


■ビール酵母に期待される効能

栄養補給や滋養強壮。胃腸障害の予防と改善。


■ビール酵母の作用メカニズム

ビールは、麦芽を煮た麦汁を発酵させて作られます。この発酵の過程で使われる酵母がビール酵母です。 ビール酵母は、パン酵母などと同じく「サッカロミセス属」に分類される酵母です。 ビール酵母は、麦汁の栄養素を吸収しながら増え、糖分をアルコールと炭酸ガスに変換してビールを作り出します。これをアルコール発酵と呼びます。 発酵が終了したときには、麦汁の栄養分をたくさん含んでいます。 ビール酵母から苦み成分やアルコール分を除き、乾燥させ粉末状にした製品が、ビール酵母のサプリメントなどとして利用されます。 ビール酵母の成分は50%が タンパク質アミノ酸、 30%が食物繊維です。 その他、 ビタミンB群各種のミネラル、グルタチオン、エルゴステロールなどが存在します。


■ビール酵母の科学的根拠

ビール酵母は日本において医薬品としても利用されてきました。1930年、日本で最初のビール酵母に由来する医薬品「エビオス錠」が製造されています。 エビオス錠は、ビタミンB群の不足を原因とする脚気の予防や胃腸障害に対して用いられました(現在は、医薬部外品として、 胃腸障害や栄養補給などの効能・効果があります)。『日本薬局方』には、「乾燥酵母」として収載されており、 ビタミンB群やタンパク質の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給に効果が認められています。 ビール酵母に含まれるグルタチオンは、抗酸化作用を持つため、生活習慣病の予防に効果が期待されます。 また、有害物質と抱合して体外に排泄するという解毒作用もあります。 ビール酵母の細胞壁には、食物繊維成分があり、整腸作用を持ちます。 また、免疫力を高める β-グルカンも含まれています。 さらに、細胞膜にはエルゴステロールという脂肪成分があり、 コレステロール値の低下作用や カルシウムの吸収促進作用を持ちます。 その他、ビール酵母と分岐鎖アミノ酸(BCAA)の併用により、 運動選手のパフォーマンスが向上したという報告があります。 なお、ビール酵母には、直接的なダイエット効果はありありません。ダイエットに関連して、食事制限に伴う潜在的な栄養素の不足の予防、 あるいは代替食としての利用が考えられます。


■ビール酵母の摂取方法

短期間では効果が期待できないので、継続して利用します。


■注意事項

一般に、適応となる病態に対して適切な品質の製品を用法・用量を守って使用する場合、安全性は高いと考えられます。 有害事象として、胃腸障害や頭痛、アレルギー・過敏症が知られています。 また、クローン病がビール酵母によって増悪するというデータがあります。