■血圧だけでなく血糖値も高いので、合併症が心配です。どの降圧薬が適していていますか?

【答】

高血圧高血糖を伴っている人には「ARB」という降圧薬が適しています。 血圧を上昇させる原因の一つに、アンジオテンシンⅡという物質があります。 アンジオテンシンⅡは、内臓脂肪や肝臓から分泌されたアンジオテンシノーゲンという物質が、 レニンやACEという酵素の働きによって 変化して生まれます。この一連の流れはレニン・アンジオテンシン系と呼ばれます。 アンジオテンシンⅡには、血管を強く収縮させて血圧を上げる働きがありますが、 ARBは、アンジオテンシンⅡと結合する細胞の受容体を塞いでアンジオテンシンⅡの血管収縮作用を妨げ、血圧を下げます。

ARBには、血液中の糖を処理するインスリンの効きをよくするという作用もあります。 日本高血圧学会でも、高血糖を伴う高血圧の患者さんへのARBの処方が推奨されています。 また、ARBには心臓や腎臓、脳などの血管を保護する働きもあります。 高血圧で心臓肥大や心不全を併発した人、腎臓の機能が衰え始めた人にもARBは適しています。 ただ、重症の腎臓病の人は高カリウム血症を招く危険があり、服用できません。妊娠にも使用不可です。 同様に、レニン・アンジオテンシン系に働きかける降圧薬にACE阻害薬がありますが、ARBの利点が多いため、 一般にはARBが選択されます。

▼関連項目
『レニン・アンジオテンシン系抑制薬』