腰痛対策に『金時ショウガ』

ショウガは血流を促進して炎症物質を抑える特効食といわれ、
腰痛・坐骨神経痛を始め、難治の痛みもコリを取るのに速効性を発揮します。
また、薬用効果が高いショウガの中でも薬効が特に高いといわれるのが「金時ショウガ」です。


■ショウガ

しょうがは血管の収縮を強く抑える

はるか昔から、発汗・保温・解熱・消炎・殺菌・健胃などの働きがあり、まさに食べる薬として用いられてきた 食材があります。それが「ショウガ」です。 ショウガは、中国の明の時代の有名な薬学書である「本草綱目」に「あらゆる病気を退ける」 という意味の記述がなされています。日本でも、日本最古の医学書として知られる平安時代の「医心方」には、 すでに人々の間で風邪薬や胃腸薬としてショウガ湯が用いられていた、との記述があります。 そして現在でも、医師が使う約150種の漢方薬の7割以上にショウガが用いられているのです。

さてショウガはこのように健康にいいと古くから言われてきましたが、実際にショウガのどんな成分が、 健康づくりに役立つのでしょうか。それは、辛味成分である「ジンゲロール」「ショウガオール」、 清涼感をもたらす成分の「ガラノラクトン」です。これらの成分が、血流を強力に促します。 その仕組みを述べましょう。

血流が悪くなる原因は、いくつもあります。「セロトニン」「プロスタグランジン」という物質も、 この血流悪化に深く関わります。セロトニンとは、私たちの体内で作られる神経伝達物質の一つ。 血液成分である血小板に多く含まれていて、止血に関係していますが、血管の筋肉(平滑筋)を 強く収縮させる作用もあります。 もう一方のプロスタグランジンは、体の組織や臓器で多くの働きをする物質で何種類かあり、 ある種のものは血管を収縮させる作用があります。 このため、セロトニンやプロスタグランジンが働くと、血管が収縮して血流は阻害され、体を冷やしてしまいます。

これに対して、ショウガのジンゲロールやショウガオール、ガラノラクトンが、セロトニンと拮抗して 血管の収縮を抑えたり、プラスタグランジンの生成を阻害したりして、血流をドッと促してくれるのです。 また、セロトニンは痛みを伝える働き、プロスタグランジンは強い炎症を引き起こす働きがあります。 そのため、ジンゲロールやショウガオール、ガラノラクトンがセロトニンの働きやプロスタグランジンの生成を阻害すると、 炎症も治まり、痛みやコリが引いてきます。つまり、ショウガは血流を促し炎症を抑える特効食だといえるわけです。


●金時ショウガ

ショウガの有効成分がすごく多いとわかった

一言でショウガといっても、根ショウガ、土ショウガ、谷中ショウガ、中国産ショウガ、台湾産ショウガなど、 何種類もあります。こうしたショウガの中で、とりわけ薬効が強力なのは、『金時ショウガ』です。 そもそも、ショウガはインドからマレー半島にかけてのアジアの熱帯地域が原産地といわれ、 それが中国や日本に伝えられました。 こうしてショウガが伝わってきたあと、日本ではショウガの品種改良が次々と行われ、 日本独自の「金時」という品種が誕生したのです。 金時ショウガは、一般のショウガに比べて小ぶりで、切り口が濃い黄色をしています。 そして、他の品種のショウガと比べて、有効成分が多く含まれていることもわかりました。 何種類ものショウガについて含まれている有効成分を細かく分析し、比較した研究では、 ショウガの薬効の主役といえる辛味成分のジンゲロールやショウガオール、清涼感をもたらすガラノラクトンなどの 有効成分が、金時ショウガに非常に多く含まれていたのです。

金時ショウガは腰痛撃退効果だけでなく、他にもさまざまな薬効のあることがわかっています。 例えば、金時ショウガは、消化器系の病気や風邪・インフルエンザに効くことがわかっています。 また、先ごろの研究で、金時ショウガが脂肪肝や花粉症にも効くことがわかりました。 金時ショウガを毎日摂り続けることによって、全身の血流が増し、腰痛をはじめとする多くの体の悩みが 解消に向かうはずです。


