【質問】大腸憩室から出血を繰り返しています

大腸に憩室が数多くあり、出血を繰り返します。この場合の治療法を教えてください。 また、憩室を作らない方法や、数を減らす方法はありますか? 日常生活の注意点についても教えてください。


【答】

「大腸憩室」とは、大腸の壁の一部が外側に向かって嚢状(袋状)に突出したものです。 腸壁そのものが突出した先天性の真性憩室と、腸壁の筋層(固有筋層)の隙間から粘膜が突出した後天性の仮性憩室があります。 大腸憩室のほとんどは仮性憩室です。過剰な腸の運動に伴って腸の内圧が上昇し、筋層の弱い部分から粘膜が陥没して、憩室ができると考えられています。 大腸憩室は虫垂と直腸を除く大腸のあらゆる部分にでき、単発で存在する場合から多数存在する場合までさまざまです。 憩室が複数存在する場合は、「憩室症」といいます。 従来、日本を含むアジア・アフリカ諸国では憩室の発生頻度が少なく、発生部位も大腸の右側の盲腸や上行結腸が主でした(右側型)。 一方、患者数の多い欧米諸国では、S状結腸を中心とした左側が主な発生部位です(左側型)。 近年、日本でも食生活の欧米化や高齢化などによって憩室の発生頻度が高まり、同時に欧米型である「左側型憩室症」が増えてきています。 憩室症の多くは無症状ですが、腹痛が生じたり、憩室に接した血管から突然出血したりすることもあります。 また、憩室に炎症が起こる「憩室炎」を発症すると、激しい腹痛や出血(下血)、発熱などが現れ、 特に大腸に孔が開く「腸管穿孔」から「腹膜炎」に至る場合もあります。

ご質問者は、憩室から出血を繰り返すとのことですが、憩室炎を合併しているか否かが不明です。 ここでは憩室炎を合併していない場合の出血の対処法を説明します。 出血時は原則として入院・絶食して腸管の安静に努め、止血を目指します。 出血がひどい場合は、内視鏡を使って憩室の開口部をクリップで挟んで閉じる方法や、血管内にカテーテルを挿入し、 出血している血管に塞栓物質を充填する方法などで止血を試みます。 さらに止血困難な場合や何度も出血を繰り返す場合は、外科医と相談し、出血の原因となる血管を含む腸管の部分的切除を検討することもあります。 また、再出血の予防には、止血後早期に大腸内からバリウムなどを憩室内に充填させる方法が有効な場合もあります。 一旦形成された憩室を正常な状態に戻すことはできません。 日常生活では、憩室の形成や出血、憩室炎などの原因とされる過剰な腸の運動や腸の内圧の上昇を防ぐことが大切です。 そのためには、 食物繊維の摂取を心がけ、 便秘を予防することが第一です。 また、腸の運動の乱れを誘発する心身の疲れや、暴飲・暴食を避けることも大切です。

(この答えは、2019年6月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)