『プエラリア』は、タイ北部やミャンマーの山岳地帯など、亜熱帯地域の落葉樹林に自生するマメ科クズ属の植物で、 赤いグワオーデン、黒いグワオーダム、白いグアオークルアの3種類が有ります。 塊根に含まれる成分はショ糖 (砂糖)・食物繊維が大部分ですが、 女性ホルモンに似た作用を持つ植物性エストロゲン・ イソフラボンが 含まれており、含有量は大豆のほぼ40倍にも達します。 タイの伝統医療では、女性の豊胸や美肌効果など、女性の美しさをアップさせるハーブとして利用されています。
「プエラリア」は、プエラリン、ダイジン、ダイゼイン、ゲニステインといったフラボノイドを含有します。 エストロゲンを活性化する誘導体はゲニステイン、ダイゼインに大別できますが、プエラリア・ミリフィカは、 より活性の強い類縁体・ミロエストロールやデオキシミロエステロールが含まれ、 更年期障害の軽減や、 ホルモン置換療法、他にも女性の美肌作用などに効果が期待できるとされています。 プエラリアの成分はその根に薬効成分を蓄積するわけではなく、ある一定の時期だけ成分が増えるという特徴を持ちます。 よって、年数が古いものには特に価値があるわけではなく、また大きさなども成分に関しては影響はありません。 ただし、薬効成分が活発化するのは、3年以上の樹齢が必要で、タイ国立農業大学(カセサート大学)では、 研究用プエラリアの採取は3年のものを主に利用しています。
また女性が注目するのは、1960年イギリスの学術雑誌『Nature』において“プエラリア・ミリフィカには「プエラリン」 という美乳効果をもつ成分(大豆イソフラボンにはほとんどない)が多く含まれる”との趣旨が発表されたことも、大きな理由の1つと思われます。 一般には“白”の多くが「ガウクルア」とも表記され、サプリメントとして市販されています。 ただし、プエラリアが含むミロエストロール(強力なエストロゲン活性をもつ成分)等は、 その効果の強さから、当然に副作用をも考慮する必要があります。 サプリメントとして濃縮されたものについては、過剰摂取に注意が必要です。 しかし、濃縮されていないプエラリアを食べる場合には、現地でも古来から食べている食品なので問題はないとされます。 なお日本においては特定保健用食品に含まれる植物性エストロゲン摂取量の上限を大豆イソフラボンアグリコン換算値として「30mg/日」と定めています。
女性らしさを保つための作用(バストアップや美肌効果)。
植物には女性ホルモンのエストロゲンと似た働きを持つ成分があり、ファイトエストロゲンと総称されています。 ファイトエストロゲンは、大豆に豊富なイソフラボン類と、ゴマなどに含まれるリグナン類の2つに大別されます。 これらのうち、大豆イソフラボンがよく知られています。大豆イソフラボンは主にダイゼインとゲニステインの2種類で構成されます。 これまでの研究により、プエラリアミリフィカにもイソフラボン類が存在し、エストロゲン活性を有していることがすでに証明されています。 例えば、2000年に発表された千葉大学とタイのチュラロンコン大学との共同研究では、 プエラリアミリフィカに9種類のイソフラボン類が見出されたといいます。
プエラリアミリフィカは、女性らしさを保つ効果や女性特有の症状への効果を目的として利用されています。
予備的な臨床研究では、更年期の女性37名を対象に、1日当たり50mgあるいは100mgのプエラリアミリフィカ含有カプセルが6ヶ月間投与された結果、
更年期不定愁訴の指標の低下(改善)、血清エストラジオールの変動が認められました。
また、プエラリアミリフィカによる脂質異常改善を示した臨床研究では、閉経後の女性19名を対象に2ヶ月間投与の結果、
投与前値に比べて、血中LDL(善玉)コレステロールの有意な増加、LDL(悪玉)コレステロールの有意な低下を認めました。
その他、豊胸作用を示唆する症例報告もされています。
プエラリアミリフィカは、タイでは白ガウクルアと呼ばれます。
タイでガウクルアと呼ばれるハーブには、白ガウクルア(学名:Puerarua mirafica)、赤ガウクルア(学名:Bbutia superb、タイ名 ソフォン)、
黒ガウクルア(学名:Mucuna collettii)といった種類があります。
日本で食用や薬用に利用される葛(学名:Pueraria lobata)は、同じクズ属であり、近縁種に当たります。葛根は、漢方で利用される生薬の一種です。
タイの伝統医療では、更年期の女性に対する強壮剤として、他のハーブと組み合わせて利用されてきました。
近年では、女性の豊胸や美肌といった美容目的での利用も知られています。
なお、白ガウクルアが女性用、赤ガウクルアが男性用という考えもありますが、基本的にはどちらも男女ともに使うことができます。
タイの伝統医療では、経口摂取以外では、乾燥粉末の塗布による皮膚からの吸収による処方も知られています。
バストアップや美肌効果などが、伝統医療や体験談として伝えられてきました。
実際に、基礎研究では有効成分なども見出されています。
しかし、厳密な臨床試験は、まだ報告されていません(2011年現在)。
特に決まった摂取量はありません。一般に、短期間では効果が期待できないので、継続して利用します。
一般に、美容や美肌効果を目的として女性に推奨されるサプリメントです。
プエラリアミリフィカの成分に対して、発疹などの皮膚症状や胃腸障害といったアレルギー症状が現れることがあります。
これらの症状が見られたら使用を見合わせます。
一般的には、特に問題となる健康被害や副作用は知られていません。
ただし、エストロゲン様作用を持つサプリメントを併用する際には、症状の変化に注意し、異常が認められたら、医師に相談しましょう。
(婦人科系疾患の)医薬品(例えばホルモン剤や抗癌剤)を服用している場合には、念のため医師に相談します。
妊娠中や授乳中には、念のために使用を控えます。
ファイトエストロゲンを含む植物の成分から作られたサプリメントの場合、その効果については個人差が非常に大きいため、
自分の体調をみながら利用するようにします。