脊柱管狭窄症の自力ケア⑥間欠性跛行の改善(3)胸張りウォーク

間欠性跛行の根治には、腰の脊柱管を狭めずに歩けて歩幅も広がる『胸張りウォーク』が一番。


■前かがみが癖になると狭窄症が悪化

腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症)の患者さんの最大の悩みである間欠性跛行の改善に一番いい方法はなんでしょうか。 前頁までの内容を読んできた皆さんなら、「前かがみ姿勢」と答えるかもしれません。 確かに、前かがみ姿勢で歩けば、脊柱管が物理的に広がり、神経や血管の圧迫が緩むので、間欠性跛行の痛みや痺れが 現れにくくなるとともに、日常動作が行いやすくなります。 しかし、前かがみ姿勢は、間欠性跛行の症状を一時的にやり過ごすための応急処置と考えるべきです。 というのも、前かがみ姿勢が癖になると、腰に多大な負担が長期的にかかるからです。 痛みや痺れが楽になるからといって前かがみ姿勢ばかり続けていると、背骨本来のS字カーブ(ナチュラルライン)が崩れて、 上体の重さを腰だけで支えることになります。すると、腰椎に悪影響が及び、周囲の筋肉が緊張したり、靭帯が肥厚したり、 腰椎を構成する椎骨に骨棘(トゲ)ができたり、椎間板が変性したりして狭窄症が悪化します。 また、腰椎の可動域まで狭まるのです。狭窄症が悪化すれば、当然、間欠性跛行がさらに起こりやすくなり、 痛みや痺れが憎悪するのは言うまでもありません。


●ナチュラルラインに近づけるのが重要

以上のように前かがみ姿勢ばかり続けることは、狭窄症を悪化させ間欠性跛行の症状を強める原因になります。 ですから、歩くときはもちろん、いつまでも背骨をナチュラルラインに近づける、その努力が間欠性跛行の根本からの改善に 繋がるのです。そこで、背骨をナチュラルラインに近づけ、間欠性跛行を根治に導く画期的な歩き方をご紹介しましょう。 それが、『胸張りウォーク』です。胸張りウォークで歩けば、腰椎の可動域も広がります。 胸張りウォークとは、胸を張って上体を起こし腕を前後に大きく張りながら、爪先で地面を蹴りだして歩くウォーキング法のこと。 胸を前に突き出すように張ることで、背骨が連動して背筋が自然に伸び、誰でも簡単に最良の姿勢が取れるのです。 このとき、無理に胸を張って腰を反らし過ぎてはいけません。腰を強く反らしたら、脊柱管が狭まって痛みや痺れが強まるからです。 痛みや痺れが出ないギリギリのところ(ニュートラルポジション)で止めるのが肝心です。 胸張りウォークで重要なのは、胸から下の部分と足を一体に考えることです。 胸にまたがあるつもりで足を振り出し支点としてイメージし、リズミカルに歩きましょう。 視線は前方に向け、踏み出す時は爪先でポンと地面を蹴り出します。両腕は、肘を90度くらいに曲げ、前後に大きく振ってください。 こうすることで、自然と大股になって歩幅が広がり、歩くスピードや歩行力が大幅にアップします。 上半身は胸を張ってニュートラルポジションを保ったまま、頭が糸で釣られているような感覚で上に伸び上がらせるのがコツです。




●胸張りウォークと休憩を使い分ける

胸張りウォークで歩くときは、腰を反らせ過ぎないことのほかにもう一つ注意点があります。 それは痛みや痺れが現れそうになったら、迷わず休憩することです。 休憩するときは、腰や膝に手をついて一時的に前かがみ姿勢を取ったり、おじぎ休憩をしたり、しゃがんで休んだりしてください。 しびれが回復したら、また胸張りウォークで歩けばいいのです。 大切なのは、ナチュラルラインに近づく胸張りウォークと、歩行中の症状に対処する一時的な前かがみ姿勢をうまく使い分ける ことです。ただし、くれぐれも、前かがみ姿勢が癖にならないよう注意してください。 これを繰り返していけば、前かがみ姿勢による腰椎の悪影響が解消して間欠性跛行の根治につながるのです。 間欠性跛行に悩んでいる人は、ぜひ試してみてください。