風邪を撃退する食品
『ネギ』

ネギには、抗菌作用、 ビタミンB1の吸収促進作用、 糖尿高血圧動脈硬化などの予防作用のある硫化アリル、 整腸作用、免疫力強化作用、便秘改善作用のある多糖類が含まれています。


■漢方では風邪の特効薬として用いられてきた

ネギ 漢方ではネギの白い根の部分を葱白(そうはく)と呼び、「薬」として扱っています。 漢方の薬物書には、葱白の効用を説いた記載が多く見受けられます。 その代表的なものが、ネギは「風邪による悪寒や発熱、また、汗が出ないことによって起こる頭痛や顔の腫れなどを治す」というものです。 ネギには、体を温め、汗をかかせ、風邪を治す効果が認められているのです。 このようにネギは、古くから風邪の特効薬として用いられてきました。


■栄養学的には青葉、薬学的には白根が優れている

栄養学的には青葉、薬学的には白根の方が優れていますが、薬用には香りの強い白根の部分が利用されます。 ネギの香りの中に、薬効を発揮する成分が含まれているからです。 ネギの香りのもとは、タマネギやニンニクと同じ硫化アリル化合物です。 硫化アリルは、消化液の分泌を促して栄養の吸収力を高めます。 特に注目されているのは、ビタミンB1に作用して その働きを増強することで、ビタミンB1は糖質のエネルギー化を促進して風邪による疲労回復に役立ち、イライラや冷えを改善します。 よく「ネギはビタミンB1の多いもの(豚肉など)と一緒に調理すると効果がある」といわれるのも、ネギはビタミンB1と相性が良いからです。


■風邪を撃退する、ネギを使った調理法

▼風邪に
葱白、ショウガ各15g、塩小さじ1/2を混ぜ、突いてドロドロにしてガーゼでくるみ、五心(前胸、両足のうち、両手のひら)に塗る。 塗った後は安静にすると、しばらくして汗が出て、熱が下がる。

▼風邪に
ネギ3本を5cm長さに切り、ショウガの薄切り5切れ、黒砂糖10gを水3カップで煮る。1日3回に分け、熱くして飲む。

▼風邪に
葱白、青シソ各10gを水3カップで半量になるまで煮詰め、1日3回に分けて、温めて飲む。

▼風邪による頭痛に
ネギ2本を10cm長さに切り、さらに縦半分にし、ショウガの皮少々、酒かす大さじ2を混ぜ、温めて、額に貼る。


■体を温め、関節痛、神経痛の痛みを軽減

最近の研究では、葱白の揮発成分に、ジフテリア菌、結核菌、赤痢菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、真菌などの活動を抑制する作用があることがわかってきました。 同時に、この揮発成分は血小板の凝集を抑え、血栓を予防したり、血流循環を改善することも解明されています。 一方ネギは、古くから出産後の母乳の出をよくする働きや、ネギの持つぬめりが便秘に有効であることも知られていました。 その他、風邪による喉の痛みを和らげ、痰を取り除き、神経の興奮を抑える作用もあります。 さらに、急性胃腸炎、嘔吐、腹痛やリウマチ関節痛麻疹(はしか)などにも効果を発揮します。

▼チアノーゼなどで四肢が冷えたものに
葱白5cm分を焼いて熱したものを臍下三寸(関元穴)に貼る。さらに、ひげ根の付いている葱白30gを乾燥させ、ミルミキサー(粉砕用器具)で粉末にして 日本酒2カップで煮て、1日数回に分けて飲む。

▼血尿に
納豆60g、葱白7本を5cm長さに切り、ショウガの薄切り3切れ、ぶつ切りにしたフナ1尾をだし6カップで煮てスープを作る。 1日3回に分けて、汁ごと食べる。

▼嘔吐、腹痛に
葱白1/2本をせん切りにし、ゴマ油小さじ2を混ぜ、よく噛んで食べる。

▼冷えによる関節痛に
ネギ、ショウガ、各500gをつぶして汁をとる。この汁と酢2.5カップを、ガラス製または陶製の鍋に入れて沸騰させ、ドロドロになるまで煮詰める。 ガーゼに塗り、患部に貼る。

▼急性胃腸炎に
葱白1本を突いてドロドロにしたものを煮て、温かいうちに臍下三寸(開元穴)に貼る。

▼麻疹(はしか)に
葱白5本を突いてドロドロにしたものを臍の上に貼る。

▼小児の大小便不通に
葱白2本を日本酒少々と一緒に突いてドロドロにする。臍の上に貼る。