■ベンゾジアゼピン受容体作動薬とは?種類の違いは?

睡眠薬として広く使われてきた薬で、化学構造の違いから「ベンゾジアゼピン系」と「非ベンゾジアゼピン系」に分けられますが、 いずれも脳内でベンゾジアゼピン受容体に作用します。どのような働きで眠れるようにするのでしょうか?

人間の睡眠の仕組みには、疲れたから眠る『恒常性維持機構』と夜になると眠る『体内時計機構』があります。 ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、このうちの恒常性維持機構に働きかけるもので、脳が疲れて眠くなるような仕組みで眠りに導きます。 抗不安薬(精神安定剤)と同じ仲間の薬で睡眠薬として使われる薬も、不安を和らげる抗不安作用や、 筋肉の緊張を緩める筋弛緩作用を併せ持っています。

多くの種類がありますが、どのような使い分けをするのですか?使い分けは?

主に作用時間の長さを示す「消失半減期」によって分けられ、入眠障害には消失半減期の短いもの、中途覚醒や早朝覚醒には消失半減期が長いものなど、 不眠のタイプに応じて使い分けられます。 また、併せ持つ抗不安作用や筋弛緩作用の強さの違いもあり、非ベンゾジアゼピン系の方が比較的弱めです。 不眠に伴う不安や緊張が強い人では抗不安作用が有効ですが、筋弛緩作用も併せて強くなるため、それが副作用につながって使いにくいことがあります。 現在は、消失半減期が短く、筋弛緩作用が少ないゾルピテムゾピクロン、エスゾピクロンなどがよく使われています。、 2012年に登場したエスゾピクロンは、ゾピクロンの活性の高い部分を抽出した薬で、服用後に感じる苦みがゾピクロンより少なく、 中途覚醒にも有効とされています。


■「Q2.メラトニン受容体作動薬はどう違う?

メラトニン受容体作動薬は体内時計機構に作用する薬で、昼から夜へのスイッチを切り替えるように働きます。 不規則な生活や昼夜のメリハリがないために体内時計が乱れているタイプの不眠では、リズムの調整を助ける効果が期待できます。 一般に比較的軽症の不眠症に適し、特に高齢者など、ベンゾジアゼピン受容体作動薬で副作用が問題になりやすかった人にも使いやすい薬です。 ただし抗不安作用がないため、不眠が長く続いて、眠ることに対する不安やこだわりが強くなっている人には、あまり効果がありません。 また、ラメルテオンは1週間以上使い続けないと効果が現れないので、眠れない時に使う頓服で使うには適しません。