【質問】高眼圧症の治療で気を付けることは?

40歳で「高眼圧症」が見つかって以来、 眼圧の程度に合わせて点眼薬を使っています。 中心の視神経がやや少なく、自覚症状はありませんが、視野が少し欠けているようです。 現在の眼圧は18~19mmHgです。読書が好きで、今の状態を維持したいと思っています。 気を付けることはありますか?
●60歳代・女性


【答】

眼圧の正常値は10~21mmHgとされていますが、眼圧が21mmHg以上でも視神経や視野に異常がない場合を 「高眼圧症」と呼びます。 視神経が障害され、視野に異常が出てくると「緑内障」となります。 眼圧が高いと緑内障になるリスクが高くなるので、高眼圧症は緑内障の前段階ともいえます。 しかし、実際には眼圧が高くても必ずしも緑内障になるわけではなく、生涯にわたって異常の起こらない方も多数います。 そのため、視神経の状態や家族歴、年齢などを総合的に判断したうえで、眼圧を下げる治療を行うかどうかを決定します。 治療を開始した場合はもちろん、治療を開始しない場合も、定期的な経過観察は必要です。

ご質問者の場合は、すでに視野が少し欠けているとのことなので、高眼圧症ではなく緑内障の状態です。 有効な治療は眼圧を下げることで、正常上限の21mmHgにこだわらず、さらに眼圧を下げることが大切です。 眼圧を下げれば下げるほど視野障害の進行を抑えられること、10mmHg前後の眼圧を維持すれば、ほとんどの場合、 視野障害の進行を阻止できること、眼圧が高くない緑内障(正常眼圧緑内障)でも眼圧を下げる治療が有効であること、などが明らかになっています。
ご質問者の場合、これまでの治療では視野障害の進行が見られるので、治療の強化が必要と考えます。 眼圧をさらに下げれば進行の可能性が減るので、点眼薬を変更、或いは追加して、眼圧を現在のレベルよりも低く維持することが勧められます。 そして、その眼圧レベルで進行を阻止できるかどうか、引き続き定期的な経過観察で確認してください。 進行するようなら、さらに低い眼圧レベルに治療を修正することが必要です。

なお、緑内障では、読書をする、テレビを見るなど目を使っても問題ありません。 現在、緑内障は失明原因の第1位ですが、早期に発見してきちんと治療を継続すれば、失明に至る可能性は極めて低い病気になってきています。

(この答えは、2020年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)