痰を速やかに切る食品
『春菊』
『春菊』には、窒素やエネルギー代謝を高める作用のある遊離アミノ酸、 抗酸化作用、コレステロール値低下作用、整腸作用のあるクロロフィル、 抗菌・防腐作用、組織再生作用、抗炎症作用のある香気成分、抗酸化作用、睡眠促進、抗癌作用のある メラトニンが含まれています。
■粘り気が強くて切れにくい痰を取り去る
春菊は、ホウレンソウやコマツナなどと同じ緑黄色野菜です。 特にビタミンA(β-カロチン)を豊富に含み、 春菊200gで1日の必要量を摂取できるほどです。 また、ビタミンCや、 タンパク質の代謝を促して脂肪の分解を助ける ビタミンB2も多く含まれています。 鉄、 カルシウム、 ミネラルも豊富。 さらに、構成成分の中で食物繊維が占める割合は1.6%と高く、便秘にも効果を発揮します。 胃腸を丈夫にし、消化をよくする働きが古くから知られています。 独特な香りのもととなるベンズアルデヒド、α-ピネンには、健胃作用があり、食欲増進にも役立ちます。 α-ピネンは、森林浴の香りでもあるので、リフレッシュ効果も得られます。 しかし、春菊が特に優れた効果を発揮するのは、咳止め、痰を取り除く作用で、粘り気が強くて切れにくい痰が出る場合に有効です。 このほか、高血圧、神経痛、痔疾、筋肉のコリや痛みにも広く利用され、効果を上げています。
■アクは少なく、ホウレンソウの25分の1
春菊はキク科の一年草または二年草で、原産地は地中海沿岸地方です。中国、朝鮮を経て15世紀ごろ日本に渡来しました。 名前の由来は、若い菊を食べることから春菊、また春に花が咲く菊だから春菊といわれたなどの説があります。 別名が多いのも特徴で、刈り取った後から何度も茎葉を出すことから「無尽草」「普段菊」また「六月菊」とも呼ばれています。 アクも強いのではと思われがちですが、アクはホウレンソウの25分の1。鍋物に良く利用されるのはこのためです。 生で食べることもできます。
■痰を取り除く、春菊を使った調理法
- ▼痰が黄色く、ドロドロして、発熱感があって咳が続くものに
- 春菊150gをざく切りにし、水3カップで半量になるまで煮詰める。春菊を取り出し、氷砂糖適宜を加え、1日2回に分けて飲む。
- ▼痰を取り、咳を止めるには
- 春菊150gをざく切りにし、せん切りにしたショウガ15g、そぎ切りにしたゴボウ30gとともに、たっぷりの水で煮て、黒砂糖少々で味を調える。 この汁を1日3回に分けて、毎食前に飲む。
- ▼痰を速やかに取り除くには
- 春菊150gと殻付きのアサリ800gを鍋に入れ、老酒1/2カップを加え、浸るくらいの水で煮込む。 器に入れ、ごま油を少々落として、1日3~4回に分けて食べる。
■高血圧によるめまい、頭痛、胃腸の機能回復にも
春菊にはβ-カロテンが多量に含まれています。 これは茹でることにより濃縮され、さらにその効果が増すといわれています。 生の春菊には100gあたり4.5mgのβ-カロテンが含まれていますが、茹でると5.3mgに増えます。 私たちは習慣的に春菊を鍋ものにしたり、茹でたりしますが、これは栄養学的にも理にかなっているのです。 また、優れたアルカリ性食品でもあります。特に現代人は魚や肉を食べ過ぎており、それによる身体の酸化を防ぎ、全体のバランスを整えます。 さらに、緑色のもとになっているクロロフィル(葉緑素)も豊富で、脂肪の分解を促進し、 コレステロール値を下げます。
- ▼血圧の上昇によるめまい、頭痛に
- 春菊1束(200g)をミキサーにかけ、ジュースにしたもの杯1杯分を白湯で薄め、1日2回飲む。
- ▼のぼせ、頭がクラクラして眠れない時に
- 春菊、菊花(生)各100~150gを湯3カップで10~15分、弱火で煮詰める。1日2回に分けて飲む。
- ▼胃腸機能の回復、便秘に
- 春菊50gをおひたしにして毎日食べる。
- ▼風邪に
- 熱いみそ汁に春菊、おろしショウガ、刻んだネギ各少々を入れ、一緒に食べる。
- ▼口臭が気になる人に
- おひたしにした春菊100gを毎日食べる。
- ▼神経痛、痔、肩こりに
- 乾燥させた春菊をガーゼに包み、お風呂に入れ、ゆっくりと浸かる。