骨粗鬆症対策に『カルシウム』

骨粗鬆症』の予防には、『カルシウム』の補給が肝心ですが、今の日本人の食生活では大幅に不足しています。 体の外から十分なカルシウムが補給されないと、血液中や細胞内のカルシウムが不足します。 すると、カルシウムのバランスを正常にしようとして、カルシウムの大貯蔵庫ともいえる骨からカルシウムが溶け出すのです。 これによって、骨量不足が起こり骨がスカスカになり、骨粗鬆症を招くのです。


■カルシウム不足

カルシウムの摂取目標が引き上げられた理由

日本人の食生活は、豊かになったとよく言われます。 確かに現代の日本では、お金さえ出せば、世界中の食材の中から、食べたいものをいつでも簡単に口にすることができます。 しかし、食事の中身をよく見ると、別の一面も浮かび上がってきます。 それは、人間が健康に生きていくために必要な栄養素の不足です。 中でも、深刻なのは「ミネラル不足」。ミネラルの中で、体に比較的多く含まれるのが「カルシウム」 「マグネシウム」「カリウム」「リン」など7種類。 近年、こられらのミネラルが日本人に不足しているといわれ、大きな問題になっているのです。

特に不足が指摘されているのが、骨や歯を形成する栄養素の『カルシウム』です。 厚生労働省も、早くから「国民健康栄養調査」などでカルシウム不足を指摘しています。 さらに、厚生労働省は2005年に、「食事摂取基準」を発表して、日本人が1日に必要とする栄養素の量を改定しました。 この改定になった基準によれば、30歳以上の成人の場合、カルシウムの摂取目標はこれまでの1日650〜700mgと 多く定められました。それだけカルシウムは、重要なミネラルということになります。

体内でのカルシウムの量は、成人で体重の2%(約1000g)。そのうちの99%が骨と歯に蓄積されており、 残りの1%は血液、あるいは細胞内に含まれています。このバランスが保たれていれば問題ありません。 しかし、外から十分なカルシウムを補給しないと、血液中や細胞内のカルシウムが不足します。 すると、カルシウムのバランスを正常にしようとして、カルシウムの大貯蔵庫ともいえる骨からカルシウムが溶け出すのです。 これによって、いわゆる「骨量不足」が起こります。 そして骨量不足が進むと骨がスカスカになり、骨折などの原因になる「骨粗鬆症」を招くのです。


●なぜカルシウム不足になるのか?

若い人ほど目立つカルシウム不足

骨粗鬆症は、女性ホルモンとの関係などから、閉経後の女性に多く発症します。 現在、50歳以上の女性全体の1/3に相当する約868万人以上が、骨粗鬆症を発症していると推計されています。 男性も50歳以上では、約229万人がかかっているといわれています。 しかし、骨粗鬆症は、中高年だけの問題ではありません。 なぜならカルシウムは、年齢が若い人ほど不足が目立つからです。 特に一人暮らしの男性や、ダイエットで減食中の女性にその傾向が顕著に見られます。 骨粗鬆症を防ぐためには、カルシウムの補給が肝心です。 しかし、先に述べたように、今の日本人の生活では、カルシウムが十分に補われていません。

では、私たちの生活の何処に問題があるのでしょうか。
カルシウムは、乳製品や小魚・豆類・緑黄色野菜・それにゴマなどに多く含まれています。 日本の伝統的な和食では、乳製品は別として、今あげた食材から1日に必要なカルシウムを摂ることができました。 しかし、現代の日本人が好む肉食や調理済みの食品、インスタント食品は、カルシウムが少なめです。 さらに、「リンの摂り過ぎ」も問題です。加工食品や調理済み食品、スナック菓子などには、 歯ごたえをよくしたりするためにリンがたくさん含まれています。 リンはカルシウムと結合してリン酸カルシウムとなり、骨や歯を形成します。 ところが、リンを過剰に摂取してカルシウムとのバランスが崩れると、かえってカルシウムの腸での吸収率が悪くなるのです。 つまり、カルシウムをどれだけ多く摂っても、多量のリンを摂ると、カルシウムが吸収されにくくなり、 カルシウム不足がより進んでしまうのです。 もう一つの問題は、「運動不足」。自動車などの発達によって、現代人は昔に比べてかなり運動量が減っています。 運動をしないと、腸の働きが衰えて、カルシウムの吸収が悪くなることがわかっています。 さらに、運動によって骨に負荷をかけていないと、骨からカルシウムが溶け出しやすくなり、骨量が低下します。

以上のことから、現代人はカルシウムが大幅に不足しているのです。 カルシウムが不足しているかどうかは、下の不足度自己診断表を参照してください。 @生活とA症状で、当てはまる項目にチェックを付けてください。 @生活で、一つでもチェックが付けば、カルシウム不足になる危険が大きいといえます。 次に、すでにカルシウム不足かどうかは、チェックが@生活で1つ以上あり、、 A症状で2つ以上あれば、カルシウム不足に陥っている可能性が大きいといえます。


【カルシウムの不足診断表】
@生活 牛乳や小魚など、カルシウムの多い食品をあまり摂らない  
加工食品(冷凍食品など)をよく食べる  
外食が多い  
運動不足だ  
閉経した(女性の場合)  
食事制限による減量をよく行う  
A症状 肌が荒れやすい  
まぶたがピクピクけいれんしたように震える  
足がよくつる  
イライラしやすい  
物忘れをよくする  
腰痛をよく起こす  
肩のこることが多い  


●ビタミンD

『ビタミンD』は、骨の健康に欠かせないビタミンで、小腸でカルシウムが吸収されるのを促進したり、 休止している骨の細胞を活性化させ、骨の再生を促進する働きがあります。 またこのビタミンDに、筋力を増強する効果や骨折を予防する効果もあることが、 さまざまな研究によって報告されています。

例えば、複数の大規模な研究の成果をまとめた報告では、薬を使うことで転倒の危険性が 約20%減少するといわれています。また、「活性型ビタミンD3製剤」 を6ヶ月間使用することで脚力が大幅に向上することが報告されています。 また、骨折の発生頻度を比較すると、ビタミンDが足りているグループでは少なく、 不足するグループでは高いことが報告されています。 ただし、薬などでビタミンDを摂取する場合は、「高カルシウム血症」に注意が必要です。 薬による治療は医師に相談し、正しく薬を使うことが必須です。

ビタミンDは、食べ物から取り入れられるほか、日光に当たることで体内で作られます。 また、肝臓や腎臓で活性化されてから働きます。


■関連項目・製品

『カルシウム関連製品・販売店』
「カルシウム」は、骨の形成にとって必要不可欠な成分で、骨粗鬆症予防対策のためには、カルシウムの摂取は必須です。 特に妊娠中の女性は通常の約2倍の量を摂取する必要があります。 また、不足するとイライラを引き起こすことがあります。