ボケ防止

認知症ボケ防止には、積極的に新しい情報を取り入れて、海馬を刺激することが重要です。 例えば、パソコンの使い方を習得したり、行ったことのない外国を旅行したりするなど、未体験のことに挑戦してみましょう。 また、日常的に運動を継続している人は、「物忘れ」をすることが少ないという研究報告があります。 運動をすると脳の血流量が増えて、脳の働きが活発になるのです。 さらに、ボケ防止のためには、海馬に必要な栄養を食事でバランスよく摂らなければなりません。 それらの栄養が不足すれば、脳の働きは大幅に低下してしい、物忘れやボケを引き起こします。


■認知症(ボケ)

2020年には、300万人近くまで増加する

日本では、『認知症(ボケ)』の患者が増え続けており、大きな社会問題となっています。 厚生労働省がまとめたデータによると、2005年時点で認知症(ボケ)が進行してしまった人」は約169万人。 さらに今後、高齢化が進むとともに2020年には、300万人近くまで増加すると予想されており、 国立精神・神経センターの推測では、2015年には認知症(ボケ)の患者の数は今よりも倍増し、300万人に上るとしています。 また、国立社会保障・人口問題研究所は、2055年には65歳以上の人が全人口に占める高齢化率は40.5%になると発表。 ちなみに、2005年の総務省「国勢調査」では高齢化率が21%となっており、世界最高の割合です。 このように、高齢化が進めば進むほど、認知症(ボケ)の患者は増えることはあっても減ることはなく、 その対策が急務となっています。

日本ではこれまで脳の血管が詰まって起こる脳血管性の認知症(ボケ)が多く、 脳の神経細胞が死滅して、脳全体が萎縮して起こる原因不明のアルツハイマー型の認知症(ボケ)は少ないといわれていました。 しかし、近年ではアルツハイマー型が増え、脳血管性の認知症(ボケ)の患者を上回るほど多いといわれています。 認知症(ボケ)に対して、病医院では薬による治療が行なわれていますが、病気の進行は遅らせても症状を改善するまでには なかなかいたっていません。特にアルツハイマーは原因がまだ確定していないこともあって、 決め手となる治療法がないのが実情です。


●良性健忘(物忘れ)と認知症(ボケ)

「知人なのに名前がなかなか思い出せない」
「昨日の出来事なのに忘れてしまう」
中高年になると、こうした記憶力の低下、いわゆる「物忘れ」に悩む人が増えてきます。 覚えたことをとっさに思い出せない「ど忘れ」は、若い人にもよく起こります。 一方、物忘れは、一般に年を取るにつれて多くなり、その度合いもひどくなります。 物忘れは脳の老化の代表といってもいいでしょう。

一口に物忘れといっても、その中身はさまざま。ふつうの物忘れでは、物忘れをしたことは自覚しています。 例えば、食事の内容は忘れても食事をしたことは覚えているといったケースです。 こうした物忘れは、「良性健忘」で、良性健忘は年を取ると誰にでも出てくる【老化現象】の1つで あまり心配は要りません。気をつけなければならないのは、物忘れをしたことすら忘れてしまう物忘れ。 食事の内容どころが、食事をしたことも覚えていないといったケースです。 こうした物忘れは、「ボケ(認知症)」を疑った方がいいでしょう。 ボケ(認知症)は、さまざまな原因で脳に障害が起こり、記憶力や思考力が低下するなどの症状が起きる【病気】です。 「物忘れ」の内容が「良性健忘」か「ボケ(認知症)」かを見分け、ボケ(認知症)が 疑われる場合には早めに受診した方がよいでしょう。

ただし、ふつうの物忘れだからといって油断してはいけません。 ふつうの物忘れにはボケの前触れが隠れていることも多いからです。 そのため、ボケの予防には、まず物忘れを防ぐことが肝心といえるでしょう。

【関連項目】:『良性健忘と認知症(ボケ)』


●ボケ防止対策

前述の説明で、物忘れ、ひいてはボケを防止するカギは、海馬の強化にあることがおわかりいただけたでしょうか。 実は、海馬は衰えやすい反面、若返らせることもできることが、これまでの研究によってわかってきました。 従来の脳医学では、海馬を含めた脳の神経細胞は、年を取るごとに減っていき、それを避けることはできない と考えられてきました。ところが、この常識は、最近になって覆されました。 1998年、ソーク生物学研究所(米国)とサールグレンスカ大学(スウェーデン)の研究チームは、 57~71歳の人の脳を調べ、学習に関わる脳細胞が大人の脳内で新たに作られていることを確認したのです。 なかでも、顕著に増えていたのが海馬の神経細胞でした。 また、大阪大学とコーネル大学の共同チームは、脳細胞に必要な栄養素を与えることで 脳細胞の増殖・分裂に成功しています。 つまり、老化によって衰えた脳も、若返らせることが可能なことが判明したのです。

