サプリメントの基礎知識1
『サプリメントとは?』
日本ではサプリメントと言われていますが、正式にはダイエタリー・サプリメント(Dietary Supplement)の略で、栄養補助食品、健康補助食品のことです。
dietaryは「食事の」と言う意味で、一般でいうダイエットとは直接の関係はありません。
supplementは、補足という意味なので、「日常の食事で不足する栄養を補うもの」ということになります。
アメリカではサプリメントはきっちりとDSHEA法という法律で「ハーブ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸などの栄養素を
1種類以上含む栄養補給のための製品」と規定されています。
しかし、日本では明確ではありませんが、法律上は「医薬品」ではなくカプセルでも「食品」に分類されています。
そう、あくまでも、野菜や果物と同じ食品なのです。
あくまで「医薬品」ではないので、病気の予防や治療を目的にはできず、「効能」の表現はできません。
「癌に効く」「高血圧の予防に」という表現はできません。
医薬品は体にとっては異物ですが、サプリメントは栄養素なので体に存在する構成成分です。
医薬品がなくて病気にはなりませんが、栄養素が不足すると病気になることはあります。
よって、医薬品は発症してからの治療を行う、サプリメントは病気にならない体を作る健康維持、という役割分担になっているということです。
別の視点で見ると、医薬品は病気・症状に働きかけて熱を下げたりしますが、
サプリメントは体の調整機能や代謝、血液循環を良くし自然治癒力を高めるために働きます。
サプリメントは直接病気・症状に働きませんが、自然治癒力を高めた結果として、病気・症状が改善されることになります。
体が必要とする十分な栄養素を食事から摂ることが理想です。
しかし、現在の食事はどうしても「カロリー過剰・微量栄養素不足」。
頼みの野菜すら、昔と比べて栄養素が7分の1から20分の1になっています。
しっかりした食事とサプリメントが健康維持に重要になっているということですね。
■サプリメントとオプティマ・ヘルス
健康志向の強い米国では、「オプティマ・ヘルス」という健康観が広まっています。 日本語では「至適な健康」などと訳されるようですが、わかりやすくいえば「ベストな状態で健康を維持すること」という意味です。 つまり、健康であることは、単に病気ではないという状態ではなく、積極的にライフスタイルを見直し、自分にとってベストな体調・状態を維持していることを指します。 これまで、健康問題は、病気の早期発見・早期治療が中心でした。 現在では、予防医学の重要性が認識されるようになりましたが、現在では、予防医学の重要性が認識されるようになりました。 そして、健康を維持し疾病を予防することが最も大切なこととして強調されています。 個人のレベルで、健康を維持・増進し、疾病を予防しようとするのが「オプティマ・ヘルス」です。 オプティマ・ヘルスの実現には、適切な食生活と運動習慣といったライフスタイルの改善が基本となります。 また、サプリメントを上手に利用することも重要な手段といえるでしょう。
■サプリメント大国・米国
一般に、米国では、国民の健康管理意識が高く、各自が疾病予防に積極的に取り組んでいます。
米国は、日本とは医療保険制度が異なり、病気になると高額な医療費や保険料が必要となります。
そのため、人々の最大の関心は、日頃からの健康維持にあります。
近年、サプリメントを上手に利用して、体の状態を最適に保とうとする人々が増えてきています。
米国で、ビタミン類の保健効果についての知識が一般に広まったのは1970年代のことです。
ビタミン類を販売する店舗が増えてきたのも同時期ですが、当時はごく限られた人々が利用する程度でした。
サプリメントの利用が急増したのは、1990年代のことです。
1990年の栄養表示・教育法(NLEA)や1994年のダイエタリー・サプリメント・健康教育法(DSHEA)の制定により、
サプリメントが医薬品と食品との間での法的な位置づけを与えられたことがきっかけとなりました。
DSHEAの制定以後、ビタミン、ミネラル、ハーブなどについて認可されている成分であれば、比較的容易に製品化ができるようになりました。
さらにその後、体の構造や機能への効果に関する健康強調表示についての規制緩和も行われつつあります。
一方、現在では、DSHEAを見直す時期に来ているという専門家も少なくありません。
規制緩和の進んだ米国では、サプリメントに関して、さまざまな問題が生じているのも事実です。
一般に、疾病予防や生体の機能改善に関する栄養学の研究は、米国が世界をリードしているといえるでしょう。
米国では、ビタミン、ミネラルから植物の抗酸化成分(ポリフェノールなどのファイトケミカル)に至るまで、たくさんの研究が行われてきました。
そして、サプリメントを利用した栄養学が科学的根拠(エビデンス)に基づく方法として確立し、専門家が活躍しています。
消費者側も、サプリメントに関して有用な情報を得やすい環境にあります。
■サプリメントとは?
