超睡眠法第1章『ピークシフトで脳をマネジメントする』④昼

昼①起床から6時間後にやるべきこと。
昼②脳内にたまった睡眠負債を仮眠で減らす。
昼③ランチタイムは、午後の仕事がはかどるよう有効活用!

■眠いと感じる前に5分間目を閉じる

◆午後の眠気はどんなに頑張っても避けられない!?

昼休みが終わって午後の仕事も頑張ろうと思ったら、急激に眠気が襲ってくる・・・・・なんてことがありますよね。 この時間帯に眠くなるのは、「昼休みに食べ過ぎたから」と考える人も多いのではないでしょうか。 しかし昼食を2時間早めて食べても、抜いても、食事量が少量であっても、午後の眠気は避けられないことが実験で明らかに なっています。午後に眠気が生じてしまうのは、本来人に備わっている睡眠-覚醒リズムが関係しています。 このリズムにより大脳を1日2回休ませるシステムが働き、起床から8時間後と22時間後に眠気が起こります。 よって朝6~7時に起きたら、午後2~3時ごろに食事と関係なく眠くなるのです。 ちなみに22時間後にも眠気のピークが襲ってくるので、朝6~7時に起きて徹夜をしたら、翌朝4~5時に眠くなるわけです。 ここまで聞くと、午後の眠気は仕事の邪魔をする厄介な存在に思えてきます。 しかし、眠気はさらに高いパフォーマンスを発揮するために、脳をいったんメンテナンスする大切な機能なのです。 眠気をやり過ごしていると、脳では働き続けるために一部を眠らせるシステムが働き、ミスが増えてきます。

◆眠くなる前に目を閉じ、リズムを整える

これが眠気のリズムですが、起床から8時間後に襲ってくる眠気を撃退する手段はあるのでしょうか? もちろん、眠気というのは人間の生理現象なので100%撃退できるわけではありません。 しかし、ある程度和らげることはできます。それは、起床から6時間後に5分間目を閉じることです。 時間がなければ1分だけでも構いません。6時起床なら正午に、7時起床なら午後1時に目を閉じてみましょう。 ここで大事なのは、眠くなる前に目を閉じることです。眠気が出てからその対処を考える人が多いのですが、 それでは遅いのです。なぜなら眠気がピークに達した状態というのは、睡眠-覚醒リズムがそこに達した状態でもあり、 ここから脳の活動が再び盛んになるからです。これから活発になるのに眠ってしまっては、せっかく上向きになったリズムに 水を差してしまいます。そこで眠気のピークの手前で目を閉じれば、タイミングよく脳を活発に働かせるのです。

【”根性論”だけでは限界が出てくる】

小休止もせず、突っ走っているだけでは必ずその反動がどこかで出てしまいます。 気合だけで頑張るという”根性論”から脱却して、自分に合った計画を立てて仕事を進めるのが、 ハイパフォーマンスへの近道にもなります。


■仮眠時間は長すぎず短すぎず

◆眠る時間の長さによって効果は異なる

最近は勤務中の仮眠を推奨し、頭をスッキリさせて生産性を上げる会社も増えています。 適度な睡眠は「睡眠負債」を減らすことができ、ひいては会社全体の利益にもつながるわけです。 睡眠負債とはアデノシンなどの睡眠物質(脳を眠らせる物質)がたまった状態を指し、 睡眠負債が溜まれば溜まるほど、脳の働きは低下します。 ちなみに仮眠は眠る時間の長さによって、その効果が異なります。

▼5分以内
リフレッシュした感じはあるが、睡眠負債が減るまでには至らない。
▼6~15分
睡眠負債を確実に減らすことができ、仕事の能率もアップする。
▼15~30分
若い世代だと頭がボーッとしてしまう。中高年なら眠るまでに時間がかかるので許容範囲の長さ。
▼30分以上
夜の睡眠と同じ脳波が出てしまい、夜の寝つきが悪くなる。

