【質問】飛蚊症で視界が邪魔されます

5年ほど前から飛蚊症があります。 右目はドライアイもひどく、星屑のような黒い水玉が視界を邪魔します。 年に3回、眼科で検診を受け、「だんだん慣れて気にならなくなる」と言われていますが、よくなりません。 運転は見ずらいうえ、対向車のライトや電灯が眩しいので控えています。 また、細かい作業をしていると目の奥が痛くなることもあり、強度の近視、老眼もあります。 このまま右目が見えなくなるのではないかと心配です。
●54歳・女性


【答】

「飛蚊症」とは、 視界に黒いゴミや虫のようなもの、あるいは薄い雲のようなものが見える状態です。 目を動かすと同じ方向に移動し、揺れて見えるのが特徴です。 ご質問にある”星屑のような黒い水玉”といったもの以外にも、糸くず状やリング状など、形はさまざまです。 飛蚊症の多くは、加齢など生理的な変化によるものなので、心配はいりません。 ただし、後で述べるような治療を要する病気の症状として現れている場合は眼科専門医を受診することが必要です。

眼球の中には透明なゼリー状の硝子体が詰まっていて、眼球の内壁である網膜に付着しています。 硝子体のほとんどは水で、わずかに線維が混じっています。 加齢によって水分と線維が分離してくると、硝子体が網膜から離れてしまい、眼球内で線維がフワフワと浮いた状態になります。 この線維が影として映るので、視界の中に”揺れて動く黒っぽいもの”が見えるのです。 白い壁や空を見た時にはっきりと自覚することが多いです。 飛蚊症が完全になくなることはありませんが、生理的な変化で起きている場合、治療の必要性はなく、慣れてくると自覚しにくくなることも少なくありません。 注意が必要なのは、「網膜剥離、網膜裂孔」(網膜剥離の前段階で、 網膜に孔が開いた状態)、硝子体出血(硝子体の内部の出血)、ぶどう膜炎(目の炎症の一種)などの病気によって硝子体に濁りが生じ、飛蚊症が起きている場合です。 ご質問者には飛蚊症以外に「見えにくい、眩しい、細かい作業時の眼痛(目の痛み)」などの症状がありますので、 ぶどう膜炎や「白内障」「緑内障」、また、 「老視(老眼)」や近視の不適切な矯正など、他の病気や異常がないかどうかや、 「ドライアイ」の治療が適切かどうかなどを総合的に見てもらうことが必要だと考えます。

(この答えは、2017年8月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)