アルツハイマー型認知症の検査と診断

診断のためには、「問診」で症状を詳しく聞く必要があります。さらに「認知機能テスト」や「画像検査」も行われます。 問診では、質問に答えられない時に、「取り繕い」や「振り返り」など、アルツハイマー型認知症に特徴的な反応が現れることがあります。 取り繕いとは、恥ずかしさや自尊心などから、何とかごまかそうと、言い訳や言い逃れをすることです。 振り返りとは、助けを求めて後ろにいる家族に向かって振り返ることです。 認知機能テストでは、MMSEが広く使われています。画像検査では「MRI」や「SPECT」が行われます。


■アルツハイマー型認知症の検査と診断

問診や認知機能検査、画像検査、脳脊髄液検査などを行なう

受診すると、まず問診が行なわれます。もの忘れの状態や以前かかったことのある病気、現在使っている薬などの他、 生活スタイルや職業、現在の状況が以前と比べてどう変わったかなどを、詳細に確認します。 できれば、患者の身近にいる人が一緒に受診するのが理想的です。

全身と神経系の診察を行なった後、「認知機能検査」が行なわれます。 よく行なわれるのは「ミニメンタルテスト」(MMSE)と呼ばれる検査です。 併せて、「MRI」などの画像検査で脳の形態を調べます。 アルツハイマー特有の脳の形態の変化を調べられるほか、「脳卒中」など、認知症を招く病気の発見も可能です。 しかし、早期には脳の形態の変化が見られない場合もあるため、必要に応じて脳の血流を調べる検査 (SPECT)や、脳の代謝などを調べる検査(PET)など、脳の機能を見る画像検査も行なわれます。 最近では、アルツハイマー型認知症の人の脳にたまる「アミロイド」という物質の沈着の有無を見る画像検査の開発も進んでいます。

アルツハイマー型認知症の発症と関係する「アミロイドβたんぱく」と「リン酸タウたんぱく」の異常があるかどうかを見るために、 脳の周りを満たす「脳脊髄液」を調べる「脳脊髄液検査」が行なわれることもあります。 ごく初期でも、アルツハイマー型認知症の可能性を高い精度で調べられますが、腰に針を刺す必要があるため、 体への負担がより少ない血液検査で調べる方法が研究されています。


●ミニメンタルテスト(MMSE)

検査を受ける人にいくつか質問をして、口頭や筆記で答えてもらうテストです。 「今年は何年ですか」「今日は何月何日ですか」「ここは何県ですか」などから始まり、 全体で20問程度、30点満点です。各質問の合計点によって、認知機能障害の程度をみます。 軽度認知障害があると、ごく短い間の記憶力を調べる問題を間違えるようになり、 さらに症状が進むにしたがって、合計点が低くなってきます。


アルツハイマー型認知症のある人の脳の画像