サプリメントの基礎知識2
『サプリメントの定義と制度』
■「サプリメント」の名称と定義
「サプリメント」という名称は、英語の「ダイエタリー・サプリメント」に由来し、「栄養補助食品」と訳されることが多いようです。 また「健康補助食品」という言葉もあります。 これらの「サプリメント」は、行政用語では「いわゆる健康食品」と総称されます。 「いわゆる健康食品」と呼ばれる理由は、「健康食品」という制度上の位置づけや定義が明確でないためです。 なお、前ページのように、2005年2月の厚生労働省の通知では、「いわゆる健康食品」を 「健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売される食品であって、保健機能食品でないもの」としています。 一般に、「健康食品」や「サプリメント(栄養補助食品)」は、健康の維持・増進を目的として利用される食品」を指します。 つまり、これらは、制度上は「医薬品」ではなく「食品」に分類されるのです。 また、多くの場合、後述する「保健機能食品」を含みます(下図)。
「健康食品」という名称については、「摂取すれば健康になる」という安易な印象を消費者に与えるために問題である」という意見と、 「すでに広く浸透している名称を変えると混乱する」という意見とがあります。 なお、サプリメントや健康食品といった食品にかかわる規則として、「食品衛生法」「健康増進法」「薬事法」 「JAS法(農林物資の規格化及び適正化に関する法律」「食品安全基本法」「景品表示法」等の法律があります。
■保健機能食品制度
「いわゆる健康食品」「サプリメント」は一般食品であるため、疾病の予防や改善といった効能・効果を表示することは、「薬事法」等によって規制されています。 しかし、サプリメントに関して、科学的根拠や制度化の問題を避けることはできないため、一定の根拠が得られた場合に、効果の表示が認められている食品があります。 現在、「保健機能食品制度」による枠組みによって、「栄養機能食品」と「特定保健用食品(トクホ)」の2種類が定められています。 「栄養機能食品」は、必須栄養素を対象とし、厚生労働省による一定の規格基準を満たすことを条件に、栄養素の機能表示を行うものです (なお、厚生労働省で行っていた食品表示等に関する業務は、2009年9月1日付で消費者庁へ移管されました。 そのため、特定保健用食品を含めて、食品衛生法や健康増進法の規定に基づく表示基準の策定等に関して、現在は、消費者庁が所管しています)。 「栄養機能食品」として販売するためには、1日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にある必要があり、 かつ、栄養機能表示だけでなく注意喚起等も表示することが求められます。 表示例として、「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」等があります。 栄養機能食品の製品は、個別の審査や認可を受けているわけではありません。 「特定保健用食品(トクホ)」は食品の持つ特定の保健の用途を表示して販売される食品です。 「特定保健用食品(個別認可型)」として販売するためには、食品の有効性や安全性について審査を受け、表示について消費者庁の認可を受ける必要があります。 「特定保健用食品」および「条件付き特定保健用食品」には、それぞれの認可マークが付されています。 「特定保健用食品」は、次のように分類されます。
- ①個別認可型(「疾病リスク低減表示」を含む
- 関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、疾病リスク低減表示が認められる。
- ②規格基準型
- 特定保健用食品としての許可実績が十分であるなど科学的根拠が蓄積されている食品について、規格基準を定める審議会の個別審査なく許可。
- ③条件付き特定保健用食品
- 従来の特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルに届かないものの、一定の有効性が確認される食品を、 限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として、許可対象と認める。
2009年8月現在、「特定保健用食品」として個別に認められている例として、整腸作用、コレステロール値低下作用、血圧調整作用、歯の健康維持があります。 また、規格基準型の特定保健用食品における関与成分は、食物繊維(難消化デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物と オリゴ糖(大豆オリゴ糖、フラクオリゴ糖、乳巣オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖)です。
●特別用途食品
「特別用途食品」は「健康増進法」によって「販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示をしようとする者は、 消費者庁長官の許可を受けなければならない」と規定されています。 「特別の用途に適する旨の表示」とは、乳児、幼児、妊産婦、病者等の発育あるいは健康の保持もしくは回復の用に供することが適当な旨を 医学的・栄養学的表現で記載し、かつ用途が限定されたものを指します。 例えば、許可基準型の病者用食品として、総合栄養食品(いわゆる濃厚流動食)、低たんぱく食品、アルルゲン除去食品、無乳糖食品等があります。 また、病者用組み合わせ食品として、減塩食調整用組み合わせ食品、糖尿病食調整用組み合わせ食品等があります。 また、前頁で述べた「特定保健用食品(トクホ)」は、「特別用途食品」のうち、 食生活において特定の保健の目的で摂取するものに対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をするもの」と規定されています。 したがって、「特定保健用食品」は「特別用途食品」の1カテゴリーに分類されます。
●健康や栄養に関する表示が可能な製品
食品に分類される製品の中で、健康や栄養に関する表示が可能な製品は、前述の「栄養機能食品」「特定保健用食品」「特別用途食品」のいずれかです。 これら以外の一般食品では、食品や素材の持つ効能・効果や機能を表示することはできません。 したがって、「いわゆる健康食品」「サプリメント」では、効能・効果の表示が認められていないのです。 医薬品と誤認されるような表示は、薬事法等の関連法規によって禁止されています。