イチョウ葉エキス

イチョウ葉エキス(ギンコビローバ)』は、イチョウの葉から有効成分を抽出したサプリメントで、 昔からヨーロッパで親しまれてきたハーブの一つです。 記憶力・集中力を研ぎ澄まして、脳内年齢をいつまでも若々しく保ちたいと願うたくさんの方に支持されているハーブで、 アメリカやヨーロッパなど、先進国のビジネスマンから大きな人気を集める脳サポートサプリメントです。 ドイツを中心とした欧米での臨床試験に加えて、日本でも研究報告が多い成分です。 なお、イチョウ葉エキスは、日本や米国ではサプリメントですが、ドイツやオーストラリアでは医薬品として扱われています。

イチョウ葉エキスは、血流をよくする働きのある「フラボノイド」や血液をサラサラにして脳をダメージから守る「ギンコロイド」を多く含んでいます。 これらは、記憶力や頭の回転のサポートが期待され、ボケを防止したい方や頭脳労働を長く続けたい方などに最適な成分です。 脳の健康を保つためには、脳内の血管が丈夫で、なおかつサラサラの血液が流れていることが大切です。 イチョウ葉エキスは、血管の内側と外側の両方を健康的に保つので、脳の血流を増やして充分な酸素や栄養を届けることができ、 認知症や脳障害などに効果的なことが注目されています。 これまでに多くの臨床試験が報告されており、認知症以外にも、 閉塞性動脈硬化症に伴う症状を改善する効果が認められ、 めまい耳鳴り緑内障の改善を示すデータもあります。 また、血行を促進することから 肩こりや冷え性の改善も期待されます。 さらに、 高脂血症動脈硬化を引き起こす 悪玉コレステロールによって血管が詰まるのを防いで 生活習慣病の予防・改善に寄与するともいわれています。


■イチョウ葉エキス

イチョウ葉 イチョウ葉にはフラボノイド、テルペノイド、アルキルフェノール類が含まれます。 主要なフラボノイド成分はビフラボン、フラボノール、フラボンであり、このうちイチョウ葉エキスのビフラボン含有量は僅かです。 ビフラボンはアメントフラボン、アメントフラボンの誘導体であるビロベチン、ギンクゲチン、イソギンクゲチン、シアドビチシン、 5'-メトキシビロベチンが含まれています。 フラボノール及びフラボノール配糖体は約20種が含まれており、主要なアグリコンはケンフェロール、ケルセチン、イソラムネチン、ミリセチンなどで、 配糖体の糖部に多いのはグルコース、ラムノース、ルチノースなどです。また、 2種類のプロアントシアニジンも報告されており、イチョウ葉エキスには約7%含まれています。 テルペノイドにはともにイチョウに特有な物質であるギンコライドおよびビロバライドがあり、イチョウ葉エキス中には前者2.9%、後者3.1%が含まれています。 ギンコライドはtert-ブチル基を持ち、6個の5員環からなる「籠型構造」を有するジテルペンです。 これまでにギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ギンコライドJ、ギンコライドMの5種類が見つかっています。 ただしこのうちギンコライドMは根皮のみから見つかっています。ビロバライドもtert-ブチル基を持ちますが、4個の5員環を持つセスキテルペンです。 アルキルフェノール類であるギンコール酸は葉にも含まれます。ギンコール酸はヒトの癌細胞に対する増殖抑制作用が知られています。


●期待される効能

アルツハイマー病に伴う症状の改善。 脳血管型認知症に伴う症状の改善。 間欠性跛行など末梢血管障害の改善。高血圧改善作用。 脳梗塞慢性期の血流改善。 記憶障害の改善。抗ストレス作用。 正常眼圧緑内障の視野欠損改善。


●作用メカニズム

イチョウ葉エキスの有効成分は実は銀杏ではなく、葉に由来します。 有効成分として、特にフラボノイド類とテルペン類が重要です。 例えば、テルペン類の一つ、ギンコライドBは、PAF(血小板活性化因子)を阻害することで抗凝固作用(血栓をできにくくする作用)を発揮します。 また、フラボノイド類は、虚血による酸化的障害を抑制し、過酸化脂質の生成を抑えます。


