【質問】メニエール病の治療はいつまで必要?

数年前に「メニエール病」と診断され、イソバイドを服用しています。 月に1回、聴力検査などを受け、治療を続けています。 耳鳴り、聴力低下と、ときおりめまいがあります。治療はいつまで受ける必要があるのでしょうか。
●50歳代・女性


【答】

「メニエール病」によるめまいに対する治療効果は、 治療前後でのめまい発作の回数から判定されます。治療後にめまい発作がなくなった場合を「著明改善」、4割以内に治まった場合を「改善」と判定します。 また、聴力障害(難聴)、 耳鳴り、 日常生活や仕事上での能力に関する評価も治療効果を判定するものとなります。 メニエール病は、「難聴や耳鳴りが先行するタイプ」「めまいが先行するタイプ」「両者が一緒に発生するタイプ」に大別されます。 難聴、耳鳴り、めまいがすべて揃う「メニエール病確実例」に至るまでに、難聴や耳鳴りが先行するタイプの半数で3年程度、 めまいが先行するタイプの半数で5年程度を要するとされます。 一般にメニエール病の経過は、最初の発作が起こってメニエール病確実例へ進み、その後、めまい発作が少なくなって難聴や耳鳴りが固定してくる (それ以上悪化しない)時期を経て、めまい発作が治まり終息に向かいます。この間、2~10年程度かかるといわれています。 メニエール病に対して薬などの内科的治療を行った場合の再発率は3割程度です。 内科的治療の効果が十分でなく、長期化、再発を繰り返す「難治性メニエール病」に対して行われる「内リンパ嚢開放術」などの 外科的治療においても、再発例は認められます。 また、「鼓室内ゲンタマイシン注入術」「中耳加圧療法」などでも再発例がみられます。メニエール病は治療が難しい病気なのです。

ご質問者が使用中のイソバイド(イソソルビド)は、安全で長期投与が可能とされ、2年間の長期投与でめまい発作に対して約8割の有効性が示されています。 しかし、聴力障害に対する改善効果は一定していません。ご質問の内容からメニエール病の経過を考えますと、 メニエール病確実例で聴力障害や耳鳴りの症状の変動は少なく、めまい発作も時折であることから、症状が固定してきている時期にあると判断され、 今後は終息に向かうと思われます。今までの経過を整理することが大切です。 そして、担当医と治療継続の有無を含めて今後の治療方針について相談されるのがよいでしょう。

(この答えは、2020年3月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)