サプリメントの基礎知識3
『サプリメント選びの基礎知識』
■サプリメントと医薬品との違い
サプリメントには、薬事法で規定された医薬品とは異なる点がいくつかあります。 そのうち、決定的な相違点は、医薬品であれば服用方法が確立しており、また製品に含まれる成分も決められた量になっていることでしょう。 一方、サプリメントは食品として分類されるため、医薬品のような服用方法は記載されていません。 また、特定の用法や容量が認可されたわけではないので同じ主成分の製品であってもメーカーごとに主成分の含有量に多少の違いがあります。 消費者は、メーカー名とパッケージあカタログに記載された内容でサプリメントを選ぶことになります。 パッケージを見て製品を選ぶ際には、次項で説明する内容が記載されているか、確認しましょう。
■サプリメントの成分
サプリメントに用いられる成分は、①ビタミン類、②ミネラル類、③タンパク質やアミノ酸、④脂肪酸、⑤食物繊維、⑥ファイトケミカル、 ⑦ハーブ類、⑧動植物に由来するその他の成分などです。 近年、米国では、サプリメントの中でもハーブサプリメントが急速に普及しており、 成人の3人に1人、数千万人もの人が何らかのハーブを摂っているというデータもあります。 なお、本サイトでいうハーブサプリメントは、わが国において医薬品としても処方される「漢方薬」ではなく、 欧米を中心に世界各地の伝統医学で用いられてきた「ハーブ」で、今日では一般にサプリメントとして使用されている薬用植物を指します。 サプリメントの主成分がそのまま製品名になっている場合も多いのですが、一方で、最近は例えば、 「肝臓を守る」「体力を維持する」「風を防ぐ」といったネーミングもみられます。 後者のようなケースでは、パッケージのラベルで、具体的な成分名と含有量を確認する必要があります。 また、主要な有効成分が製品名になった場合でも、成分の含有量を確かめることが大切です。
■サプリメントのパッケージの見方
サプリメントを選ぶ際には、外装やラベル、カタログをよく確認しましょう。
まず確かめるのは、内容成分と含有量です。
商品名が栄養素やハーブ類の名称と異なる場合、そのサプリメントがどのような有効成分をどのくらい含んでいるのか、内容成分と含有量を見ることで確かめられます。
また、栄養成分も参考にしましょう。エネルギー量(カロリーあるいは熱量)、タンパク質や脂質、糖質(炭水化物)といった主な栄養素別に
成分が表示されているはずです。
次に原材料がきちんと表示されているかも必ず確認します。
原材料には、有効成分である栄養素やハーブ類の名称以外に、そのサプリメントに使用されている成分が含まれます。
つまり、サプリメントには、形状を保つための充填剤や粘着剤、表面加工のための添加物が使用されているのです。
これらの成分には、ゼラチンやグリセリン、ミツロウなどがあります。
原材料として用いられている個別の成分の働きについては、あまり神経質になる必要はないでしょう。
ただし、過去に医薬品や食品でアレルギー症状が生じたことのある人では、サプリメントに使われている原材料でも同じ症状が出る可能性があります。
例えば、カニやエビなどの甲殻類にアレルギーのある人はキトサンの使用には注意が必要かもしれません。
そのため、有効成分としての内容成分だけではなく、原材料名も明らかにしているサプリメントを選ぶ必要があります。
さらに、パッケージやラベルに、賞味期限、保存方法、製造あるいは販売業者の名称と連絡先が明記されているかどうかも確認しましょう。
また、異物混入などの犯罪から製品を守るための対策が講じられているかという点も大切です。
具体的には製品が?がれにくい安全シールで封をされているかということです。
あるメーカーには商品のパッケージが開封しずらいという苦情が時々寄せられるといいますが、
これは逆に安全シールが適切に機能していることを示す例といえるでしょう。
■製品表示と含有量の相違
サプリメントは、「いわゆる健康食品」として分類されるため、各製造販売メーカーの別の製品により、有効成分の組み合わせや摂取目安量が異なります。 、 さらに、サプリメント・健康食品の問題点として、製品パッケージに記載されている数値(含有量)と、 実際の測定値が大きく異なるという事例も報告されています。 例えば、日本では2005年から2006年にかけてコエンザイムQ10入りとうたった健康食品に関して、 表示よりもはるかに少ない含有量しかないことが判明し、景品表示法違反に問われたケースが散見しました。 これらの問題は、米国製など海外のサプリメント製品についても発生しています。
■製品表示の確認
サプリメント製品を選ぶ際には、1日あたりの摂取量の確認が必要です。
医療用医薬品と異なり、サプリメントの多くは用法・用量が規定されていません。