サプリメントは、ビタミンやミネラル、タンパク質やアミノ酸、脂肪酸、食物繊維といった栄養素、 ファイトケミカル(植物の抗酸化成分の総称)やハーブ類、その他の動植物の有効成分など、体に有用とされる物質を含む食品です。 英語ではダイエタリー・サプリメント、日本語では栄養補助食品と呼ばれています。 2000年に発表された厚生省(当時)の報告書によると、サプリメントは次のように定義されています。
- ▼サプリメント
- 栄養成分を補給し、また特別の保健の用途に資するものとして販売の用に供する食品のうち、錠剤、カプセル等通常の形態でないもの。 範囲は、ビタミン、ミネラル、ハーブ、その他の食品の成分。
また、2005年2月の厚生労働省の通知では、「いわゆる健康食品」について次のように述べています。
- ▼いわゆる健康食品
- 健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売される食品であって、保健機能食品でないもの。
サプリメントは、体の健全な成長や発達、健康の維持に必要な栄養成分の補給を目的としたものです。 成分の多くは通常の食品に含有される栄養素ですが、ハーブサプリメントの場合には、そのハーブ(薬用植物)特有の成分も含まれます。
■ライフスタイルの変化に応じたサプリメントの選択
最近の食生活の傾向として、エネルギーの過剰摂取、特に動物性脂肪の摂り過ぎ、加工食品の割合の増加、
栽培方法の変化に伴う野菜や果物に含まれる
ビタミン類の減少といったことが挙げられます。
特に、加工食品を多用することでミネラルの潜在的不足が懸念されています。
このような食生活の変化に伴い、念のためにと、ビタミンや
ミネラルなどをサプリメントから補給する人が増えてきました。
さらに、老化や発癌の一因として活性酸素の作用が一般にも知られるようになり、
その害を小さくするために、抗加齢(アンチエイジング)や病気の予防を目的として、
抗酸化作用のあるサプリメントを服用する場合もあります。
サプリメントにはたくさんの種類があり、どのサプリメントをどれだけ摂取するかは、各自の体質や性別、年齢、生活習慣やストレス、
喫煙や飲酒といった生活習慣などにより異なります。
サプリメントは医師から処方される医薬品とは違って、一般に、その効果に過度の期待はできません。
しかし、医薬品の成分には、もとは植物から発見されたものがたくさんあります。
また、漢方薬は日本でも広く処方され、効果・効能が確立されているのも事実です。
さらに、最近の動向として、
ハーブサプリメント
などの作用メカニズムや効果を医学的に検証するための臨床研究が盛んに行われるようになってきました。
そして、サプリメントの有効性が徐々に証明されつつあります。
以上のように、サプリメントは医薬品に近い側面も持っています。
特にハーブ類は、欧米などで薬草として伝統的に利用されてきたものが、サプリメントとして出回っています。
効果や安全性が比較的確立していますが、自分の目的に合った使い方をすることも大切です。
■サプリメントを摂る意義
食事かサプリメントか?
健康の維持・増進および疾病の予防の基本は、 適切な食生活と 運動習慣にあります。 それらのライフスタイルを見直した上で、サプリメントを上手に利用しましょう。 サプリメントを摂る理由として、①日常の食事では不足しがちな栄養素を確実に摂る、②特定の効果・効能を得るためにある程度の量を摂取する の2つが挙げられます。 例えば、抗酸化ビタミンの代表であるビタミンCの場合、 1日の推奨量である100mgは、食事から摂ることのできる量です。 しかし、十分な抗酸化効果を得ることで疾患を予防するためにビタミンCを1日当たり500~1000mg程度摂るという考え方があり、 そのためには食事からだけでは難しく、一般にはサプリメントを利用することになります。 今日のライフスタイルを考慮すると、食生活も不規則になりがちですし、無理なダイエットをしている人では栄養素が潜在的に不足するかもしれません。 また、高齢者は、一般に小食であり、かつ消化吸収能力が若年者に比べて劣るので、サプリメントを利用する意義があるでしょう。
■サプリメントの分類や表記(1)
サプリメントは、食品ですから、医薬品のように効能を表示することはできません。 しかし、最近、「トクホ」という言葉をよく聞きませんか? これは、厚生労働省が、ある健康表示をつけることを許可した食品で、「特定保健用食品」のことです。 通常の健康食品やサプリメントには厳しく規制されている「健康への有用性」を表示することができます。 これは、生活習慣病の一次予防を目的に作られたもので、一つ一つの製品に対して、 日本人を被験者としたヒト臨床試験などの厳しい審査が行われ、その有効性が科学的に証明された場合に表示が認められます。 但し、たとえば「高血圧を改善する食品です」とは許されず、直接症状や疾病の改善につながる内容は表示できません。 「血圧を正常に保つことを助ける食品です」といった、ゆるやかな表記になります。 利用者から見れば、国のお墨付きであり安心できそうですが、科学的根拠、臨床試験数、結果などはあまり開示されていないようです。 また、一度許可されると、無期限に表示が有効です。100%表示を信頼するのではなく、少し調べる姿勢が必要かもしれません。
■サプリメントの分類や表記(2)
サプリメントって、いっぱいあって何を選んだらいいかわからないですよね。上記では、「トクホ」について説明しました。 このトクホ、特定保健用食品は、個別の商品ごとに厚生労働省が許可して、効能を表示できる制度でした。 ここでは、トクホと同じように法的に認知されている「栄養機能食品」と「健康補助食品」についてです。
栄養機能食品は、トクホと違い「規格基準型」で、一日の栄養素の摂取量が国が決めた基準値内にあれば、審査なしに付けることができる肩書きです。 対象が決まっており、ビタミン12種類とミネラル2種類に限られています。 その基準値は、上限値は一日に摂取できる最大限度量、下限値は栄養所要量の1/3になっています。 但し、独自の考え方から基準値内を超えるサプリメントもあり、この表示がないから役に立たないということではないということを理解しておきましょう。 アメリカでは推奨摂取量の5倍、10倍というサプリメントもあるそうです。
また、JHFAという表示のサプリメントもあります。これは、財団法人日本健康・栄養食品協会(JHFA)の認定マーク。 有効成分が表示どおり含有されているか、有害物質が入っていないかの品質チェックを行っており、「健康補助食品」と呼んでいます。 不足している栄養を補うという意味より一歩進めているわけですね。 特定保健用食品、栄養機能食品、健康補助食品といった表示の内容を理解して、自分に合ったサプリメント選びに役立ててください。