今では、海馬の具体的な若返り法(ボケの防止法)もわかってきました。 海馬の働きを高めてボケを防止するには、積極的に新しい情報を取り入れて、海馬を刺激することが重要です。 例えば、パソコンの使い方を習得したり、行ったことのない外国を旅行したりするなど、 未体験のことに挑戦してみましょう。 ボケを防止するには、快感を得ることも有効。脳の奥の方には、「中脳被蓋野」という神経細胞の集まりがあります。 好きな音楽を聴いたり、美味しいものを食べたりすると中脳被蓋野が刺激され、脳の「側座核」という部分と、 「前頭前野」という領域が働いて快感が生まれます。海馬の隣にあって、好き嫌いなどの価値判断をしている 「扁桃体」という部位も活気づきます。その影響で海馬の働きもよくなります。 さらに、ジョギングや早足歩きなど酸素の消費量が多い運動を行ったり、 海馬に必要な栄養を十分に補給する食事を摂ると、海馬の神経細胞が増えることもわかっています。


◆ボケ防止によい運動

日常的に運動を継続している人は、そうでない人よりも「物忘れ」をすることが少ないという研究報告があります。 運動をすると脳の血流量が増えて、脳の働きが活発になるのです。 そのため、運動を習慣にすると、脳の老化や認知症予防、ボケ防止につながるのではないかと考えられています。 運動と認知症の関係を調べた海外の研究では、日頃からよく運動をする人は、運動をしない人より、 認知症の発症率が低かったという結果が出ています。 また、定期的に運動を続けることは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の改善につながったり、 足腰の筋肉が鍛えられることで骨折予防や寝たきりの予防にもつながります。

脳を活性化するには、少しきついと感じる程度の運動を定期的に行なうことがポイントです。 運動にはいろいろな種類がありますが、お奨めは誰でも手軽に、また安全にできる「ウォーキング」です。 1日20~30分程度、1週間に3日以上(できれば毎日)「歩くだけ」で十分です。 ただし、楽しく活動しているときに、脳はより活発に働きます。 半強制的に気合を入れて歩くのではなく、気の合う仲間を誘うなどして、 散歩気分で、風景を見たり、鳥のさえずりを聞いたり、楽しみながら歩けば、 視覚や聴覚への刺激にもなり、より効果的です。

【関連サイト】:『ウォーキング』

◆ボケ防止によい食品

ボケ防止のためには、海馬に必要な栄養を食事でバランスよく摂らなければなりません。 それらの栄養が不足すれば、脳の働きは大幅に低下してしい、物忘れやボケを引き起こします。

では、ボケ防止に必要な栄養素としてはどのようなものがあるのでしょうか。
まず第一に、脳のエネルギー源である「ブドウ糖」。 脳は大量のエネルギーを消費する器官で、その動力源はブドウ糖です。 脳は、私たちが寝ているときも常に働き続け、ブドウ糖を消費しています。 ブドウ糖が足りなくなれば、考える力が大きく落ち込み、記憶力も悪くなってしまいます。 ブドウ糖を摂るなら米、特に「発芽玄米」がおすすめ。 発芽玄米には、脳の働きを大幅に高める「ギャバ」という成分も豊富に含まれています。 大豆も積極的に摂りたい食品の一つ。大豆は「大豆レシチン」「ホスファチジルセリン」 といったボケを防止する栄養の宝庫です。 また、アミノ酸の一種である「トリプトファン」もボケ防止に必要な栄養素です。 脳の神経どうしが情報をやり取りするためには、神経伝達物質という成分が欠かせません。 トリプトファンは、その神経伝達物質の原料となるのです。

そのほか、魚油に多い「DHA(ドコサヘキサエン酸)」という脂肪酸も、脳の神経細胞を柔軟にしたり、 脳の血流を増やしたりしてボケを防止するとして注目されています。 DHAは、体内で作られないため、食事から摂取しなければならない必須脂肪酸の一種。 脳細胞の膜を構成する主要な成分で、神経細胞の柔軟性を保ったり、脳の血流をよくしたりして、 脳を活性化してボケを防止することが明らかになっています また、ビタミンCやビタミンE、βーカロチンを多く含む緑黄色野菜を多く摂る人は、 体の中に抗酸化物質がたくさん増えて、脳の老化を防ぎ、ボケを防止します。

ただし、脳のエネルギー源は「ブドウ糖」で、脳活動には糖分が不可欠なのですが、 甘いものを摂り過ぎると、脳が満足感を感じてしまうので、 食事が十分に摂れなくなり、栄養不足に陥ることで脳の元気がなくなり、ボケにつながります。 特別な場合を除き、糖分は普段の食事で摂取する程度で十分です。 また、過食をすると活性酸素が大量に発生してしまい、ボケを招くので、腹八分目にしましょう。

【関連項目】:『ボケ防止によい食品』

◆ボケ防止によい成分・サプリメント

DHA、イチョウ葉エキス、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、フェルラ酸、 ガングリオシド、DMAE、アセチル Lカルニチン、ビンカマイナー、コリン、ヒューペリジンA、 プレグネノロン、チロシンなどの成分は、記憶力や集中力のアップ、物忘れ防止・ボケ防止などに 役立つ成分として注目を浴びています。

【関連項目】:『ボケ防止によい成分・サプリメント』


日常生活の中でちょっとしたことに気を付けるだけで「少し」脳を元気にして「ボケを防止」することができます。 「塵も積もれば山となる」ということわざもあるように、 毎日続ければ長い年月の間には、かなりの効果が期待できるでしょう。