●科学的根拠

◆認知症改善作用

認知症には、脳血管障害による認知症とアルツハイマー病があり(この2つ以外にもあります)、両方のタイプに効果が認められています。 まず、ドイツでの臨床試験では、216名の認知症患者に対して240mgのイチョウ葉エキスが24週間にわたり投与された結果、 アルツハイマー病および脳血管性認知症の両方が改善し、特に問題となる副作用は認められていません。 次に、1997年に『米国医師会ジャーナル』に記載された研究によると、309名に対してイチョウ葉エキスを52週間投与した結果、認知症の改善が認められました。 イチョウ葉エキスが認知症を改善するというデータは、認知症の症状の検査であるADAS-Cog、GERRI、CGICによって確認されています。 また、2009年に神経学の専門ジャーナルに報告された臨床研究では、50歳以上の認知症患者395名(アルツハイマー型認知症214名、血管型認知症181名) を対象に、1日あたり240mgのイチョウ葉エキスあるいは偽薬が22週間投与された結果、イチョウ葉エキス投与による認知機能の有意な改善が認められました。
一方、3069名に対して240mg/日イチョウ葉エキスを6.1年間投与した臨床研究では、有意差は認められなかったという報告もあります。 効果が平均化されてしまう大規模な臨床試験では、ハーブによる緩徐な効果が十分に検出されないという欠点が知られています。 イチョウ葉エキスの適正使用(どのような人を対象にどの容量・用法で投与すれば、認知症の予防や改善に最も効果が期待できるのか)について、 明らかにする必要があります。そのためには、大規模臨床試験の2次分析やサブグループでの解析が重要と考えられます。

◆記憶力改善作用・高次機能賦活作用

イチョウ葉エキスが健常者における記憶力を改善するかを調べた研究がいくつか報告されています。 それらの中には、短期記憶反応時間の改善などを示したものもあります。 例えば、2002年に米国から報告された臨床試験では、60歳以上の(認知症などのない)健常者262名を対象にして、 180mgのイチョウ葉エキスを6週間投与したところ、記憶力や認知機能の改善を認めたと報告されています。 しかし、現在のところ、イチョウ葉エキスを健常者に投与した場合の記憶力や認知機能の改善といった効果について、明確な結論は得られていません。 一般に、イチョウ葉エキスは、脳循環改善作用や虚血による障害を防ぐ効果を持つ一方、 健常者に短期間投与したからといって「頭をよくする」わけではないようです。

◆間欠性跛行改善作用

イチョウ葉エキスは、血液の流れを改善することから、脳血管だけでなく末梢血管の循環障害による病気にも効果があります。 下肢動脈の血流が障害される病気に閉塞性動脈硬化症があります。 これは、動脈硬化のために下肢に十分な血液が送られず、歩行時に痛みを訴え歩行困難になる病気です。 また、痛みのため休みながら少しずつ歩く症状を、間欠性跛行といいます。 イチョウ葉エキスは、これらの動脈硬化 による下肢の血流障害にも有効であることが確認されています。

◆その他の作用

2003年に報告された臨床試験では、正常眼圧緑内障患者27名を対象にイチョウ葉エキス120mgを4週間投与したところ、視野欠損の改善が認められたそうです。 日本で行われたイチョウ葉エキスによる臨床試験では、①境界域高血圧患者に対する降圧効果、②脳梗塞の後遺症改善作用③脳梗塞慢性期の局所循環改善作用、 ④ビタミンEとの併用による女性の冷え症改善作用が報告されました。 さらに、動物実験では、抗ストレス作用や抗不安作用、抗酸化作用などが示されています。


●摂取方法

1日あたり120~240mgを2、3回に分けて服用します。6~8週間程度、継続した後で効果を判断します。 なお、日本におけるイチョウ葉エキスは、品質にばらつきが認められます。 適切な品質のサプリメントは、22~27%のフラボノイド配糖体と5~7%のテルペン類を含みます。 また、アレルギー物質であるギンコール酸は除去され、5ppm未満とされています。 日本では、シュワーベ製薬やディーエイチシー(DHC)などの製品が規格化された基準を満たしています。


