血中脂質を下げ、心臓病を防ぐ魚
『鮭(サケ)』

サケには、血栓防止・血小板凝集抑制作用・血流促進作用のある 「EPA」、 脳細胞の活性化・コレステロール値低下作用・抗癌1作用のある 「DHA」、 抗酸化作用・動脈硬化予防・抗がん作用のある 「アスタキサンチン」などが含まれています。


■栄養素がバランスよく含まれた滋養食品

鮭 サケには必須アミノ酸を含む良質のタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルと、多くの栄養素がバランスよく含まれています。 他にも、栄養素の代謝を促進する ビタミンB群、 カルシウムの吸収を増進する ビタミンD口内炎などの炎症を抑えるナイアシンなどが含まれています。 また、サケの美しい赤色は アスタキサンチンという色素によるもので、 これが体内に吸収されると、病気に対する抵抗力を高める働きを持つ ビタミンAに変わります。 赤色の強いものほど、アスタキサンチンが多く含まれています。ちなみに紅鮭は100g中3.15mg含まれていますが、白鮭には0.45mgしか含まれていません。 このアスタキサンチンは強い抗酸化作用を持ち、 活性酸素を除去して、 悪玉コレステロールの変性を防ぎ、 動脈硬化を予防します。 さらに、マウスに、ただ発癌物質の身を与えたものと、アスタキサンチンを一緒に与えたものの比較をしたところ、 癌の発生が57%抑えられたというデータも報告されています。 他にも高血圧予防、認知症予防、眼精疲労の緩和などの効果があり、健康維持のためには欠かせない食材です。


■野菜を食べないのに健康なイヌイット

サケに含まれている栄養素で、最も注目したいのが DHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)です。 抗酸化作用がある多価不飽和脂肪酸ののDHAとEPAには、血中脂質を低下させて、心臓病や 高血圧脳梗塞の循環器系疾患を予防する働きや、 抗腫瘍作用があることが数々の研究によってわかっています。 こうしたDHAやEPAなどの多価不飽和脂肪酸の働きは、デンマーク領のグリーンランドに居住するイヌイットの食生活を研究することで明らかになりました。 イヌイットはトドやアザラシなどの海獣とサケやカレイなどの魚介類が主食で、野菜や穀物は全く食べませんが、デンマークの人々に比べ、 高脂肪食であるにもかかわらず血管病にかかる割合が少ないのです。 そこで、デンマーク人とイヌイットの血中脂質を調べて比較してみたところ、驚くべき事実が判明しました。 デンマーク人よりもイヌイットのほうが、血中脂質だけではなく、血中コレステロール値も低いことが分かったのです。 また、イヌイットは、 心筋梗塞 や多発性硬化症、糖尿病など、心疾患の罹患率も極めて低いことがわかりました。 イヌイットの食事に多く含まれるDHAやEPAなどの多価不飽和脂肪酸が、血中脂質を低下させ、 循環器系疾患の危険率を回避している可能性の高いことが指摘されたのです。 日本が長寿国である理由の一つに、サケをはじめとする水産物の摂取量が他国の人に比べて多いことが挙げられますが、 最近では食生活が欧米化するとともに、生活習慣病にかかる率が増加しています。日本型の「食」の良さを改めて見直したいものです。


■サケの食べ方

▼アスタキサンチンと乳酸菌の相乗効果で発癌抑制に
塩サケ4切れにコショウ少々をして、片栗粉適量をまぶし、サラダ油で揚げる。薄く切ったリンゴ1個、キーウィ2個、タマネギ1個を並べた上にサケを置き、 浸るくらいのヨーグルトを加え、10分程度置いてから食べる。

▼消化器癌の予防に
米3カップを洗ってざるに上げ、30分置く。塩サケ3切れは表面をサッと焼き、一口大にほぐす。 濃い目の煎茶550mlと米、サケを炊飯器に入れて炊く。炊き上がったら、小口切りのアサツキを加えて混ぜる。

▼血小板の凝集を抑制し、血液をサラサラに
生サケ4切れを包丁で細かく刻み、たたき、長ネギ1/2本のみじん切り、ゴマ油こさじ1/2、卵1個、小麦粉大さじ4、塩、コショウ各少々を加えて混ぜ合わせる。 これを高温(180~200℃)の揚げ油で揚げる。

▼体力増強、肩こり、冷え性の改善に
生サケ2切れに塩、コショウ各少々を振り、一口大に切る。白菜1/4は芯の部分をそぎ切り、葉の部分はざく切りにする。 タマネギ1個、コマツナ1/2株、ブロッコリー1/2株は食べやすい大きさにそろえる。 熱した鍋にサラダ油小さじ2を入れ、サケと野菜を炒める。