脳卒中の再発予防のための生活習慣病管理

脳卒中」を起こした人の多くは、発症の危険因子となった病気(基礎疾患)をもっています。 再発を予防するためには、基礎疾患の治療や生活習慣の改善が必要です。 自分が持っている基礎疾患の目標値に向けて、しっかり管理しましょう。


■脳卒中の再発防止のために

基礎疾患の治療と薬物療法を行う

脳卒中の患者は多くの場合、基礎疾患を持っていますが、発症するまでそのことに気づかない人も多くいます。 あるデータでは、脳卒中を起こした患者のうち、自分が糖尿病だと知らなかった人でも、 血糖値が基準値を超えていた人の割合は62.7%以上でした。 脳卒中の再発予防は、薬物療法と基礎疾患の治療が基本です。 まずは、自分の基礎疾患を知ることが大切です。


●基礎疾患の治療

脳卒中の基礎疾患には主に「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症(高脂血症)」「メタボリックシンドローム」 「不整脈(心房細動)」などがあります。 生活習慣を改善し、それぞれの目標値を目指して管理することが大切です。

▼高血圧
一般に外来で測定した血圧(外来血圧)より、家庭で測定した血圧(家庭血圧)のほうが低くなるので、 外来血圧と家庭血圧の目標値は異なります。外来では正常値なのに、家庭では基準値を超える「仮面高血圧」 は見逃されやすいため危険です。なかでも、朝に血圧が高くなる「早朝高血圧」は、 「ラクナ梗塞」や「アテローム血栓性脳梗塞」などを起こしやすいので、注意が必要です。 こうした状態に気づくためにも、家庭で朝晩2回、自分で血圧を測る習慣をつけましょう。
【関連サイト】:『高血圧症』

▼糖尿病
糖尿病や高血糖があると、全身の血管が障害され、動脈硬化が起こりやすいため、「脳卒中」や「心筋梗塞」 の危険性が高まります。脳卒中の急性期には、脳卒中になったことによるストレスによって血糖値が変動しやすいので、 安定してから血糖値を測定し判定します。ただし「HbA1c」では過去1~2ヶ月の平均的な血糖値の状態がわかるため、 発症後でも判定の参考になります。この場合、HbA1cが6.0%以上は、糖尿病の可能性があります。
【関連サイト】:『高血糖症(糖尿病)』

▼脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症は心筋梗塞だけでなく、脳梗塞にも関係が深いことがわかってきました。 コレステロールに対しては「スタンチン系」の薬で下げることもありますが、食生活の改善が最も重要です。
【関連サイト】:『高脂血症(脂質異常症)』

不整脈
不整脈の一つである心房細動は加齢によっても起こります。主に、「心電図」を1ヶ月に1回測定しながら、 「ワルファリン」による「抗凝固療法」で脳梗塞の発症を予防します。

メタボリックシンドローム
腹部の臓器を包む「腸間膜」に脂肪が蓄積した肥満(内臓脂肪型肥満)に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常症 のうち2つ以上あることを指します。内臓脂肪型肥満があると、「インスリン」の働きが悪くなる 「インスリン抵抗性」が強まり、血糖や血圧の値が上昇したり、脂質も異常値を示すことがあります。 その結果、動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞を招きやすくなります。 肥満のある人は、まず減量を行いましょう。

脳卒中の再発予防のためには、食事や運動に気を配り、禁煙、 節酒をして自分で健康管理を行うことが大切です。 運動については、脳卒中の後遺症の程度によって可能な運動量が異なるので、担当医に相談してから行いましょう。