●注意事項

イチョウ葉エキスは、比較的安全性の高いハーブといえます。副作用は、軽度の消化器症状、頭痛、発疹などです。 米国において、イチョウ葉エキス服用中に、脳出血などを生じた例が数例報告されています。 しかし、これまでに多くの患者が参加して実施された臨床試験や、何百万人もの患者が治療を受けているヨーロッパでは、出血性疾患の副作用は報告されていません。 2003年に報告された研究では、健常者32名にイチョウ葉エキスを1日あたり120、240、480mgの3種類の量で2週間投与した後に「出血時間」が測定されました。 その結果、通常の2倍の容量に当たる480mgを投与した群においても、「出血時間」などは正常範囲内でした。 したがって、イチョウ葉エキスに伴う出血性疾患は、仮に何らかの因果関係があるとしても、稀な副作用と考えられます。 ただし、動物実験では、イチョウ葉エキスが肝臓での薬剤代謝酵素などに作用し、動物実験では、イチョウ葉エキスが肝臓での薬剤代謝酵素などに作用し、 いくつかの医薬品の体内動態に影響を及ぼすことが示されています。 そのため、何らかの医薬品を服用中の人は、念のため、主治医と相談の上、使用します。


■イチョウの葉エキスの主な有効成分と働き

前述のようにイチョウの葉エキスの主な有効成分は、二つあります。 強力な抗酸化作用を持つフラボノイド配糖体とギンコライドに代表されるテルペンラクトン類です。 注目すべきは、ギンコライドBの働きです。アレルギーや喘息をはじめ、様々な炎症や活性酸素の放出、 血栓形成、気管支収縮、脳循環系の機能障害を引き起こすと言われる血小板活性化(PAF)を著しく抑える作用がギンコライドBに認められています。

▼血流の流れをスムーズに
血管が傷つくと血液中の血小板が、真っ先に集まって傷口に蓋をする役割がありますが、 極端に増加しすぎると血行障害の原因となる血栓(血の塊)を作ってしまうのです。 ギンコライドBにはこの血流を邪魔する血小板凝集抑制作用と血管拡張作用があり、血流増加をもたらします。 さらに全身の血管をしなやかに弾力を持たせる作用をもちます。

▼脳機能を高める~記憶力の改善と認知症の改善
何といっても脳が正常に働くためには、身体全体の血液の約三分の一が必要とされます。 イチョウ葉は脳内の緻密な血流ネットワークを活性化します。 脳の血流が良くなれば、十分な酸素や栄養分が優先的に海馬に送られ、当然記憶力や集中力が向上すると報告されています。 脳の若返りを図りたいご年配や、受験生におすすめのハーブです。

▼抗酸化作用~いつまでも眼や耳を元気に
脳はまた酸素の消費量が多いため、細胞や血管を傷つける活性酸素のダメージを受けやすい部位です。 しかしながら、ギンコライドBが活性酸素の発生を抑え、 フラボノイド配糖体が活性酸素を除去する連帯プレーで脳のエイジングを遅くします。 もちろん、眼の網膜や内耳も抗酸化作用によって健康をサポートします。

▼コリや冷えの防止に
イチョウ葉は脳はもちろん、全身の血管にまで幅広く効果があり血流の流れがスムーズになりますので、 肩こりや手足の冷え・しびれの改善が期待されます。

●イチョウの葉エキスはこんな方におすすめ

  • アルツハイマー型認知症や脳血管型認知症を改善したい方に
  • 間欠性跛行など末梢血管障害を改善したい方に
  • 正常眼圧緑内障の視野欠損を改善したい方に
  • 脳梗塞慢性期の血流改善に
  • ストレスがたまり気味の方に
  • 高低血圧の方に
  • 冷え性、肩こり、目の疲れ、頻尿の方に
  • 老化防止に

■関連項目

『めまいに「イチョウ葉エキス」』
脳の血流を促し、神経の働きも高めるイチョウ葉エキスで、めまいが改善する人が続出しています。 医師の調査では86%の人でめまいの症状が改善したと報告されています。

『ボケ防止に「イチョウ葉エキス」』
「イチョウ葉エキス」は、脳の血流を促進することから、記憶力向上・集中力向上・思考力向上などの健脳効果が認められており、 物忘れ、ボケ、アルツハイマー症状などの老化現象の抑止に対しても、有効であることがさまざまな実験で証明されています。 このような優れた働きのあるイチョウ葉エキスは、欧米では医薬品として用いられています