【質問】夜間視力が悪いといわれました
運転免許更新の高齢者講習で、「夜間視力が悪いので、夜間視力用の眼鏡をかけて運転するように」と指導されました。
眼科では「遠視と乱視があるので、それに見合う眼鏡をかければ運転には差し支えない」と言われました。
どうすればよいでしょうか。また夜間視力の低下を予防する方法はありますか。
●74歳・男性
【答】
「夜間視力検査」は、運転免許更新時の高齢者講習の中に組み込まれている検査で、明るいところから暗いところに入ったときに、 どのくらい見えるかを試す検査です。一般的に、昼間や明るいところでの視力より、夜間や暗いところでの視力は低下します。 これは、瞳孔(瞳)の大きさが、明るい場所では小さくなり、暗い場所では大きくなることと関係しています。 明るさに応じて瞳が開いたり閉じたりする反応は、加齢とともに遅くなります。 そのため、明るいところから暗いところに入ったときに、瞳がすぐに大きく開かず、入ってくる光の量が少なくなるために見えにくくなります。 また、瞳が開いたときにはピント(焦点)が変わるので、物がぼやけて見えることもあります。これらは加齢に伴うもので、病気ではありません。 ピントの変化については眼鏡を装用することで、くっきり見えるように調整することができます。 一方、目に何らかの病気がある場合にも、夜間視力が低下することがあります。 例えば、白内障があると、 暗いところで見えにくくなりますし、 緑内障や網膜の病気がある場合も、夜間に見えにくくなることがあります。 一般に、高齢になると目の病気は増えてきますが、早めに適切な対応をすれば治療できる、あるいは、悪化を抑制できることが多いので、 見えにくさなどの異常を感じたら、早めに近くの眼科を受診して検査を受けることが重要です。 検査の結果、特に目の病気がなければ、適切な眼鏡をかけることで見えやすくなると思います。 ただ、加齢による瞳の働きの低下や、ピントのずれによる夜間視力の低下を予防する方法は、残念ながらありません。 年齢とともに見る力が落ちてくることを「アイフレイル」といいます。 加齢による夜間視力の低下は仕方がないにしても、病気が隠れていると困りますから、早めに担当医とよく相談していただくのがよいと思います。
(この答えは、2020年5月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)