●金時ショウガ湿布

金時ショウガ湿布の効果はすばやく得られる

前述のような金時ショウガの血流を促し炎症を抑える効果を得るためには、金時ショウガを食べる方法もありますが、 もう一つ、金時ショウガを湿布として外用する方法があります。 金時ショウガ湿布を簡単に言えば、すりおろした金時ショウガを湯に入れて温め、そこにタオルを浸し、 そのタオルを痛む場所に当てる健康法です。 金時ショウガ湿布というのは、耳慣れない言葉でしょうが、痛みや腫れを抑える特効療法として、 金時ショウガ湯と同様にはるか昔から民間療法として行われてきました。 金時ショウガ湿布は、痛みやコリを取る上で、金時ショウガを食べる場合より早く効果が得られますが、 これには理由があります。 まず、第一に熱いタオルを患部に当てることで、その部分の血管が熱の作用で広がり、血流が促されることです。 痛みやコリがあるというのは、その部分の血流が悪化して、冷えている裏返し。 だから、何よりも温めることが大切です。 第二に、金時ショウガのジンゲロールやショウガオール、ガラノラクトンといった成分が肌に浸透すること。 これにより、金時ショウガの成分が効果的に働いて、患部の血流をドッと増やし、しかも炎症を抑えてくれます。 第三に、金時ショウガ湿布は、痛みやコリがあるところに直接作用することです。 これらの結果、金時ショウガ湿布を行えば、痛みやコリが速やかに和らいでくるのです。

◆肌に直接当てて行うのが効果的

金時ショウガ湿布は、これまで述べてきたように、基本的に痛みやコリがある場所に対して行います。 ただし、全身が痛むなど、あいまいな痛みやコリの場合は、体の中心であり冷えやすい腹部、 特に下腹部を温めるのが効果的です。 また、金時ショウガ湿布は、肌に直接当てて行うのが基本です。 とはいえ、やけどのことが心配な人は、パジャマや下着などの上から、金時ショウガ湿布を行ってもいいでしょう。 実際にこの金時ショウガ湿布を行った人は、重い痛みやコリでもやったその場で楽になり、 1週間くらい毎日続けて行えば気にならなくなるまで引いてしまうという人が大勢います。

◆金時ショウガ湿布はどんな腰痛にも効く

ひとくちに腰痛といっても、疲れや姿勢の悪さが原因の軽い腰痛の重だるさから、 背骨の椎間板に異常が起こった椎間板ヘルニア、脊髄の通る脊柱管が狭くなって起こる脊柱管狭窄症など、 多くのものがあります。また、内蔵の病気などから起こる腰痛もあります。 例えば、胃腸の病気。胃潰瘍や虫垂炎などの病気でも腰痛が起こります。 さらに、腎臓・尿管・膀胱など泌尿器の病気でも腰痛が起こります。 そして、子宮内膜症・子宮癌など婦人科系の病気でも腰痛が起こります。 ちなみに、癌の場合は内臓系の癌の多くも、腰痛の原因になります。 風邪やインフルエンザといった感染症でも、発熱のため腰痛の起こることがあります。

腰痛対策というと、通常はそれぞれの原因に応じた対策を講じる必要がありますが、腰への金時ショウガ湿布の場合、 痛みを取るという観点では、どんな腰痛にも効果を発揮します。 例えば、軽い腰痛が和らぐのはもちろんのこと、子宮癌が原因の重い腰痛でも、激痛が速やかに引くことも少なくありません。 また、椎間板ヘルニアなど腰椎の異常で起こりやすい坐骨神経痛がよくなる人も大勢います。 なお、金時ショウガ湿布を長く続けると、全身の血流がよくなってくるので、腰痛の原因になっている病気などが 改善する場合もありますが、金時ショウガ湿布は痛みを取るための治療法なので、病院の治療などは決して止めないでください。


●金時ショウガの選び方

金時ショウガ湿布には痛みやコリを取る即効性がありますが、 もちろん、金時ショウガを食べることでも同様の効果が得られます。 前述のように金時ショウガには薬効成分が多く含まれているのですが、残念なことに、 金時ショウガは、通常のショウガより小さくて見た目もよくなく、辛味も強いので、 日本全国で市販されているというわけではありません。 むしろ、金時ショウガを一度も目にしたことがない、という人の方が多いかもしれません。 とはいえ、あきらめることはありません。 ショウガを買い求めるとき、どんなショウガでも、中身が濃い黄色をした小ぶりのものを選んでください。 こうしたものは、どんな品種のショウガでも、ジンゲロールやショウガオール、ガラノラクトンなどの有効成分が、 比較的多く含まれています。

また、最近は金時ショウガのサプリメントが通信販売店などで市販されるようになってきました。 こうしたサプリメントを上手に利用すれば、金時ショウガが簡単に手に補えます。