【質問】胃下垂です。食後の不快な症状を改善する方法は?

かなりひどい胃下垂があります。胃が臍の下までだらーんと下がっていて、疲労時は余計に下がる感じがします。 食後すぐに動くと、気持ちが悪くなります。症状を改善する方法や治療法を教えてください。
●62歳・女性
●153cm・46kg


【答】

胃が正常な位置よりも下がっている状態を「胃下垂」といいます。 胃を上方に持ち上げる内臓脂肪が少ない、痩せた体型の人に多いとされています。 昔は胃が垂れ下がっているために食べたものがなかなか胃から出て行かず、 そのために不快な症状が現れるのだろうという推測から、手術が行われることもあったようです。 しかし、最近は胃下垂という病名はあまり使われなくなっています。 胃下垂があるからと言って胃の働きが悪くなるわけではなく、この病気(状態)であっても問題はほとんどないことがわかってきたからです。 つまり、食後に気持ちが悪くなるのは、胃下垂のせいではない可能性が高いと思われます。

それでは食後の胃の不快な症状はどうして現れるのでしょうか? 基本的に、食後に胃の症状が現れやすいのですが、これは胃の働きが悪かったり、胃が敏感になり過ぎたりしているからではないかと考えられます。 糖尿病、甲状腺機能低下症、 鬱病パーキンソン病などの病気のある人は、 胃の働きが低下している場合が多く、こうした症状が現れやすいとされています。 また、これらの病気はないのに胃の働きが低下するなどして症状が出る人もいます。 この場合は「機能性ディスペプシア」という病気が考えられます。 不安や疲れなどのストレスによって胃の働きや感じ方が変化するために、食後に胃もたれや吐き気などの症状が起こりやすくなるのです。 ご質問者は疲労時に症状が強くなるということですから、胃の不調の原因は機能性ディスペプシアかもしれません。 症状を改善するには、過食を避ける、胃の内容物の停滞時間を長くする脂っこい食事を控えるといった食事の工夫が大切です。 また、気分転換や軽い運動などでストレスを軽減することも有効です。 それでも症状が続くようなら、医療機関を受診して薬物治療を受けることをお勧めします。 また、当然ですが、胃潰瘍胃癌などでもこのような症状が起こることがあるので、 胃の定期的な検査を欠かさないようにすることも重要です。

(この答えは、2019年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)