ハトムギ
『ハトムギ』は、その働きによって大腸ポリープを取り除き、再発も防ぐとして注目を集めています。 胃潰瘍の改善にも、ハトムギが役立つと考えられています。また、化膿やむくみ・神経痛・胃腸病・痔などにも有効であることがわかっています。
■「ハトムギ」とは?
2000年前から薬として活用
「ハトムギ」は最近、飲み物や朝食用のシリアルなどにも使われているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。 ハトムギは、熱帯地方が原産のイネ科に属する植物で、殻と茶褐色の硬い皮で覆われた白い実の部分が食用になります。 ハトムギと人間とのかかわりは古く、人類が最初に食べた穀物がハトムギであるという説もあるほど。 約2000年前から薬としても用いられ、中国の古い医学書である『神農本草経』にも、 ハトムギの薬効が記されています。 漢方では、ハトムギには鎮痛、消炎、健胃、利尿といった働きがあるとされています。
ハトムギが日本で普及したのは、明治時代といわれています。民間では、昔から「イボ取りの妙薬」とされてきました。 最近では、美肌作りの効果も知られるようになりました。 そればかりか、ハトムギは、化膿やむくみ・神経痛・胃腸病・痔などにも有効であることがわかっています。 こうしたハトムギの効果は、血液やリンパ液の流れを促す働きによるものと考えれています。 それによって、全身の新陳代謝を活発にするのです。 前述のように、ハトムギにはイボ取りや美肌作りの効果がありますが、 これと同じような効果が、体内の器官や組織でも期待できることがわかってきました。 その代表が胃や腸の粘膜を修復する働き。ハトムギは、その働きによって大腸ポリープを取り除き、再発も防ぐとして注目を集めています。 胃潰瘍の改善にも、ハトムギが役立つと考えられています。 ハトムギを摂れば、胃や腸の粘膜の新陳代謝が活発になります。そのため、粘膜にできたポリープや潰瘍も退けることができるというわけです。
●癌化が心配な大腸ポリープにはハトムギが効果的
癌の発生を78%も抑制
大腸ポリープは、いわば「大腸の壁にできたイボ」。胃や小腸などににもポリープは発生しますが、多発するのは大腸ポリープです。 大腸ポリープは、直径1cmを超えれば、大腸癌になる率が高いといわれています。 胃潰瘍も、悪化すれば癌化する可能性が高くなります。つまり、ハトムギには、大腸ポリープや胃潰瘍を退けて、癌を防ぐ効果もあるといえるでしょう。 実際にに、ハトムギが癌を防ぐことは、京都府立医科大学の研究グループの実験によって確かめられています。 実験では、ネズミを2つのグループに分け、一方にはハトムギのエキスを与え、もう一方には与えませんでした。 そして、すべてのネズミの肺に、発癌物質と癌を成長させる物質を投与しました。 すると、ハトムギのエキスを与えたネズミは、肺癌がほとんど発生しませんでした。 その結果、同研究グループは、ハトムギが癌の発生を78%も抑えると結論付けたのです。 ハトムギの癌予防効果は、ハトムギに含まれるさまざまな有効成分が、総合的に働いた結果だと考えられます。 最近の研究では、ハトムギにごく少量だけ含まれている「コイクセノリド」という成分に、抗癌効果があることもわかりました。
●ハトムギの摂り方
最近では、ハトムギの実を微粉末にした食品が市販されるようになりました。
こうした食品を利用すれば、実に含まれている有効成分をすべて摂ることができます。
しかも、粉末にすれば消化・吸収もよくなります。ハトムギの粉末は、1日に2~4g(小さじ1杯程度)摂れば十分です。
毎日摂ることも難しくないでしょう。ハトムギには副作用の心配がないため、大量に食べても問題はありません。
ハトムギから得る効果を大きくしたいときには、5~10g摂ってもいいでしょう。
ただし、ハトムギを摂ると、まれに便秘気味になる場合があるので、その場合は摂取量を減らしてください。
漢方では、妊娠中の人もハトムギを摂ることは控えたほうがいいとされています。
ハトムギの粉末は白く、無味無臭。ほんのりとした香りはしますが、クセはありません。
そのため、ハトムギの粉末を、牛乳やヨーグルトに混ぜたり、スープや味噌汁に溶かしたりして摂るのもおススメ。
お好み焼きに混ぜたり、クッキーやパンに入れて焼いたりしてもいいでしょう。