■アトピー性皮膚炎と目の症状

「アレルギー性結膜炎」「白内障」「網膜剥離」が代表的

近年、アトピー性皮膚炎の患者さんに目の病気を合併するケースが多いことが指摘されています。 特によく見られるのが、次の3つです。

▼アレルギー性結膜炎
「アレルギー性結膜炎」は、アトピー性皮膚炎の患者さんの大半に見られます。 小さな子供から成人まで、ほとんどのケースで合併します。 アレルギー性結膜炎は、花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルギーを起こす物質が、結膜(白目の表面と瞼の裏側を覆う膜) に接触することで発症します。結膜に炎症が起こり、目が充血してかゆくなり、目ヤニや涙を伴います 治療では、ステロイド薬の点眼薬などを一時的に使い、かゆみや炎症を抑えます。

▼白内障
「白内障」は水晶体が濁る病気で、濁りの進行とともに視力が低下します。 本来はお年寄りに多い病気ですが、慢性化したアトピー性皮膚炎を持つ、20歳前後の若い世代の人に、 白内障を合併する例が増えています。加齢による白内障に比べ、症状が速く進む傾向があります。 なぜ白内障を合併するかは、よくわかっていません。治療は、基本的に加齢による白内障と同じです。 なお、アトピー性皮膚炎で白内障を合併した人は、次の「網膜剥離」も併発するれが多いとされます。

▼網膜剥離
網膜剥離とは、網膜の一部が剥がれて、 視野が欠けたり、視力が低下する病気のことです。 近年、10~30歳代のアトピー性皮膚炎の患者さんに、網膜剥離を合併する人が増えています。 いろいろな原因が指摘されていますが、特に関係深いのが、顔に対する慢性的な衝撃です。 顔にアトピー性皮膚炎があると、かゆみのために始終目をこすったり叩いたりします。 その衝撃によって網膜に穴が開き、そこから網膜が剥がれていくと考えられているのです。 治療は、一般的な網膜剥離の治療に準じて行われます。ただし、若い人の網膜剥離はゆっくり進行するために 発見が遅れることが多く、重症化しやすいので注意が必要です。

▼予防と対策
目の合併症を防ぐためにも、アトピー性皮膚炎を治療することが重要です。 首や顔に皮膚症状がある人は、まず顔の皮膚症状を改善することを意識してください。 眼科での定期検査も必要です。