カテキン
『カテキン』は分子量290の「ポリフェノール」の一種で、 別名「タンニン(お茶の苦味のもと)」とも呼ばれ、お茶、特に緑茶に多く含まれます。 ポリフェノールは、植物が光合成を行う際に作られる物質の総称であり、共通した主な働きとして「抗酸化作用」があります。 ポリフェノールの中でフラボン骨格という構造を持つものを「フラボノイド」といい、お茶特有のフラボノイドを「カテキン」といいます。 また、カテキンには、整腸・解毒作用・疲労回復・コレステロール上昇抑制・消臭・抗菌」などの効果もあります。 また身体の老化や発ガン性物質生成の原因となる「活性酸素」を抑える働きがあります。
■カテキンとは?
「カテキン」とは、緑茶に含まれるファイトケミカルであり、ポリフェノール類に属します。 癌など生活習慣病への効果が期待されています。
●期待される効能
抗酸化作用。胃粘膜保護作用。脂質過酸化抑制作用。抗肥満作用。脂質異常改善作用。口内炎予防作用。 抗癌作用(食道癌、胃癌、膵臓癌、膀胱癌など)。
◆カテキンの効果・効能
- ▼消臭作用
- カテキンは殺菌・抗菌による消臭作用が高いことで知られています。 カテキンを使用することで、衣服等に付いた細菌・真菌等に直接作用、消臭効果を高めます。
- ▼活性酸素の除去
- 体内に吸収された酸素の一部は化学変化を受け、非常に反応性の高い 「活性酸素」に変わります。 活性酸素はその高い酸化力を利用して、体内での酸化反応や殺菌に用いられる、 生体にとって不可欠な物質ですが、この活性酸素が必要以上に増え過ぎると、 正常な細胞をも攻撃し始め、その結果、 癌や 動脈硬化、 糖尿病などの生活習慣病を引き起こすことになり、 老化の原因にもなります。カテキンには、この活性酸素を除去する作用があります。
- ▼細菌・ウィルスの感染予防と改善
- カテキンは、O-157、ボツリヌス菌、ブドウ球菌、サルモネラ菌、 黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオに対し強い殺菌・抗毒作用を持ち、 食中毒に対して予防・改善効果に優れています。
- ▼コレステロール上昇抑制作用
- 動物性食品中のコレステロールは、体内で消化酵素の作用で遊離型コレステロールとなり、 他の脂肪酸などと共に胆汁酸に溶解して、水と均等に混ざり合った乳化状態で小腸から吸収され脂肪組織に取り込まれて体脂肪となります。 カテキンには、この乳化を妨げる働きがあるため、コレステロールが吸収されることなく排泄され体脂肪の蓄積を防ぐことが出来ます。
- 【関連項目】:『緑茶粉末』
- ▼虫歯・ 口臭の予防や改善
- カテキンの殺菌作用により、虫歯菌の発生・増殖を防いで歯垢の生成を抑制します。 微量ミネラル・フッ素が、酸の侵食を防ぐため、虫歯予防効果や歯周病菌の繁殖を抑制する予防効果があります。 口臭の主成分であるメチルメルカプタンなどの臭気成分を中和・吸着する習性があり、 カテキンは口臭予防にも効果的です。
●作用メカニズム
緑茶のカテキン類にはEC(エピカテキン)、GCG(ガロカテキンガレート)、EGC(エピガロカテキン)、EGCG(エピガロカテキンガレート)などがあり、 特にEGCGが重要です。EGCGの作用メカニズムとして、①癌細胞の増殖を抑えアポトーシス(細胞死)を誘導する、 ②腫瘍細胞への栄養血管となる血管新生を抑制するといった作用による抗癌効果が示されてきました。 また、いくつかの癌細胞において、DNA複製を阻害するというデータもあります。 動物実験では、緑茶抽出物が、 紫外線による酸化ストレスに伴う皮膚の障害を少なくすることも示されました。 その他、胃粘膜保護作用、急性胃潰瘍改善作用、脂質過酸化抑制作用、放射線障害抑制作用なども報告されています。 緑茶には抗酸化作用も認められます。メカニズムの詳細は不明ですが、フラボノイド類やカテキン類が共同して働くことで、 酸化ストレスに伴う障害を防ぐと考えられています。 カテキン以外の緑茶の有効成分が持つ効果として、タンニン類による抗菌作用や整腸作用、 フラボノイド類によるLDL(悪玉)コレステロール酸化防止作用などが知られています。
●科学的根拠
緑茶の抗癌作用については、これまでに多くの疫学調査のデータが報告されてきました。
具体的には緑茶の摂取量が多いほど、癌の発生率が低いという調査結果です。
例えば、緑茶の摂取による
乳癌再発予防効果、卵巣癌予防効果、
胃癌予防効果などです。
緑茶の摂取が多いほど胃癌が少ないという研究結果は、静岡県での疫学調査や、中国各地で行われた調査によって示されてきました。
ただし、緑茶による胃癌予防効果を認めなかったとする報告もあります。
緑茶の抗癌作用については、さらに研究が必要であると考えられます。
近年、緑茶カテキンの抗肥満効果が報告されています。
例えば、男女80名の肥満者を対象にした臨床試験では、1日あたり588mgのカテキンが12週間投与された結果、体重や体脂肪量が有意に低下しました。
このとき、男性では内臓脂肪、女性では皮下脂肪が減少したといいます。
その他、花王の研究グループから、健常者や肥満者を対象にした研究で、
肥満や脂質異常症に対する効果が報告されています。
●摂取方法
短期間では効果が期待できないので、継続して利用します。
●注意事項
通常の食材に由来する成分であり、特に問題となる健康被害や副作用は知られていません。 なお、緑茶の摂取に伴う症状として、胃腸障害や不眠などがあります。 これらは、いずれもカテキンによるものではなく、カフェインの作用です。 通常、緑茶1杯の10~80mgのカフェインが含まれており、交感神経系の機能を高める作用を示します。 したがって、カフェインを除いた緑茶を飲むか、サプリメントを利用するとよいでしょう。 緑茶に含まれるタンニン類は、鉄分の吸収を阻害します。 ただし、鉄分のサプリメントや医薬品については、タンニン類の影響を受けない製品が一般的になっています。
■緑茶の健康効果
- 『認知症の予防に「緑茶」』
- 『糖尿病の予防に「食物繊維入りお茶」』
- 『高血圧対策に「緑茶」』
- 『高LDLコレステロール・高中性脂肪対策に「緑茶粉末」』
- 『癌を強力に予防する「緑茶」』
- 『長寿ホルモン(アディポネクチン)を増やす「緑茶」』
- 『O-157・虫歯・水虫などの有害な細菌の殺菌に「緑茶」』
- 『更年期障害やPMSなどの不快症状改善に「緑茶」』
- 『ピロリ菌退治に「緑茶」』
- 『緑茶の薬効を高める「緑茶の飲み方」』