高齢者の高コレステロール血症の治療③75歳からの治療の進め方

75歳以上になると、個人差はさらに大きくなります。合併している病気や生活活動レベルはさまざまで、さらには環境も一人一人違ってきます。 生活状況が違えば、食事や運動についての指導の仕方も、その人の生活に合ったものが必要になります。 したがって、患者さんに合わせて、治療の進め方が大きく異なってきます。 高齢になってから冠動脈疾患や「脳梗塞」を起こすと、命にかかわる危険性はより高くなります。 一命を取り留めても、以前のような生活ができなくなることも多いものです。 加齢そのものが大きな危険因子であることを、本人だけでなく家族など周囲の人もよく理解したうえで、発症予防に努めることが大切です。


■75歳からの治療

合併症や生活活動レベルを総合的に考慮して治療が行われる

75歳以上になると、それ以前に比べて、個人差がより大きくなります。 例えば、75歳未満の人と変わらないほど、心身ともに元気な人がいれば、思うように活動するのが難しいという人もいます。 家族に囲まれて暮らす人もいれば、1人暮らしの人もいます。都会に住んでいる人もいれば、郊外に住んでいる人もいるでしょう。
75歳以上になると、多くの場合、生活習慣はより難しくなります。 食生活に関しては、食べ過ぎよりもむしろ、低栄養の方が問題になります。 また、腰や膝などに痛みを持つ人はさらに増え、運動をきちんと行うことができる人は少なくなります。 そのほか、合併症や薬の副作用に、より注意が必要となります。
これらの点を総合的に考えて、一人一人に合った治療を行っていきます。


●外出が困難になることも多く、周囲の人の協力がより必要に

高齢者の場合、自分一人では通院できず、家族などが付き添って来院する場合がよくあります。 付き添ってきた人も、担当医の説明をよく聞くようにしてください。 特に75歳以上の人では、生活習慣の改善や薬の管理などが1人でうまくできないことも多いため、 どうしても周囲の協力が必要になります。自分で通院できる場合でも、毎回ではなくてもよいので、 家族など周囲の人が一緒に受診することが望まれます。
また、交通機関などの問題で、専門医のところを頻繁に訪れるのが難しい場合は、 専門医が患者さんの自宅のかかりつけ医と連携をとって治療を進めることもできます。 通院に不便があれば、担当医に相談してみるとよいでしょう。 患者さんによって状況が異なるだけに、支えてくれる人と担当医とのコミュニケーションが、より重要になるのです。