【質問】γ-GTPの数値がいつも高めです

健康診断のたびに「γ-GTPが高め。アルコールを控えるように」とのコメントが付いてきます。 数値は54~56U/Lくらいです。そんなに飲酒をしていないと思います。 お酒を飲まない実兄も、検査で同じようなことをいわれるそうです。 家系的にγ-GTPが高くなることがあるのでしょうか。
●60歳:女性


【答】

γ-GTP(グルタミルトランスペプチターゼ)は、細胞内での化学反応に関わる酵素の一つです。 体内では腎臓に最も多く含まれ、次いで、膵臓、肝臓と続きますが、血中濃度の増減に影響するのは、ほとんどが肝臓や、胆汁が通る胆管に存在するγ-GTPです。 基準範囲は施設により多少異なりますが、男性では13~64U/L、女性では9~32U/Lです。 男性より女性のほうが低いのは、女性ホルモンの関与が考えられています。 血液中のγ-GTPの上昇は、「総胆管結石」「閉塞性黄疸」などによる「胆汁うっ滞(流れが滞る状態)」が生じた場合に見られます。 また、 「ウィルス性慢性肝炎」 「肝硬変」 「アルコール性肝障害」 「非アルコール性脂肪性肝疾患」 「薬物性肝障害」 「肝癌」 などの肝臓病によって、γ-GTPが上昇することもあります。 特に、軽度のγ-GTPの上昇がある場合は、肝臓病の初期の状態を反映している場合があります。 なかでも「原発性胆汁性胆管炎」という病気は女性に多く、初期にはほとんど症状がありませんが、 放っておくと肝硬変まで進行するので、注意が必要です。
胆汁うっ血が原因の場合はアルカリフォスファターゼ(ALP)という酵素も一緒に上昇することが多いのですが、 γ-GTPのみが上昇する場合は、アルコールの関与の可能性を考えるのが一般的です。 なお、家系的にγ-GTPのみが高くなる病気の存在についてはわかっていません。

ご質問者はそれほど飲酒をされないということですが、飲酒習慣がなくても、 肥満糖尿病高血圧脂質異常症などがある場合は、非アルコール性脂肪性肝疾患の可能性があります。 非アルコール性脂肪性肝疾患は、食生活の欧米化や生活習慣の乱れなどによって最近増加している肝臓病で、 飲酒習慣がなくても脂肪肝になり、 中には肝硬変まで進行するものがあるので注意が必要です。 まずは、医療機関で精密検査を受けることをお勧めします。

(この答えは、2020年5月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)