狭心症の検査

狭心症かどうかは専門医が問診を行えばほぼ見当がつきますが、確認や病態把握のために、下記のような検査が行われます。


■狭心症の検査では?

狭心症が疑われる場合、かかりつけ医や内科、循環器科などを受診すると、まず、問診と心臓の拍動の状態を見る「心電図検査」が行われます。 個々で心臓の異常が疑われた場合は、画像検査の「心エコー検査」や、運動中の心電図を記録する「運動負荷試験」、 心電図を24時間連続して記録する「ホルター心電計」といった検査を行います。 これらの検査で狭心症だと診断されたら、治療方針を決めるために、心筋の血流の状態を調べる「心筋シンチグラフィー」、 冠動脈の内部の状態を調べる「カテーテル検査」などが行われます。


●検査内容

▼問診
いつ、どんな具合に、どこに症状が起こるか、どれくらい続くか、持病や家族の病歴などが質問されます。 心臓の拍動の様子や血液の流れなどを聴診したり、血圧測定も行われるます。

▼胸部エックス線検査
心臓の大きさや形、肺の異常の有無などを調べます。

▼血圧測定・血液検査
高血圧糖尿病脂質異常症などの危険因子について調べます。

▼心電図検査
心臓は電気刺激によって拍動しており、この電気刺激の状態を調べることで、 拍動の状態や、心臓の病気の有無や種類をみます。 検査では安静時の心電図をまず調べます。

▼心エコー検査(超音波検査)
超音波によって心臓の状態を映し出す画像検査です。 実際に動いている状態を確認することで、心臓のどこに異常があるかを調べます。 心臓の収縮と拡張の動きから心機能をみたり、心臓内部の形態を調べたりします。

▼運動負荷試験
運動中の心電図を記録する検査です。 医師の指示と管理の下で、運動によって狭心症が起きやすい状態にして、心電図に現れる変化を調べます。

▼ホルター心電計
携帯型の心電計を24時間装着して、通常の生活を送りながら、心電図を記録します。 睡眠中に起こる発作や症状としては現れない変化をとらえることができます。

▼心筋シンチグラフィー
心筋に集まりやすいアイソトープ(放射性医薬品)を注射し、心筋に取り込まれた状態を特殊なカメラで撮影します。 冠動脈が心筋にどのように血液を送っているかなどがわかります。

▼冠動脈造影検査(カテーテル検査)
直径2mmの細い管(カテーテル)を、手首や腕、脚の付け根から心臓の冠動脈の入り口まで送り込み、 造影剤を注入してエックス線撮影を行います。冠動脈の状態を知るには最も精度の高い検査です。 狭心症の確定診断とともに、治療法を決定する上で重要な検査です。

▼CT検査
精度の高い検査機器と造影剤の使用により、冠動脈の狭窄がかなり把握できるようになってきています。

◆運動負荷心電図検査

▼マスター2段階法
2段の階段を上り下りした前後の心電図をとります。
▼トレッドミル法
ベルトコンベア状の装置の上を歩いたり走ったりしながら心電図をとります。
▼エルゴメータ法
自転車こぎ運動をしながら心電図をとります。

◆MDCT

カテーテル検査は血管に管を入れるため、体への負担が大きく、入院が必要となることもあります。 そこで、最近では体への負担が軽い「MDCT」による検査が行われることがあります。 MDCTとは、エックス線を使って体を輪切りにした状態を撮影できる 「CT(コンピュータ断層撮影)」の検出器を増やした装置で、「マルチスライスCT」とも呼ばれます。 従来のCTに比べて、撮影時間が短いため、撮影中に息を止める時間も短くて済みます。 また、冠動脈など体内の様子を、より詳細に写し出すことができます。 現在はMDCTによる検査を受けられる医療機関は限られていますが、今後は急速に普及していくと思われます。