そのため、製品ごとに、1日あたりの摂取目安量が、有効成分換算で大きく異なります(なお、公的機関により1日あたりの摂取目安量の上限値が
決められている成分も存在します)。
また、有効成分の含有量・1日あたりの摂取目安量については、メーカーや製品によって表示方法も異なるため、注意が必要です。
例えば、コエンザイムQ10の場合、2006年時点で、次のような製品が日本で流通しています。
ある製品えは、成分欄に「コエンザイムQ10末 120mg」という表示があります。
この120mgという含有量は「1袋当たり(80粒)あたり」であり、その製品の摂取目安量である1日2粒に換算すると3mg/日の摂取に過ぎません。
一方、大手メーカーのコエンザイムQ10製品では、1日あたり60~100mgが摂取目安量とされることが多いようです。
このように、消費者に「誤認」を生じさせることを意図したような製品が、数多くあるため、注意を要します。
特に誤認しやすいのは、有効成分の含有量でしょう。
例えば、「イソフラボン20mg」と記載されている場合、それが、「1粒当たり」なのか、「1日(摂取目安量)あたり」
なのかといった確認が「費用対効果」の視点から必要です。
■サプリメントの形状
一般的なサプリメントの形状としては、錠剤、カプセル、ドリンク剤などの液体、粉末や顆粒などがあります。
また、錠剤に成型したビタミン類のサプリメントでは、チュアブルタイプといって?み砕いて摂る種類もあります。
呼吸の速度はそれぞれの形状によって異なり、一般的にはドリンク剤のほうが吸収は速いとされます。
かつて、日本では医薬品と紛らわしい形状を禁止する規制があったため、錠剤やカプセルの形をしたサプリメントはなく、
医薬品では使用されることのない形や色でした。
しかし、現在では規制緩和により、カプセルや錠剤などの形状で製造してよいことになっています。
ところで、日本製と米国製では、サプリメントの大きさがかなり異なります。
米国製のサプリメントの中には非常にサイズが大きく、飲み込みにくいものがあります。
特に嚥下機能が低下している高齢者では、大きな形状のサプリメントは要注意です。
米国製のサプリメントをそのままの形状で輸入販売している日本のメーカーもあるので、購入の際には形状を確認しましょう。
■ハーブサプリメントの特徴
ヨーロッパのほか、世界各地に由来する薬用植物(ハーブ)が、サプリメントとして利用されるようになりました。
ハーブサプリメントでは、錠剤やカプセルのほか、チンキ(ティンクチャー)、搾り汁液などの形状があります。
ハーブサプリメントの売上別に見ると、カプセルが最も多く、錠剤が続きます。
カプセルは、ハーブの持つ不快な匂いや味、刺激性などを防ぐ目的で使用されます。
ハーブサプリメントで錠剤よりもカプセルが好まれる理由は、不快な匂いがないことや飲みやすさにあるようです。
カプセルには、顆粒や粉末状のハーブに適したハードカプセルと、液状成分をゼラチンで包んだソフトカプセルの2種類があります。
どちらのカプセルも服用後10分ほどで胃液の作用により速やかに溶け、内容物が放出されます。
なお、カプセルには徐放剤といって長時間をかけて内容物を放出するタイプや、腸液カプセルといって胃液に抵抗性を持ち
小腸で溶けるタイプなどもあります。
錠剤は乾燥ハーブやハーブ抽出物の粉末・顆粒に、剤形を整えるための成分を加えて作られています。
不快な味や匂いを少なくするためにコーティングされることもあります。
ハーブサプリメントに見られるチンキという形状は、原材料のハーブをエタノール抽出して得られるものです。
アルコールの濃度を調整することで、水溶性から脂溶性までさまざまな成分を抽出できるメリットがあります。
また、アルコールの代わりに、グリセリンによるチンキも作られています。
チンキに含まれるアルコールが問題になる場合、例えば子供や妊婦が使用するときのためです。
ただし、グリセリンは、アルコールに比べると抽出効率が低い傾向があります。
チンキのサプリメントは、ハーブ特有の匂いや味があり刺激性が強いので、あまり使用されていません。
チンキはガラス容器を使うため、破損することもあり得ます。
ハーブサプリメントでは、その製品がどのように作られたか、つまり栽培方法や抽出方法、および製品の形状などが重要です。
例えば形状に関しては、ハーブの乾燥粉末でもチンキでも治療に使用できるハーブもあれば、チンキやエキスでないと効果が期待できないハーブもあります。
現在、ハーブ類の有効成分が特定されつつあり、そのデータに基づいてハーブサプリメントの規格化が進んでいます。
一般に、ハーブ類は製品による品質の差が大きいため、信頼のおけるメーカーのものを使用するほうが好ましいでしょう。