高血圧対処法『歩いて血圧改善』

1日に歩く歩数と血圧は反比例し、よく歩く人ほど血圧は低く、健康長寿になることがわかりました。 高血圧を自分で下げ血管の老化を止める一番の決め手は10歩1呼吸の腹式呼吸歩きです。


■1日に歩く歩数と血圧との関係

歩かない人は血圧が高い

年を取るにつれて、それまで健康だった人も、多かれ少なかれ高血圧や糖尿病といった生活習慣病になるおそれが大きくなります。 生活習慣病は、ある程度進行しないと症状が出てきません。 しかも、いったん病気になると、なかなか治らないのが厄介な点です。 こうした生活習慣病の予防や改善に効果をあげるのが運動です。 運動といっても、難しく考えることはありません。毎日の生活の中でよく歩くことが、特に高血圧の予防と改善に、 優れた効果を発揮するからです。

すでに十数年前、厚生省は、1日に歩く歩数と血圧は反比例の関係になるという調査結果を発表しています。 この調査によると、女性の場合、1日の歩数が2000歩未満の人の最大血圧(基準値は101~139mmHg)は、 平均140mmHgだったのに対し、1万歩以上歩く人は、平均130mmHgでした。 なお、2000歩歩く人と1万歩歩く人の中間の歩数でも、歩数と血圧ははっきりと反比例の関係にありました。 また、医療機関の調査でも、血圧が高いので注意が必要と指摘された人は、そうでない人に比べると、 1日の歩数が3500歩も少なかったということがわかっています。

なぜ、よく歩くことが、高血圧の予防と改善に役立つのでしょうか。
食べ物から摂った糖分は、体内で必要に応じてエネルギーとして使われます。 しかし、運動不足になると、エネルギーがあまり使われなくなります。 その結果、余った糖分は血中脂肪として血液中に貯蔵されたり、体脂肪に変化して体に蓄えられたりします。 血液中の脂肪が使われずにいると、血管の内側にこびりつき、やがて硬くなって血管の柔軟性を奪います。 これが動脈硬化です。 動脈硬化の起こった血管では、血液の循環が円滑にいかなくなり、その結果、血圧が上昇し、高血圧を引き起こします。 高血圧の原因には、遺伝やストレス、塩分の摂りすぎなどがありますが、根本的には動脈硬化が進み、 血液が通りにくくなったところに、無理に血液を通そうとして、血管に余分な圧力がかかることから起こります。 運動は脂肪の代謝を促します。その結果、硬化した血管を若返らせることができます。



■体調を整え、徐々に距離を延ばす

歩き始めると、10分ほどで体が温まり、たまった脂肪がエネルギーとして燃え始めます。 同時に血管そのものも温まることで太くなり、血液の流れがよくなります。 運動することで血管が太くなると、だんだんと血管に柔軟性が戻ってきます。 その結果、上昇していた血圧が下がり、安定するのです。 よく歩くことの効果は、血圧を下げるだけではありません。心臓や肺の機能も強くし、老化を予防します。 さらに、歩くと太ももの前側にある大腿四頭筋が刺激されます。 その刺激は脳に伝わり、脳の働きが活発になります。 また、血流がよくなることで、脳に酸素と栄養も十分に行き渡るようになります。 その結果、物事に対して積極性が出てきて、それが心身の健康を保ち、生きがいを持つことにもつながります。 これが、ひいては健康長寿をもたらしてくれるのです。

では、毎日どのくらい歩けば高血圧の予防や改善に効果を期待できるのでしょうか。 それまであまり歩いていなかった人が、急に無理をして歩くと、腰痛や膝痛を起こし、 かえって体調を損ねることにもなりかねません。 まず、自分の体調を整え、2000~3000歩から始め、体が慣れてきたら徐々に距離を延ばすようにするといいでしょう。 また、血圧の高い人がいきなり長い距離を歩くと危険な場合もあります。 そういう人は、かかりつけの医師と相談してから始めるようにしてください。 大切なことは、毎日歩くということです。よく歩くことを毎日の生活の一部に取り入れて、実行していってください。

【関連項目】:『ウォーキング』