■脳の病気と目の症状

「脳梗塞」や「脳腫瘍」が隠れていることも多い

▼視野の異常
目に入ってきた光は、網膜の視細胞で感受されます。視細胞はそれを電気信号に変え、視神経から脳の視覚中枢に伝えます。 そこで初めて、目で見たものを認識できるのです。この視覚情報の経路を「視路」いいます。 この視路のどこかに、「脳腫瘍や脳出血、脳梗塞」などが起こると、その障害された部位によって、 さまざまな「視野欠損」が起こります。例えば、左右の視神経が交差している「視交叉」の近くに 腫瘍ができると、両目の耳側の視野が欠け落ちます。また、左の眼球のすぐ後ろに腫瘍ができると、 左目だけが見えなくなります。

▼視覚や瞼の異常
「脳動脈瘤や脳出血、脳腫瘍」などによって、眼球や瞼の動きを司る脳神経が圧迫されると、 物が二重に見える「複視」や、瞼が下がったままになる「眼瞼下垂」などが起こります。

▼視神経乳頭の異常
脳を包んでいる「硬膜」という膜は、視神経も覆っています。そのため、脳の病気によって硬膜内の圧力が上ると、 視神経が圧迫され、両方の目の視神経乳頭が腫れてきます。これを「うっ血乳頭」といいます。 「脳腫瘍、水頭症、脳動脈瘤、脳出血、脳梗塞」など、さまざまな脳の病気で起こりえます。 目には”何となく見えにくい”程度の症状しか現れませんが、多くの場合、「頭痛や吐き気」などを伴います。 脳神経外科などでの緊急の治療が必要です。

▼片頭痛で目の症状が起こることも
「片頭痛」では、頭痛の前触れとして「閃輝暗点」という目の異常が見られることがあります。 目の前にチカチカする光が現れ、徐々に大きくなったり、光りの中心が暗く見えたりします。