緑内障の薬『点眼薬』の使い方
■緑内障の薬『点眼薬』の使い方
緑内障の点眼薬は、薬の種類によって1日1回あるいは数回、1回に1滴を、次のような点に注意してさします。
- ▼下瞼を指で軽く引いて、薬を1滴だけ垂らす。容器の先が目やまつ毛に触れないように注意する。
- ▼薬が入ったら静かに目を閉じて目頭を数分間、指で軽く押える(鼻に通じる涙の出口に流れて全身に回る薬を減らすため)。 目から溢れた薬はすぐに拭き取る。
■うまく点眼できなくなった時はどうする?
- ▼こぼれて少ししか入らなかったときは、もう一度点眼する?多過ぎたら?
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点眼薬の1滴は30~50μLで、実際の目の中に入るのは10μL程度といわれています。
足りないよりも多めの方がよく効くだろうと思われがちですが、多めに点眼しても副作用が増えるばかりです。
全く入らなければさし直しますが、基本的には少しでも入れば十分と考えてください。
何滴も入ってしまったときは、溢れた分をよく拭き取っておきましょう。
1日1回点眼のプロスタグランジン関連薬を2回さしたら、返って眼圧が上がったという報告もあるので、
使い過ぎには注意してください。
- ▼効果的に使うために注意することは?
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点眼したら、パチパチと瞬きをせず、静かに目を閉じていることが大切です。
瞬きをすると、涙のポンプ機能が働いて薬液が涙とともに喉の方へ吸い出され、目で効果を発揮するはずの薬が減って、
副作用の可能性がある全身へ回る量が増えてしまうからです。
また、複数の点眼薬を使う際は、立てつづけにさすと、前の薬が押し出されて効果が低下するので、
必ず5分間以上あけて点眼してください。
■点眼薬をさし忘れたり、さしたかどうか忘れてしまったときは?
例えば、1日1回使う薬なら、朝の点眼を忘れて昼に指すなど、時間が遅れるくらいはかまいませんが、夜になって気付いたら、 その日の分は抜いて、翌朝の分からきちんと点眼すればよいでしょう。幸い緑内障はゆっくり進行する病気で、 薬が1回抜けたからといって、すぐに悪化するというものではありません。点眼したかどうかわからなくなってしまった場合も、 慌てずに、次回からきちんと使ってください。
■副作用が起きたら?薬が効かなくなったら?
- ▼点眼すると目に刺激があるときは?
- 薬の種類によっては、点眼した時に目がチクチクしたり、滲みたりすしやすいものもあります。 プロスタグランジン関連薬では、使い始めにこうした刺激を覚える人も多いのですが、 大抵は1~2週間使っていると薬に慣れてあまり感じなくなります。 炭酸脱水素阻害薬では、ドルゾラミドは組成上滲みやすいので、それが苦手なら、ブリンゾラミドへの変更も検討します。 これらのように、不快であっても心配ないものが多いのですが、中には使い続けてはいけない場合もあります。 目の充血やかすみがひどくなったり、目の周りがかぶれたりするようなら、医師に相談してください。
- ▼目の周りの黒ずみが気になるが?
- プロスタグランジン関連薬では、目の周りの色素沈着が気になりやすいようです。 薬の使用をやめれば薄くなるようなものですが、なるべく黒ずみを減らすためには、点眼後、 目の周りに着いた薬を洗い流す方法が勧められています。点眼して5分経てば、顔を洗っても薬の効果は得られます。 夜、点眼している人は、点眼後に入浴するのもよいでしょう。必要な量以上に薬を使いすぎないことも大切です。
- ▼薬を使っていても進行したら?
- 1剤で治療を始めて、効果が不十分なら薬を併用します。β遮断薬などでは、使い続けるうちに薬が効きにくくなることがあり、 その場合には、一時的に休薬したり他の薬に変えたりすると、再び効果が出ることもあります。 薬だけで眼圧が十分に下がらない場合や、眼圧は低くなっても進行する場合にも、レーザー治療や手術を行えば、 さらに進行を抑えることができます。
■緑内障の薬を使っているときに日常生活で注意することは?
- ▼自動車を運転してもいいか?
- α2刺激薬のブリモニジンは眠気が出る可能性があり、副交感神経薬のピロピカルピンは点眼すると瞳孔が小さくなるため 視界が狭くなったり、近視化して見え方が変わったりするので、注意が必要です。
- ▼処方薬から市販の風邪薬まで、緑内障のある人には「禁忌」「注意」とされている薬は多い。 みな使えないのだろうか?
- 大抵は閉塞性隅角緑内障の眼圧上昇を懸念してのもので、緑内障のある人がみな使えないというわけではありません。 開放隅角緑内障の人や、閉塞隅角緑内障でもレーザー治療や手術を受けた人は、多くを使うことができます。 自分の緑内障のタイプや受けた治療をきちんと知っておき、他の科を受診したり、薬局で薬を買うときに、 医師や薬剤師に伝えて相談してください。
- ▼目を使うのは問題ない?
- 緑内障があるからといって、目を使うことを制限する必要はありません。コンピュータを使っても結構です。 むしろ、見え方に影響が出ている人も、上手に工夫して残っている視力や視野を活用し、 積極的に生活されることをお勧めします。