糖質制限食②

薬なしで血糖コントロール可能!
5000人超の患者に医師が勧める糖質制限食。


■糖質制限食②

下記の文章は、某健康雑誌より転載させていただきました。


●薬なしでもかなりコントロールできる

私のクリニックでは、これまで5000人以上の糖尿病の患者さんを診てきました。 その患者さんすべてに勧めているのが、糖質制限食です。 血糖降下剤を使わなくても、血糖値をかなりコントロールできます。 そうした症例を、最近の患者さんの中からご紹介しましょう。


◆Tさん(57歳・男性)

以前の病院で、血糖値を下げる薬を服用されていた患者さんです。 薬に頼らずに、自分で血糖値を下げたいと、来院されました。 初診時、ヘモグロビンA1c(過去1~2ヶ月間の血糖値がわかる数値で、正常値は5.8%未満)は、9.3%でした。 早速、糖質制限食を始めたところ、ヘモグロビンA1cは、2ヶ月後の4月には5.8%に下がり、5月にはすっかり下がって、 5.4%と正常値になりました。
また、来院時に73kgあった体重は、糖質制限食によって、9kg減って、64kgになったのです(身長170cm)。 なおこれ以上糖質制限をすると、痩せすぎになってしまうのでTさんには糖質制限食を緩めるアドバイスをしました。

◆Hさん(52歳・男性)

今年4月に初めて来院した時、ヘモグロビンA1cは11.0%と高い状態でした。 食後血糖値は、400~500mg/dl(正常値は110mg/dl未満)ほどあったと思われます。 尿アルブミン値は、22.9mg/g・Cre(正常値は18mg/g・Cre以下)と高く、軽い腎症の合併症がありました。 もともとは体重が69kgあったそうですが、前の病院で入院治療し、来院時は64kgに減っていました(身長168cm)。 すぐに糖質制限食を指導し始めたところ、翌月にはヘモグロビンA1cが7.2mgに下がり、4ヶ月後の8月には5,4%と 基準値内に入りました。体重はさらに減って、60kg台になりました。

奥さまは、天然甘味料を使うなどして、バラエティーに富んだ料理を作られています。 ご主人が飽きずに糖質制限食を続けられるよう、メニューも工夫されていたようです。 腎症には、薬(一般名:テルミサルタン)を使い、翌5月には、尿アルブミン値が5.5mg/g・Creと正常値に下がりました。 その後も良好に推移したため、腎症の薬は8月で終了しました。 その後は、糖質制限食のみを指導していますが、ヘモグロビンA1cも正常値で推移し、尿アルブミン値も上がらず、 現在に至っています。

◆Rさん(61歳・女性)

5月の来院時、ヘモグロビンA1cが9.3%あった患者さんです。 身長が153cm、体重が69kgと肥満気味で、脂肪肝がありました。 尿アルブミン値が24.9mg/g・Creと高めで高血圧もあり、最大血圧が145mgHg(正常値は140mgHg以下)でした。 糖質制限食を指導し、並行して水泳も始めました。運動効果もあってか、2ヶ月後にヘモグロビンA1cが6.1%に改善したのです。 尿アルブミン値と血圧が高かったので、薬(一般名:テルミサルタン)を処方。 尿アルブミン値は、翌月6.0mg/g・Creまで下がりましたが、血圧は少し高めまで、しばらく続ける予定。 体重は2年前よりも6kg落ちて68kgになりました。脂肪肝も改善しました。痩せた効果が大きかったと思います。

◆患者さんが続けやすい食事療法

患者さんに糖質制限食を指導するとき、必ず血糖値を自己調整してもらいます。 血糖値を測ると、何が血糖値を上げる食品なのかがよくわかり、食事に気を付けるようになるからです。 「自分で治そう」と思って取り組むのが一番です。糖質制限食は糖質以外のいろいろな食品をおいしく食べられ、 食事内容が血糖値にすぐ反映されるので、患者さんが続けやすい食事療法といえます。 糖質制限食を続けていると、必ず痩せてきます。注意していただきたいのが、中には痩せすぎてしまう人がいること。 もしどんどん痩せていくようなら、ひとまず糖質制限はやめ、糖質を摂取してください。 その時には、血糖値や尿アルブミンを薬でコントロールできます。 自分の適正体重から極端に減らさないように、気を付けながら行いましょう。