大腸癌を予防するには?
「運動をする」「食生活に気を配る」などの生活習慣の改善が、大腸癌発生の危険性を減らします。
■生活習慣の見直し
まずは生活習慣を見直すことが大切
大腸癌の発生には、「加齢」のほか、「肥満」 「喫煙」 「過度の飲酒」 「運動不足」が関係しています。 これらの要因の複数が重なると、大腸癌発生の危険性をさらに高くすると考えられています。 国立がん研究センターの研究によると、例えば、1日平均3合以上のお酒を飲み、タバコを吸う男性の場合は、 飲酒も喫煙もしない男性に比べて、大腸癌の発生率が約3倍になります。 大腸癌を予防するには、一つ一つの生活習慣を見直して、危険因子をできるだけ減らすことが大切です。
- ▼加齢
- 大腸癌と診断された人の多くは60歳以上で、高齢になるほどリスクは高くなります。 加齢は避けることのできない要因ですが、年齢とともにリスクが高くなることを意識して、定期的に検診や検査を受けることが大切です。
- ▼肥満
- 肥満があると、大腸癌のリスクが高くなります。 日本では、BMI値が25以上の場合に肥満と判定されます。
- ▼喫煙
- たばこの煙には発癌物質が含まれており、大腸癌を発生しやすくすると考えられています。 喫煙している人は、まず禁煙を。
- ▼過度の飲酒
- 男女ともに、一日にアルコール量23g以上の飲酒をする人では、お酒を全く飲まない人に比べて、大腸癌が発生するリスクが高くなります。
- ▼運動不足
- 運動不足になると、腸の動きが低下し、腸内に便が長くとどまって、便に含まれる発癌性物質に腸がさらされる時間が長くなると考えられます。
●大腸癌を予防するために
◆運動
運動をすることで、大腸癌が発生するリスクを下げられることがわかっています。 大腸癌の予防に役立つ運動量や運動の種類については、はっきりしたことはわかっていませんが、 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動2013」では、次のように推奨されています。
- ▼18~64歳
- 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動(速歩きや自転車漕ぎなど)を毎日60分間、 それに加え、息がはずみ汗をかくくらいの運動を週に60分間行う。
- ▼65歳以上の高齢者
- 強度を問わず毎日40分間体を動かす。
大腸癌の予防においても、この程度の運動を行うことが適当だと考えられています。
◆食生活
ハムやソーセージなどの加工肉、また、牛肉・豚肉などの赤身の肉を大量に摂取すると、大腸癌発生のリスクが高まる可能性があります。 ただし、日本人の一般的なレベルの摂取量であれば、あまり気にする必要はありません。 一方、食物繊維を多く含む食品は、 大腸癌発生の予防に繋がると考えられています。野菜類や果物、芋類、豆類は、食物繊維を多く含むので、積極的に摂りましょう。 また、カルシウムを多く含む食品も、 大腸癌発生の予防に繋がるとされています。これらのことを意識しながら、さまざまな食品をバランスよくとることが重要です。
■大腸癌発生に繋がる病気に注意する
大腸癌の発生は、遺伝が原因になることがあります。特に次のような遺伝性の病気がある場合には、定期的に大腸内視鏡検査を受けるなど、注意が必要です。
- ▼家族性大腸腺腫症
- 大腸全体に良性のポリープがたくさんできる病気で、そのままにしていると、高い確率で大腸癌を発症します。
- ▼リンチ症候群
- 発癌を抑える遺伝子に変異が起こり、いくつかの癌を発症しやすくなる病気です。 最も多いのが大腸癌で、そのほかに子宮体癌(子宮内膜癌)、卵巣癌、胃癌、小腸癌なども発症しやすくなります。
これらの遺伝性の病気がある場合、若いうちから大腸癌を発症しやすくなります。 上記の条件に一つでも当てはまる場合は、遺伝子検査を受けることをお勧めします。
■そのほかの病気
大腸の良性ポリープ(腺腫)、潰瘍性大腸炎、クローン病 なども大腸癌に繋がりやすい病気です。これらの病気がある場合は、定期的に大腸内視鏡検査と適切な治療を受けることが大切です。 また、大腸癌は進行すると、血便、下痢と便秘を繰り返す、便が細い、便が残る感じがする、お腹が張る、腹痛、貧血などの症状が現れやすくなります。 大腸癌に繋がる病気があって、このれらの病状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。