脂質異常症・高脂血症対策
『脂質異常症』とは、血液中のLDLコレステロールや 中性脂肪・βリポたんぱくなどの脂質の数値が必要量よりも過剰な状態やHDLコレステロールが少ない状態をいい、 その原因は高カロリー食や高脂肪食など食事の問題に起因します。 このため、「食事療法と運動療法」が治療・改善の基本になります。
■脂質異常症対策
「脂質異常症」は、「高LDLコレステロール血症」、
「低HDLコレステロール血症」、「高トリグリセリド(中性脂肪)血症」に大別されます。
血中脂質が増えると、血流が悪化し、血管壁に沈着して動脈硬化が進みます。
その結果、
脳卒中や
狭心症・
心筋梗塞などの疾患が起こりやすくなり、
脂肪肝や
膵炎などの合併症も誘発するようになります。
脂質異常症は高カロリー食や高脂肪食など食事の問題に起因します。
このため、2002年度に発表された「動脈硬化性疾患診療ガイドライン」には、
生活習慣を改善することが重要であるとして、食事療法が詳述されています。
脂質異常症の治療・改善は
糖尿病や
高血圧などの危険因子が重複しているかどうかによって目標値が異なりますが、
治療・改善の基本となるのは
「食事療法と
運動療法」です。
まずは食事療法や運動療法で生活習慣の改善を長期的に続けることが何よりも重要です。
こうした生活療法を行っても十分に改善できない場合に、
「薬物療法」を加えます。
脂質異常症の食事療法では、まずエネルギーの摂りすぎに注意します。また、コレステロールを多く含む食品は、摂る量や頻度に気をつけます。
食事は、植物性たんぱくや低脂肪食を摂り、糖分やアルコール類を節制するといったことに気をつけます。
運動療法(運動不足の解消)では、
「ウォーキング」や
「サイクリング」「水泳」などの「有酸素運動」がお勧めです。
適度な運動は善玉のHDLコレステロール値を上げる効果があります。
日頃からよく体を動かすようにしましょう。
また、喫煙している人は禁煙に努めましょう。
■高LDLコレステロール・高中性脂肪の改善「肥満の改善」
脂質異常症の人の多くは「肥満」なので、第一段階は「減量」に努めます。
生活習慣病を併せ持っている人には、
内臓脂肪が多く蓄積されていて、
この内臓脂肪が動脈硬化を促進させることが、さまざまな研究によって明らかにされています。
内臓脂肪が増えると血管壁を傷つける悪玉の生理活性物質の値が上昇し、
逆に、動脈硬化をを防ぐ働きのある善玉の
生理活性物質(アディポネクチン)の値が著しく低下します。
「肥満」を解消すれば、内臓脂肪が減ることによて善玉の生理活性物質(アディポネクチン)が増え、
脂質異常症だけではなく、糖尿病や高血圧の改善にもつながります。
肥満の改善は、急激に減量するのではなく「現在の体重の5%減」を目標にするとよいとされています。
■高LDLコレステロール・高中性脂肪の改善「食事のバランス」
脂質異常症の食事療法は摂取エネルギーの総量を減らすだけではなく、「バランス」を考慮することが重要になります。
特に、「動物性脂肪」を控えることが大事です。動物性脂肪が脂質異常症に悪影響を及ぼすことは、細胞生物学的にも明らかになってきています。
動物性脂肪を摂り過ぎると、肝臓の中にある「SREBP-1c」という遺伝子調節因子が活発に働き、
その結果、脂肪酸の合成が増え、中性脂肪が血中に大量に放出されます。
また、コレステロールの処理にも狂いが生じて、血中に悪玉のコレステロールが溜まってしまいます。
一方、積極的に食べることが望まれるのがイワシやサバなどの「青魚」。
青魚に含まれる「n-3系多価不飽和脂肪酸」
はSREBP-1cを抑える作用があります。
また、この不飽和脂肪酸は血小板の血液凝固作用を抑えるので、動脈効果の予防に非常にに役立ちます。
2005年には、この系統の
「EPA(エイコサンペンタエン酸)」
が脂質異常症患者の心筋梗塞の発症率を低くするという、大規模な研究実験報告が発表されています。
ガイドラインでは、摂取するコレステロールは1日300g未満に、
また、脂質異常症の中でも悪玉コレステロール値が高い「高LDLコレステロール血症」の人では200g以下に制限するよう勧めています。
日本人の場合、エビ・イカ・ウニなど、特に卵からのコレステロール摂取量が多いので、これらを制限するだけでかなりの効果が期待できます。
【関連項目】: 『高LDLコレステロール・高中性脂肪が気になる方に適した「食事・食品」』
●体質を考慮する
食事療法の効果や反応はは人それぞれで、数値が劇的によくなる人もいれば、あまり変わらない人もいます。 また、動物性脂肪を控えてよくなる人もいれば、コレステロール制限でより効果が上がる人もいます。 脂質異常症の改善で効果的な食事療法を進めるためには、まず体質を把握することが重要になります。 どのようにして体質を把握するかは、各医療機関により異なります。
■高LDLコレステロール・高中性脂肪の改善「薬物療法」
脂質異常症の改善で食事療法の効果が期待するほど得られない場合には、薬物療法が行われますが、薬物療法中にも、食事療法は継続します。 食事療法を継続している人は、していない人に比べ、薬の効きが非常にいいようです。
【関連項目】:脂質異常症の薬
■高LDLコレステロール・高中性脂肪の改善「サプリメント」
脂質異常症の改善ではコレステロールや中性脂肪などの脂質を減らすことが大切ですが、血液中の脂質を減らすと考えられているものに、
「酵素」や”
善玉の脂肪”と呼ばれている「オメガ3系脂肪酸」があります。
酵素は消化と代謝のために欠かせない物質です。
酵素サプリメントは多種多様な原料から作られますが、天然原料などの安心できるものかどうか、ブレンドの内容も確認しましょう。
オメガ3系脂肪酸には、青魚に多く含まれる
「EPA」、
「DHA」や、
亜麻仁油に含まれる
「α-リノレン酸」などの種類があります。
α-リノレン酸は熱に弱いので、亜麻仁油は低音圧搾法で作られたものを加熱しなで摂取するとよいでしょう。
- 【関連項目】
- 『脂質異常症対策の特定保健用食品』
- 『脂質異常症対策のサプリメント』
- 『血流改善サプリメント』