脊柱管狭窄症の自力ケア⑥間欠性跛行の改善(2)
外出中の『間欠性跛行』の発症をひとまず防ぐには、 「細切れ歩き・おじぎ休憩・ダブル杖」が有効。
■一時的に前かがみになれば痛みが緩和
細切れにしか歩けない間欠性跛行は、すべての腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症)の患者さんが悩む症状です。 しかし、工夫次第で歩ける距離を延ばしたり、痛みや痺れを和らげたりすることはできます。 間欠性跛行には、前かがみ姿勢を取ると脊柱管の中が物理的に広がって神経や血管の圧迫が緩み、痛みや痺れが和らぐという 特徴があります。これを、ふだんの歩行に取り入れれば断然歩きやすくなるのです。 そこで、お勧めしたいのが「細切れ歩き」と「おじぎ休憩」です。
細切れ歩きとは、歩行中に痛みや痺れが現れそうになったらできるだけ早く立ち止まり、一時的に前かがみ姿勢を取って休む 対処法です。痛みや痺れがあるのに我慢して歩き続けると、症状が余計に強く現れるだけでなく、そのたびに神経が痛んで 病状がどんどん悪化する恐れがあります。そのため、症状が出る前にこまめに休みながら歩くことが肝心です。 次に、おじぎ休憩は前かがみ姿勢を取っても痛みや痺れの回復に時間がかかる場合に行う対処法です。 10回程度を目安に繰り返せば、症状の回復が早まるでしょう。
●ダブル杖なら歩行の速度も距離もアップ
足腰の筋肉が衰え、歩行に不安のある人は杖やシルバーカーを使うことになります。 その場合は、痛みや痺れの兆候が現れたら体の前で杖をついたり、シルバーカーを少し前に出したりして、 一時的に前かがみ姿勢を取るようにしましょう。ただし、足腰の筋力が衰えている人の場合、一本だと安定性に欠けて 転倒する危険があります。そんな人は、2本の杖を使う「ダブル杖」で歩くといいでしょう。 ダブル杖では、2本のウォーキング用の杖を使います。これなら安定感がぐんと増して転倒する危険が激減します。 ダブル杖を使う場合も、しびれが現れそうになったら、爪先の20cmほど前に杖を交互についてください。 これなら、歩くスピードも歩行距離も大幅に増やせるでしょう。
●前かがみを癖にしないことが肝心
これらの対策は、いずれも痛みや痺れが現れそうになったときだけ、前かがみになることが重要です。 前かがみ姿勢が癖になると、腰に負担がかかって病状を悪化させる原因になるからです。 基本は、痛みや痺れがないときは背骨本来のS字カーブに近づくよう、上体をニュートラルポジション(それ以上にそらすと 症状が現れる上体の傾き)に保ちながら歩くことが大切です。