【質問】膵管を広げるステントは外せるの?

72歳の時に「慢性膵炎」と診断されました。 膵管が狭窄しているのでステントを入れ、3ヵ月に1回取り替えています。 膵管が広がったらステントを外すそうですが、まだ少し狭いところがあるそうです。 いつか本当に外せるのでしょうか?
●76歳・女性


【答】

膵臓は消化酵素を含む膵液やインスリンなどを分泌する臓器です。 「慢性膵炎」は、膵臓に持続的な炎症が起こり、 膵臓の機能が徐々に低下・消失する進行性の病気です。膵機能がある程度保たれている場合は、腹部や背中の痛みが起こります。 病気が進み、膵機能が低下・消失すると、消化不良による下痢・軟便などがみられるようになります。 原因はアルコールが最も多いのですが、原因不明の場合もあります。 禁酒など原因を除くことで進行をある程度遅らせることも期待できますが、元の膵臓に戻ることは難しい病気です。 慢性膵炎では、膵臓が広範囲に委縮するとともに、膵液の流れる膵管が拡張しますが、膵管の一部が狭くなることもあります。 また、膵液の成分が変化して固まったり(たんぱく栓)、石灰化したり(膵石)することもあります。 たんぱく栓や膵石が膵管の狭窄部に詰まると、膵液の流れが悪くなるため、膵炎の症状を繰り返す原因になります。 特に膵臓を貫いている太い膵管(主膵管)が狭くなると症状が強く出やすくなるので、たんぱく栓や膵石を取り除く治療が必要になります。 この場合は手術治療や、最近では内視鏡を用いた治療も行われています。 また、膵石の場合は、腎臓結石などの治療に用いられる体外衝撃波により、膵石を小さく砕く方法を組み合わせることもあります。 膵石を砕いても主膵管に残ってすぐに排出されない場合には、「十二指腸へつながる膵管の出口を切開して広げる」 「主膵管の狭窄部をバルーンで拡張する」「主膵管の狭窄部にプラスチックの膵管ステントを留置する」など、 さまざまな内視鏡治療を組み合わせます。 ステントを長期に留置すると、膵管の狭窄が改善されて、腹痛などの症状を解消する効果が高いことが報告されています。 狭窄が高度な場合は、あらかじめ拡張用カテーテルやバルーンカテーテルなどで膵管を拡張した後に、ステントを留置することもあります。 膵管ステントの交換は、4週間~3ヵ月ごとに定期的に行われます。 交換時に狭窄が改善していれば、ステントを外すこともできます。

(この答えは、2020年3月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)