食品で脊柱管狭窄症を改善する④「プロテオグリカン」
第三は椎間板の注目栄養『プロテオグリカン』で、軟骨細胞の増殖を助け、軟骨の変性も防ぐ。
軟骨細胞を増やすプロテオグリカンの効力は、コラーゲンやコンドロイチンに勝り、郷土料理「氷頭なます」で補える。
脊柱管狭窄症の予防・改善には、椎間板を若々しく保つことが重要です。
その方法として、コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチンといった軟骨の栄養を補うことが推奨されています。
そうした軟骨の栄養の中でも近年、新たに大きな注目を集めているのが「プロテオグリカン」という成分です。
プロテオグリカンとは、軟骨を形成する成分の一種で、体内への吸収率が高く、
椎間板を若々しく保ち脊柱管狭窄症を改善に導く優れた働きを備えています。
■新しい軟骨の栄養が発見された
脊柱管狭窄症を招く重大な原因として見逃せないのが、椎間板の衰えです。椎間板とは脊椎(背骨)を構成する椎骨と 椎骨の間にある弾力性に富んだ軟骨組織で、椎骨同士が直接ぶつかるのを防いだり、背骨にかかる衝撃を和らげたりする 役割を担っています。 この椎間板が衰えて軟骨が変性すると、弾力性が損なわれて薄く潰れ、脊柱管の内部にせり出してきます。 その結果、脊柱管が狭まり、中を通る神経が圧迫されてしまうのです。 椎間板の衰えを防ぐには、従来、コラーゲンやグルコサミンといった軟骨の栄養を補うをことが勧められています。 そうした中、近年、急速に研究が進み、軟骨の変性を強力に防ぐ効果のあることがわかった新しい軟骨の栄養が注目を集めています。 それが、脊柱管若返り栄養として第三に勧める『プロテオグリカン』です。
●プロテオグリカンとは?
軟骨の弾力性を保つ効果も強力
プロテオグリカンとは、軟骨を形成するコアたんぱく質と呼ばれる成分の一種で、一つの幹に多数のムコ多糖類が結合した
構造を持っています。プロテオグリカンは、コラーゲンの骨組みの中に存在し、水分を溜め込んで弾力性を保つ働きを担っています。
プロテオグリカンの特徴として、まず挙げられるのは、軟骨細胞の増殖を促す効果が非常に大きいことです。
軟骨細胞が増えれば、体内でコラーゲンやプロテオグリカンの合成が活発になり、椎間板が若々しく保たれます。
しかも、その結果はコラーゲンやコンドロイチンに勝ることがわかっています。
また、水分を保持して軟骨組織の弾力性を保つ効果も、グルコサミン以上に強力であることも報告されています。
●身近な食品から効率的に補う方法を発見
では、なぜ近年になってプロテオグリカンの研究が急速に進んだのでしょうか。 実は、青森県の弘前大学では、30年以上も前から軟骨栄養についての研究が続けられており、 プロテオグリカンにも早くから着目していました。しかし、プロテオグリカンは構造が複雑で抽出が難しく、 一般の人が効率よく食品から補う方法もわからなかったため、研究が進まなかったのです。 ところが近年、私たちの身近にある食品にプロテオグリカンが豊富に含まれていることがわかり、 その食品から効率的に抽出する方法が見つかりました。その身近な食品が『氷頭』です。 氷頭とは、サケの頭部の中で、人間でいえば顔の鼻先に当たる部分です。 氷頭は、硬くて食べにくいため、主に魚粉に加工されて肥料や家畜のエサとして利用され、 私たちが食べる機会はあまりありませんでした。しかし、北海道や東北地方などでは、氷頭を薄切りにして甘酢に漬けたものを 「氷頭なます」と呼び、食されていたのです。 弘前大学では、食用の酢酸とアルコールを使って氷頭なますからプロテオグリカンの抽出に成功しました。 それを機に研究が一気に進み、多様かつ強力なプロテオグリカンの働きが次々と明らかになったのです。