仮眠時間は短すぎると期待するほどの効果は得られず、長すぎると夜の睡眠、さらには業務にも支障を来してしまいます。 6~15分が妥当な仮眠時間といえます。

◆90分ごとに目を閉じて頭を切り替える

とはいえ、10分の仮眠時間すら惜しいくらい忙しい人もいるはず。そんな方は、1分間目を閉じてみましょう。 習慣化すれば、それだけでも十分効果的です。会議前、デスクワークに取り掛かる前など、何かを始める前に目を閉じることで、 その後の眠気をある程度和らげることができます。このとき約90分ごとに目を閉じると、効果がより増します。 これは、人間の生体リズムが約90分で動いているからです。ヒトの眠りは90分前後のサイクルでレム睡眠とノンレム睡眠を 繰り返していますが、このようなリズムは昼間も見られます。人間の集中力の限界も約90分といわれており、 この周期で目を閉じて休憩すれば、作業中の覚醒が始まります。 ちなみに、人間は昼間に起きて夜眠る「単相性睡眠」のリズムを持つ生き物です。 これに対し、犬や猫などは起きたり眠ったりを繰り返す「多相性睡眠」のリズムを持っています。 約90分ごとに目を閉じる行為は、多相性睡眠を真似るイメージです。

【企業でも重要視されつつある仮眠】

「仕事の生産性を上げるために、仮眠を取ることは大事」という考え方は、少しずつ企業の間にも広まりつつあります。 「昼寝=サボり」という概念からいち早く脱却し、脳をリフレッシュすさせることが、業績アップへの近道となるでしょう。


■脳をリラックスさせるために情報を遮断!

◆エネルギーを無駄遣いせずに、午後の仕事に備える

サラリーマンにとって、昼休みは安らぎのひと時。気分が高揚する人も少なくないと思います。 「昼休みは元気に過ごすべきだ」という風潮は昔からあり、かつてはオフィスの屋上でバレーボールをする光景もよく見られました。 今でも昼食を摂りながらおしゃべりをする人は多いのではないでしょうか。 それも確かにストレス解消という身では効果的ですが、睡眠-覚醒リズムの流れを見ると、必ず午後にガクッと集中力が低下する 時間帯が出てきます。昼休みの時間帯で効率よく休めば、集中力が低下してもスムーズに回復し、 午後の仕事も充実させることができます。例えば昼休みが正午~午後1時で起床時刻が朝6時だった場合、 起床から6時間後に昼休みを迎えることになります。「起床から6時間後に5分間目を閉じる」を実践するにはベストなタイミングです。

とはいえ、昼休みは腹ごしらえもしなければならず、何かと忙しい時間帯でもあります。 まとまった時間が確保できない場合は、社員食堂で食事がくるまで目を閉じるなど、細切れの時間を使って休むとよいでしょう。 目を使わなくてもいいときに目を開けるのは、エネルギーの無駄遣いでもあるので、休めるときには、しっかり目を閉じましょう。 食堂のテレビを見たり、新聞や雑誌を読む方もいますが、そこから入ってくる情報は脳内で逐一処理されていきます。 これでは脳が休まらず、本当の意味でのリフレッシュにはならないので、午後からの仕事に精力を注ぎたいときは、 少しでも目を閉じて視覚を遮断し、脳を休めましょう。

◆タバコやカフェインで気分を変える方法

昼休み以外にも、タバコやコーヒーをたしなみながら小休憩する時間帯があります。 例えばタバコの場合、喫煙前に少し目を閉じておくと、覚醒効果がより高まります。 またコーヒーなどに含まれるカフェインは、摂取後30分ほどで脳に到達し、そこから約5時間は脳内に留まり続けます。 摂取後10~30分ほど仮眠し、起きたら日の当たる場所に行ってみましょう。 するとちょうどいいタイミングでカフェインが効いてきて、仕事をする上で最高の状態に持っていくことができます。

【カフェインはすぐ効くわけではない】

眠くなった時、コーヒーを飲んだらすぐに眠気が冷めて仕事がはかどるわけではありません。 仕事が一段落した時、頭を切り替えたいときに適宜飲み、集中力を高めるためのアイテムと見なした方がよいでしょう。