脊柱管狭窄症の自力ケア④

脊柱管狭窄症の諸症状の克服に見事成功した先輩患者の「部位別・症状別自力ケア法」を初公開。


■試行錯誤の末に生まれた自立ケア法

これまでに何度も述べてきたように、腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症)は、病名は一つでも、 発症の原因や症状の現れ方は患者さんによって千差万別です。 ベルトコンベア式の通り一遍の治療では、決して太刀打ちできません。
では、どうすればいいのでしょうか。答えはもうお分かりでしょう。脊柱管狭窄症を改善に導くためには、 一人ひとりが自分に合う部位別・症状別の治し方を見つけることが不可欠なのです。 脊柱管狭窄症の部位別・症状別の自力ケアの具体的なやり方については次ページから詳しく紹介します。 ここでは、その個々の説明に入る前に、脊柱管狭窄症の自力ケア全般について説明したいと思います。


●脊柱管狭窄症と闘う上で、体操は最強の武器

脊柱管狭窄症の自力ケアで最も重要だと考えられることが3つあります。

  • ①自分に合う体操の実施
  • ②日常生活での姿勢の改善
  • ③食事の改善

の3つです。どれも至極当たり前のことのように感じられるかもしれませんが、この3つをしっかり実行できさえすれば、 脊柱管狭窄症の改善はそれほど難しくないかもしれません。 中でも、自分に合う体操の実施は、脊柱管狭窄症という厄介な病気と闘う上で何よりも心強い最強の武器になると考えられます。 脊柱管狭窄症による足腰の痛みや痺れは、姿勢の変化や歩行の継続によって、症状が強まったり弱まったりします。 これは裏を返せば、自分に合う体操を行って体を適度に動かせば、足腰の痛みや痺れをその場で軽減できる可能性があることを 示しています。
脊柱管狭窄症と診断されると、医師や家族から「大事にして」などといわれて安静に過ごしてしまう人が多いようですが、 ほとんどの場合、それは逆効果です。体操を積極的に行って体を適度に動かし、足腰の衰えの防止に努めてほしいと思います。



●前かがみ姿勢を癖にしない

2つ目は、日常生活での姿勢の改善です。一時的に楽に過ごせるからといって前かがみ姿勢が習慣になっている人は、 できる範囲で正しい姿勢に近づける努力が必要です。さもないと、長期的には腰椎の負担が増して病状の悪化が進んでしまうからです。 ここでいう正しい姿勢とは、背骨の形状を本来あるべきS字カーブ(ナチュラルライン)に保つ姿勢のこと。 顔を正面に向けて顎を軽くひき、背筋を伸ばして胸を張った姿勢です。 ところが、脊柱管狭窄症の人は、体を起こして腰を反らすと、脊柱管が狭まって、足腰の痛みや痺れが強まってしまう場合が 少なくありません。そこで、それ以上体を起こすと痛みや痺れなどの症状が現れるギリギリの姿勢(ニュートラルポジション) をなるべく保つようにします。ぜひ心がけてほしいと思います。



●脊柱管の強化栄養を積極的に摂る

3つ目は、食事の見直しです。加齢に伴う脊柱管の狭窄を防ぎ腰椎を丈夫に保つためには、骨や靭帯、軟骨、筋肉、神経を 若々しく保つのに必要な栄養をしっかり補うことが重要でしょう。 具体的には、骨の材料になるカルシウム、軟骨の主成分であるプロテオグリカン、靭帯を柔軟に保つエラスチン、 神経の修復を促すビタミンB12などの栄養を積極的に摂ることをお勧めします。