脊柱管狭窄症を自力で改善する
「足腰が痛む」「痺れる」「長く歩けない」・・・・・。日常生活に支障を来す脊柱管狭窄症が、今急増中です。 そんな悩みや痺れを、自力で改善する方法をご紹介します。 いずれも手軽なものばかりですので、ぜひ自分に合った方法を見つけてください。
■脊柱管狭窄症の改善
急増中の難病「脊柱管狭窄症」は、日常生活の工夫を積み重ねれば改善に導ける
●高齢化と姿勢の悪さが患者急増の二大原因
皆さんの中で、次のような症状に悩まされている方は、いらっしゃいませんか?
- ▼長い間立っていると、足が痺れてくる
- ▼正座したわけでもないのに、足の裏に痺れがある
- ▼長時間歩いたわけでもないのに、足がだるくて重い
- ▼椅子から立ち上がるとき、足に痛みが出る
- ▼敷居など、少しの段差でつまづくことがある
- ▼靴を履いたとき、中に小石などが入っているような異物感がある
- ▼足の裏に粘着物が貼りついている感じがする
これらは、急速に患者が増えつつある「脊柱管狭窄症」の前触れの症状です。 中でも、長時間歩いたり立っていたりすると、足に痛みや痺れが出て、その結果、動けなくなるばかりか、 立っているのも困難になる場合があります。これは、「間欠性跛行」といい、脊柱管狭窄症の最も特徴的な症状とされています。 50歳代以降、ここで挙げたような症状に悩まされるようになってきた方は、脊柱管狭窄症を疑ってみる必要があるでしょう。 脊柱管は、背骨の後ろ側を通っている神経の通り道です。主に加齢が原因でこの脊柱管が狭くなり、神経を圧迫して足腰に痺れが出てくるのが、 脊柱管狭窄症という病気です。
近年、脊柱管狭窄症が急速に増えてきたことには、大きく分けて二つの理由があると考えられます。 一つは、超高齢化社会の進行です。日本では、高齢者の数が急速に増加しています。 脊柱管狭窄症を引き起こす、主な要因は加齢です。したがって、高齢者が増えれば、それに伴って悩む患者数が増えるのも 当然といえば当然なのです。二つ目は、現代人の姿勢の悪さです。実際に脊柱管狭窄症を患っている人の話を聞いてみると、 若い頃から姿勢が悪く、親からも度々注意されていたという方が非常に多いのです。 最近は、パソコンやスマートフォンなどを、毎日、長い時間使っている人が、増えているといえます。 現代人の姿勢は、いよいよ悪くなっているのです。これらのことが、脊柱管狭窄症の患者数の増加に拍車をかけていると考えられます。
●前屈すると症状が楽になるのが特徴
では、脊柱管狭窄症が疑われる場合、どうしたらいいのでしょうか。 脊柱管狭窄症は、加齢によって、ジリジリと進行していく病気です。 ですから、残念ながら、整形外科で治療を受けなければ、パッと完治するような病気ではありません。 それどころか、「処方された薬を飲んでも、ほとんど効果がない」「マッサージや鍼灸を受けてもダメだった」 「どうやっても、足の痛みや痺れが消えない」「杖の助けを借りないと歩けない」「整形外科で手術を受けても、 足の痺れが取れなかった」・・・・・、こういった声もよく聞かれるのです。 ただ、だからといって、「整形外科の診察を受ける必要はない」などといいたいのではありません。 というのも、足腰に痺れや痛みが出る病気は、他にもいろいろあるからです。 皆さんがよくご存知の椎間板ヘルニアでも、 足腰に痛みや痺れが出ます。
では、両者の簡単な見分け方を示しておきましょう。立った姿勢で前屈をしてみてください。 前屈をした方が楽なのが、脊柱管狭窄症、後屈した方が楽なのが、椎間板ヘルニアです。 脊柱管狭窄症では、前屈すると、脊柱管が広がるため、神経の圧迫が軽減し、楽になるのです。 一方、椎間板ヘルニアの場合、この逆になります。つまり、この二つの病気は、日常生活を送るうえで、 注意すべきポイントが全く逆なのです。 こうした点からも、病気の正しい診断をすることが、非常に重要です。 他にも、例えば、癌にかかっている人は、転移によって腰にしつこい痛みが出ることがあります。 まず、整形外科できちんと診てもらい、病名や病気の程度をハッキリさせることが大切です。 そして、脊柱管狭窄症との診断を受けたら、整形外科での治療を続けながらで構いませんが、日常生活に配慮しながら、 脊柱管を広げる体操などを続けていきましょう。
こうした処置によって、なかなか治りにくい症状の改善を図っていくことが可能になります。 例えば、間欠性跛行に悩まされている方は、症状が出たとき、我慢して歩き続けたりしてはいけません。 我慢して歩くことで、脊柱管にさらに余計な負担がかかり、症状を悪化させるきっかけとなりかねないからです。 このため、間欠性跛行のある方は、症状の出る前にこまめに休憩し、症状を出させなように努めることが勧められるのです。 また、杖やシルバーシートを使ったり、自転車などを利用したりして、移動の際の脊柱管への負担を極力減らすといいでしょう。 寝るときも、仰向けよりも、横向きになり、腰を丸めた姿勢で寝ることをお勧めします。
このような日常生活の工夫を積み重ね、かつ、狭まった脊柱管を広げるのに有効な体験などを続けていくことで、 治りにくい脊柱管狭窄症の症状が、次第に改善するはずです。