商品名 | ワーファリン (0.5mg/1mg/5mg) |
プラザキサ (75mg/110mg) |
イグザレルト (10mg/15mg) |
エリキュース (2.5mg/5mg) |
剤形と大きさ | 錠剤 長径7.6~8.6mm *用量により異なる |
カプセル 長径18~19mm *用量により異なる |
錠剤 直径6mm |
錠剤 直径6~9.7mm *用量により異なる |
飲む回数と量 | 1日1回 1回あたり数錠 *総数は人により調節 |
1日2回 1回あたり2カプセル 110mgは1回当たり1カプセル |
1日1回 1回あたり1錠 |
1日2回 1回あたり1錠 |
食事制限 (食事への影響) |
ビタミンKを多く含む食品を避ける(納豆、、クロレラ、青汁、モロヘイヤなど) | なし | なし | なし |
併用注意剤 (他の薬物の影響) |
多い | 少ない | 少ない | 少ない |
投薬量調整のための血液検査 | 定期的な血液検査で効果をチェックし、投薬量の調整が必要 | 不要 | 不要 | 不要 |
1日薬価 | ●28.8円 (3mgの場合) |
●300mg:530.4円 (75mg×4カプセル) ●220mg:465.4円 (110mg×2カプセル) |
●15mg:530.4円 (15mg×1錠) ●10mg:372.4円 (10mg×1錠) |
●10mg:530.4円 (5mg×2錠) ●5mg:289.8円 (2.5mg×2錠) |
心原性脳塞栓症を防ぐ薬物療法
脳梗塞を発症すると、本人にとっては思うようにならない生活が、 家族にとっては不安とストレスを抱える生活が続く可能性があります。 脳梗塞の中でも重症化しやすい心原性脳塞栓症の発症を減らす抗凝固薬に、 最近、食事制限の必要のない新しい選択が登場しています。
■介護によって、家族にもストレスや不安が
心原性脳塞栓症による脳梗塞が重大な病気であるとされるのは、その死亡率の高さもさることながら、 半身が麻痺してしまう運動障害や食べ物を飲み込んだりするのが不自由になる「嚥下障害」、 話したり書くことが不自由になる「失語症」などの重い後遺症が残り、それによって介護が必要になるケースが多いことが 挙げられます。体が思うように動かないことで、患者さんがイライラして家族に当たることもあるでしょう。 それによって、介護する家族が病気になってしまうこともあるほどで、つきっきりの介護になると、 家族の心身両面における負担は大変重くなります。 加えて、家庭で介護する場合、生活するスペースをバリアフリーにする必要も出てきて、経済的にも負担がのしかかります。 このような患者さんと家族にとってさらに心配なことは、心原性脳塞栓症が再発しやすい病気であることです。 そのため、生活全般で再発予防を心がける必要もあります。
多くの患者さんは高血圧や糖尿病などの生活習慣病を抱えていますから、まずは食事に注意しなければなりません。 塩分を控えたり、野菜や果物を積極的に摂るなど、食事作りを見直します。 別メニューを準備しなければならないこともあるかもしれません。 可能な限り運動をすることも大切ですし、毎日の薬も飲み忘れないようにしなければなりません。 身体的に不自由な患者さんの努力だけで済むものではありません。家族の協力は必須です。
■心房細動で脳梗塞になりやすい人
このように介護される人もする人も大変な脳梗塞ですが、心房細動のある人は、ない人に比べて約5倍も脳梗塞になりやすい といわれています。心房細動で脳梗塞になりやすい人には、いくつかの特徴があります。
- 心不全のある人
- 高血圧のある人、もしくは治療中の人
- 75歳以上の人
- 糖尿病のある人、もしくは治療中の人
- これまでに脳梗塞あるいは一過性脳虚血発作にかかったことのある人
これらを脳梗塞の危険因子といいます。心房細動と診断され、なおかつ危険因子を抱えている人は早急に抗凝固療法、 つまり血液を固まりにくくして、心臓の中で血栓ができるのを防ぐ薬の服用を始める必要があります。
■心原性脳塞栓症は、抗凝固薬で予防
脳梗塞は、なってしまってから治そうというような病気ではありません。何よりも予防が大切です。 心房細動による心原性脳塞栓症の予防には抗凝固療法が大変重要です。しかし、この薬は毎日飲まなければいけません。 従来の抗凝固薬は高い脳梗塞予防効果が証明されており、長い間標準治療薬として使われてきましたが、 納豆やブロッコリーなどの緑黄色野菜などビタミンKを多く含む食品を制限しなければならず、 一定の期間ごとに薬が効いているかどうかを採血してチェックする必要がありました。 しかし、最近では、食事制限がなく、服用も1日1回あるいは1日2回で済み、効果は少し優れるか、ほぼ同じで、 出血の危険性がやや低いという新しい抗凝固薬も登場しています。 これによって、今まで患者さんにとってなかなか難しかった心原性脳塞栓症の予防も継続しやすくなっています。 食事や薬の管理に気を配っていた家族の負担が軽減されるだけでなく、患者さんも精神的にゆとりが持てるようになるでしょう。 抗凝固薬は心房細動の患者さんにとって脳梗塞の予防の要です。自分に合った薬を見つけるために、 かかりつけの医師に相談してください。