【質問】1日1~5回の下痢が続いています

半年ほど前、下痢が続いて元気がなくなったので、入院してさまざまな検査を受けました。 検査の結果は特に異常はなく、点滴と投薬(リパクレオン)で下痢は治まりました。 ところが、1ヶ月ほど前に再発し、現在1日に1~5回の下痢・軟便が続いています。 特に深夜、左下腹部にガスが溜まり、腹痛が起こって下痢になります。 原因は何でしょうか。
●80歳・男性
●エチゾラム、バルサルタン、シロドシンを使用中


【答】

高齢者に不快な症状がみられる場合は、それが、①加齢に伴う現象なのか、②病気によるものか、③病気の治療薬の影響か、 ④手術を受けた人であれば手術の影響か、⑤生活習慣の影響か、などについて考えることが必要です。 これに沿って慢性的に続く下痢について考えてみましょう。

①75歳以上の高齢者では、2.2%の人に下痢がみられます。腸内細菌の老化による影響を考えて、整腸剤で対応します。 ②慢性の下痢を起こす病気には、膵臓の機能の低下(膵炎、膵癌)、 糖尿病合併症(長期間、適切な治療を受けなかった)、 下痢型過敏性腸症候群(検査では特別な異常がない) などがあります。 ご質問者の場合、リパクレオンで一時的に症状がよくなったので、軽い膵炎の可能性があります。 しかし、検査で異常がなかったという点では、下痢型過敏性腸症候群の可能性もあります。 ただ、この場合、症状は夜間よりも日中のほうがより強くなるので、この可能性も低いと考えます。 ③ご質問者はエブランチルとシロドシンという 「前立腺肥大症」の治療薬を使っています。いずれの薬も頻度としては少ないものの、下痢・軟便の副作用があります。 これらの薬を使い始めた時期と症状が現れた時期が一致していれば、薬の影響が考えられます。 本来の治療目的が十分に達成されているのであれば、担当医にこれらの薬の調節が可能かどうか相談してみてください。自己判断は禁物です。 ④胆嚢を手術で摘出した後に、しばしば下痢になる患者さんがいます。相談内容には手術が記載されていないので、この可能性はないと考えます。 ⑤高齢になると脂肪の消化力が低下するので、脂肪分の多い食事を摂ると下痢になりやすくなります。 この場合は、脂肪分の少ない食事を心掛けましょう。

(この答えは、2020年9月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)