世界が注目する癌予防野菜
『ブロッコリー』
『ブロッコリー』には、解毒作用・抗癌作用・抗酸化作用のある「スルフォラファン」、 解毒作用・抗癌作用・抗酸化作用のある「インドール」、抗酸化作用・抗癌作用・老化防止作用のある 「ポリフェノール」、 整腸作用・コレステロール値低下作用・抗癌作用・糖尿病予防作用のある 「食物繊維」が含まれています。
■メディチ家の姫が嫁ぎ先に持参した野菜
「ブロッコリー」はアブラナ科の仲間で、キャベツの一変種として地中海沿岸で生まれました。 別名を「芽花野菜」「緑花野菜」ともいい、初期の品種は花蕾も小さく、主にやわらかい茎が食用にされていました。 イタリアでは、ローマ時代から重要な野菜として改良が加えられ、文献ではルネッサンスのころ、メディチ家の姫さまが、 フランスのヴァロア家に輿入れするときにブロッコリーを持参したと記されています。 つまり、それほど貴重で薬効のある野菜だったわけです。
■極めて高い発癌抑制率
ブロッコリーは、数年前から日米両国で急速に需要を伸ばし、日本でもすっかり定着した野菜です。 なぜこのように需要が急増したのでしょうか。 それは、「ブロッコリーは癌予防に絶大な効果がある」という研究報告が数多くなされたからです。 代表的な研究報告を、2つ紹介しましょう。
一つは、マウスを使った発癌物質の投与実験です。これは、普通のエサで飼育したマウスと、ブロッコリーを濃縮したエサで飼育したマウスに、 それぞれ同じ量の発癌物質を投与した実験です。その結果、前者は後者に比べて腫瘍の発生する確率が非常に高く、 逆に、ブロッコリー食のマウスは極めて低いことが判明しました。 もう一つは、マウスに対する放射線実験です。同様に普通のエサで飼育したマウスと、ブロッコリーを混ぜたエサを与えたマウスに、 それぞれ放射線を照射したところ、前者は100%の死亡率だったのに対して、後者は35%の死亡率、つまり65%の生存が認められました。
そしてここ数年、さらに進んだ研究報告が学会で発表されました。ブロッコリーに、極めて優れた発癌物質の解毒酵素を活性化させる成分(スルフォラファン) が含まれていることが突き止められたのです。この画期的な発見により、ブロッコリーは癌予防野菜として世界的に注目を集めるようになりました。 近年では、スルフォラファンの濃度が高いブロッコリースプラウト(発芽直後の新芽)が開発され、世界中で研究が進んでいます。 日本の農林水産省食品総合研究所でも、ブロッコリーには優れた癌抑制作用があることが証明されています。 余談ですが、ナスもブロッコリーに匹敵するほどの抗癌作用が秘められています。
■癌予防に、ブロッコリーの利用法
以下、特にことわり書きのない場合は1人・1日分です。
- ▼肺癌の予防に
- ブロッコリー100gを子房に分け、茎は縦四つ割にし、さっと茹でる。 牛乳2.5カップを加えて、弱火で煮込んでスープにし、塩、コショウ各少々で味を調え、朝晩2回に分けて食べる。
- ▼肺癌の予防に
- 生のブロッコリー200gとリンゴ1/4個をミキサーにかける。レモン汁、ハチミツ各適宜を加え、そのまま飲む。
- ▼乳癌の予防に
- だし3カップに小房に分けたブロッコリー1株(400g)を入れ、軟らかくなるまで煮て、戻したわかめ60gを加える。 煮立ったら味噌おおさじ2を入れ、一煮立ちさせる(4人分)。
●動脈硬化、高血圧、免疫機能の活性化、ボケ予防、肝機能障害に
ブロッコリーの健康効果は癌予防だけにとどまりません。 脳梗塞や脳血栓、 動脈硬化、 高血圧の予防、 免疫機能の活性化、 ボケ予防、 貧血、冷え性の治療、 肥満の防止、 肝機能障害などにも有効であることが知られています。
- ▼肝機能障害、蓄積疲労に
- 細かく刻んだブロッコリー150gに小柱適宜を加え、衣をつけてかき揚げにする(4人分)。
- ▼動脈硬化、高血圧の改善に
- ブロッコリー300gをサラダ油小さじ2で、弱火で3~4分炒める。火からおろして、塩、砂糖、コショウ各少々、レモン汁1個分、酢1/2カップを混ぜ、 2~3日漬け込む。1日3回、50gずつ食べる。
- ▼動脈硬化、高血圧の補助療法に
- ブロッコリー1株(400g)を小房に分け、茎は縦四つ割にし、熱湯で2~3分茹で、塩、コショウ各少々を振る。 みじん切りのタマネギ1/2個分とトマト小1個分に、フルーツビネガー大さじ1.5、塩、コショウ各少々で作ったドレッシングをかけて食べる(4人分)。