【質問】翼状片について教えてください

夫は6年前に「翼状片」と診断され、左目の手術を受けました。 手術自体は短時間で済みましたが、しばらくは夜中に痛みが続き、辛そうでした。 現在、右目のほうも少しずつ黒目に近づいているようです。 翼状片の原因や経過などについて教えてください。


【答】

「翼状片」とは、白目(結膜)の一部が黒目(角膜)に侵入したもので、 角膜の周辺に白い三角形の組織が付着して見える病気です。 翼状片という病名は、ギリシャ語に由来し、病変が翼のように見えることから名付けられたとされています。 原因の一つに紫外線の影響が示唆されており、長時間、屋外で仕事をされる方や、海辺や南の地域に居住する方に発症率が高いとされています。 基本的には無痛ですが、異物感を訴える方もいます。 進行するにつれて、外見的な問題や見え方への影響が出てきます。 病変が角膜の中心に向かって伸びてくると、角膜がひきつれて乱視が生じ、眼鏡で矯正しても視力が改善できないこともあります。 また、翼状片には血管が多く、常に充血しているような外見になります。

翼状片を根本的に治療するには手術しかなく、病変が角膜に2~3mm侵入してきたときが手術のタイミングとされています。 ただ、外見的な問題を改善したい場合や、異物感の症状が強い場合は、早期に手術を行うこともあります。 手術では目薬の麻酔をして、角膜に張り付いている翼状片を切り取ります。 切った後の部分には、付近の結膜を移動させる「有茎結膜弁移植」か、 同じ目の結膜を一部切り取って移植する「遊離結膜弁移植」が行われるのが一般的です。 手術時間は20分程度で、術後の強い痛みは数日で和らいできます。完全に治癒するには1~2ヵ月くらいかかります。

翼状片の手術で問題になるのは、再発する可能性があることです。 年齢が若い方や、翼状片が厚く充血が強い場合、進行が早い場合などは、再発の確率が高いとされています。 再発した場合の2度目以降の手術は難易度が高くなり、さらなる再発率も高くなります。 再発のリスクが高いケースでは、手術の際にマイトマイシンCという抗癌剤の一種を切除部に塗る場合や、切除部に羊膜(胎児を包む袋)を移植する場合もあります。 翼状片は、あまり進行してしまうと手術をしても視力の改善が得られないこともあります。 手術のタイミングは担当医とよく相談して決めることが大切です。

(この答えは、2020年2月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)