緑内障の点眼薬の種類による効果の違いは?

■緑内障の点眼薬の種類による効果の違いは?

緑内障の治療に用いられている点眼薬には下のような種類があります。



▼プロスタグランジン関連薬とは?
現在、緑内障の代表的な治療薬となっており、1日1回の点眼で最も強力で確実な眼圧降下が得られるプロスト系の薬が、 主に用いられています。全身的な副作用はほとんど心配ないのですが、目の局所的な副作用が起こりやすく、 充血、虹彩や瞼への色素沈着、まつ毛が増える、角膜障害などが起こることがあります。 1日2回点眼するプロストン系の薬は、最初に開発されたプロスタグランジン関連薬ですが、 最近では、より作用が穏やかで副作用が少ない薬として使い分けられています。

▼β遮断薬とは?
「プロスタグランジン関連薬が登場するまで緑内障の第一選択薬だった薬で、 眼圧を下げる効果はプロスタグランジン関連薬に及ばないものの、 局所的な副作用が少なく、さし心地がよい点眼薬です。 ただし全身的な副作用には注意が必要で、特に肺や心臓に影響して、喘息発作を誘発したり除脈になる恐れがあるため、 気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、不安定な心臓病がある人などは使えないことがあります。 点眼薬といえども、合わない人が使えば命に関わることもあります。 チモロールが標準的な薬となっていますが、薬が作用するβ受容体のうちβ1に選択的に働くベタキソロールの方が、 肺への影響は少ないとされます。ニプラジロールとレボブノールはα遮断薬の作用も併せ持ちます。

▼炭酸脱水素阻害薬とは?
1950年代から使われてきた炭酸脱水素阻害薬の内服薬はよく効くものの、 全身的な副作用が強くて長期間使えませんでしたが、40年ほどかかって点眼薬が登場しました。 眼圧下降効果は内服薬に及ばないものの、全身的にも局所的にも副作用が少なく、 緑内障の主な治療薬の一つになっています。ただし、点眼すると、ドルゾラミドは目に染みる、ブリンゾラミドは 粘ついて目がかすむなど、使い心地の問題があり、どちらを使うかは好みも勘案されます。

▼α2刺激薬とは?
新しい緑内障の薬で、日本では2012年にブリモニジンが使われるようになりました。 β遮断薬に近い眼圧下降効果があり、加えて視神経の保護作用も期待できるとされています。 ただ、それだけで緑内障の進行を止める力はなく、プロスタグランジン関連薬やβ遮断薬で効果が不十分だったり、 副作用で使えないときに用いられます。鎮静作用があるため、2歳未満の乳幼児は使えず、大人が使う場合も、 念のため眠気などに注意が必要とされています。

▼その他に用いられる薬
プロスタグランジン関連薬やβ遮断薬などで効果が不十分な場合に、 α遮断薬のブナゾシンや交感神経刺激薬のピロカルピンは、 瞳孔を縮めることで隅角を広げる作用があります。 その他、最近は2剤を配合した各種の「配合剤」があります。


●配合剤は、2剤併用するのと効果も副作用も同じ?

▼最近、緑内障の点眼薬には「プロスタグランジン関連薬+β遮断薬」「炭酸脱水素阻害+β遮断薬」といった配合剤が 相次いで登場してきました。効果は同じなのでしょうか?
効果は、配合されている2剤を併用した場合と同等です。点眼薬を2剤使うより利便性に優れるため、長期的には、 より確実に使用されることによる効果も期待されています。 緑内障の点眼治療をしている人の半数くらいは複数の薬を併用していますが、 点眼薬を2剤以上併用するには間隔を開けて点眼する必要があり、それが患者さんの負担となって、 指示通りに使われないケースが少なくないと考えられます。点眼薬の配合剤は、 緑内障のように長期にわたって続ける治療においては大変有用です。

▼副作用は?
主剤による副作用の可能性は同じですが、点眼回数が減って、薬液に含まれる防腐剤などにさらされることが減るため、 副作用はその分少なくなると考えられます。