脊柱管狭窄症対策に『四つん這い体操』②
脊柱管狭窄症のい人でも楽に行える『四つん這い体操』なら体幹筋が強化でき、腰痛の劇的改善例が多い。
■四つん這いでお腹と腰を上下するだけ
腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症)に伴う腰の鈍痛を改善に導くには、背骨を支えて自然なS字カーブ(ナチュラルライン) を保持する体幹筋を強めて、腰椎の狭窄部位にかかる負担を減らすことが肝心です。 体幹筋を強めるには、体幹筋を使う筋トレが必要になります。ただ、高齢の患者さんや、数分間立つのもつらいという人では、 腹筋運動や背筋運動などの一般的な筋トレを行うのは難しいでしょう。 そこで私がお勧めするのが『四つん這い体操』です。 四つん這い体操は、脊柱管狭窄症の症状が悪化する危険を極力抑えながら、楽に体幹筋が強められる筋トレで、 高齢者や脊柱管狭窄症の症状がある人でも簡単に行うことができます。
四つん這い体操は、その名のとおり四つん這いになって行う体操です。やり方もいたって簡単です。 まず、床に四つん這いになり、背骨本来のS字カーブを意識しつつ、背中をまっすぐに伸ばします。 S字カーブがすでに崩れていたり、猫背になったりしている人は、痛みや痺れなどの症状が強くならない範囲で背中を伸ばしましょう。 床に膝が当たってい痛い人は、下にヨガマットなどを敷いてください。 次に、背中が弓なりになるようにお腹を床方向へ下げます。お腹を突き出すようにするのがコツです。 それから、今度は腰の部分を持ち上げて、背中を丸める姿勢を取ります。 これらの一連の動作を1セットとして、朝・昼・晩に各10セットを目安に行ってください。
お腹や腰を上げ下げするときは、決して無理をしてはいけません。いきなり強い力を込めて行うのではなく、 ゆっくりと上げ下げするように心掛けてください。また、症状が強いときには無理して行わないようにしましょう。
●腰痛が和らいだら、外出の機会を増やす
以上が四つん這い体操の基本ですが、併せて体を前後に動かす四つん這い体操、体を左右に動かす四つん這い体操も行うと、 体幹筋を強める効果はさらに大きくなるでしょう。四つん這い体操の詳しいやり方は左の解説を参照してください。 四つん這い体操には、体幹筋を強める働きのほか、脊柱管狭窄症の患者さんで硬直しやすい腰周囲の筋肉をほぐす働きも 備わっています。また、四つん這い体操を行えば、脊柱管狭窄症の原因の一つである硬膜(脳と脊髄を覆う膜)の外圧が下がって 神経根への圧迫が緩むため、痛みや痺れなどの症状が和らげられる効果も期待できます。
四つん這い体操に限りませんが、こうした体操は毎日続けることが大事です。痛みがある場合は無理する必要はありませんが、 慣れるまでは1日に何回行うと決めず、できる範囲で自分のペースで根気よく毎日行えばいいのです。 また、四つん這い体操で体幹筋が強まり、腰痛が和らいだら、外に出かける習慣をつけましょう。 四つん這い体操で腰痛がよくなっても家にこもりがちな生活を続けていれば、いずれ再発します。 家から出て立ったり歩いたりする時間が増えれば、自然と体幹筋の筋力が維持でき、腰椎は再発しなくなるはずです。