脳卒中を防ぐ、頼もしい野菜
『タマネギ』

タマネギの歴史は古く、古代エジプトではすでに栽培が行われ、一般的な食べ物として普及していました。 タマネギの持つ強壮作用は当時からよく知られ、ピラミッドの建設に従事していた人々たちに、ニンニクと共に食べさせていたという記録も残っているほどです。 古代エジプトの為政者たちは、タマネギによって労働の効率を上げようと考えていたようです。
「タマネギ」には、血管柔軟作用・血管強化作用・抗酸化作用・血圧降下作用のある 「ケルセチン」、 血小板凝集抑制作用(血栓予防作用)・抗菌作用・抗癌作用・疲労回復作用のある「含硫アミノ酸」、 抗酸化作用・抗癌作用のある 「フラボノイド」などが含まれています。


■悪玉コレステロールを撃退、血小板の凝集を抑制

タマネギ タマネギを包丁で切ると、涙が出てきます。これは硫化アリルの一種であるチオスルフィネートという刺激成分によるものです。 このチオスルフィネートはもちろんのこと、これ以外にもタマネギに含まれている硫化アリル類は、ずばり、元気の素。 なぜなら、ビタミンB1の吸収を助け、新陳代謝を盛んにしてくれるからです。 タマネギが、疲労回復、食欲不振、精力減退、精神不安などに効くといわれるのは、この硫化アリル類の多様な働きが大きく関係しています。 タマネギの薬効は、経験的に知られていましたが、最近は科学的な解明も進んできました。 その代表的なものが、 血中の 善玉コレステロールを増やし、 悪玉コレステロールを減少させる効果です。 また、血小板の凝集を抑制する作用を備えていることも証明され、 現在、タマネギは 脳卒中や脳血栓心筋梗塞などの予防に欠かせない食品として認められているのです。


■脳卒中を防ぐ、タマネギを使った料理

以下、特にことわり書きのない場合は1人・1日分です。

▼脳卒中の予防に
タマネギの薄皮5~10gを水2カップで半量になるまで煮詰め、1日数回に分けて飲む。

▼脳卒中の予防、 脂質異常症動脈硬化の改善に
タマネギ1/2個(70g)を縦に薄切りにし、鶏がらスープ2カップを加え、一度沸騰させる。 このあと、弱火で30分ほど煮詰める。週に4~5回飲む。

▼脳卒中の予防に
タマネギ100gをみじん切りに、サラダ油小さじ1/2で炒め、塩、コショウ各少々で味を調えて食べる。

▼脳卒中の予防、心臓病、高血圧の改善に
タマネギ、紫タマネギ各1個(70g)を縦に薄切りにし、熱湯で戻して水気を切った春雨30gを加える。 ノンオイルのドレッシングをかけて食べる。


●糖尿病、不眠症、下痢、リウマチ性関節炎にも◎

タマネギに含まれているアリルプロフィルジサルジサイド(硫化アリルの一種)は、血糖値を下げて正常に保ちます。 そのため、糖尿病の予防や治療にも利用されています。 タマネギはヨーロッパにおいては風邪薬や下痢止め、利尿薬、血流改善薬、強心薬、鎮静薬などに利用されてきました。 東洋医学でも、気管支粘膜に働いて、 咳や痰を取り除く作用、胸部や胃部の膨満を取る作用、利尿作用などが知られていましたが、 タマネギの強い殺菌作用を利用して、外傷の消毒にも用いられていました。 これらの働きに加え、不眠症、下痢、リウマチ性関節炎、足のむくみにも効果があることが判明しています。

糖尿病に
タマネギ1/2個を縦に薄切りにし、熱湯に通す。削りガツオ1パックと和え、醤油少々で味を調える。1日2回食べる。

▼夜間に何度も目が覚める不眠症に
縦、横十文字に包丁を入れたタマネギ1~2個を、枕元に置いて寝る。

▼下痢に
タマネギ7個(1kg)を細かく刻み、米1カップ、砂糖50g、水7カップを加え、おかゆにして食べる(4回分)。米は新米より古米を使ったほうが効果が高い。

リウマチ性関節炎に
食べやすく切ったタマネギ100g、鶏骨付きもも肉10個、みじん切りのショウガ100gを水6カップ、塩少々で味を調え、スープを作る。 この汁を濾して、1日1.5カップ分を目安に、朝晩2回に分けて食前に飲む。

▼足(下腿)がむくんで痛むときに
薄切りのタマネギと大根の種各50gを水3カップで半量になるまで煮詰め、1日3回に分け、温めて飲む。